もぐらとことり
ある大きな街に、もぐらくんと小鳥さんが住んでいました。二人は毎朝あいさつをするのが日課です。
小鳥さんはいつも、大きな大きな鳥の話を聞かせます。
もぐらくんも毎日、それはそれは大きなもぐらの話を聞かせます。
話が終わると、もぐらくんは地下へ、小鳥さんは公園の木へとんで行きました。
あるとき、小鳥さんは大きな鳥について行こうと思いました。
ごおお……と大きな鳥は勢いよくやってきました。小鳥さんは一生懸命羽ばたきました。
「こんにちは! どうしたら上手にとべますか?」
「ぼくは、風にうまく乗っているだけさ」
それを聞いて小鳥さんは大喜びでした。お礼を言うと、大きな鳥は東の空へととんで行きました。
ちょうど同じとき、もぐらくんも大きなもぐらについて行こうと思っていました。
大きなもぐらの掘ったトンネルに顔を出すと、そこへ、大きなもぐらがやってきました。あっと思うまもなく、ごとごとと激しい音を立てて行ってしまいました。ところが、すこし行ったところで止まっています。もぐらくんは、今だと思って追いかけて行きました。
「こんにちは、どうしたら早く走れますか?」
「しっかりしたトンネルを作ると、走るのが上手になるわ」
もぐらくんは喜んでお礼を言うと、自分の巣穴へ帰りました。
次の日の朝。もぐらくんは小鳥さんに、大きなもぐらと話したことを言いました。小鳥さんも大きな鳥と話したことを言いました。
「ぼくたちもいつかあんな風にりっぱになれるといいね」
今日も大きな街のどこかで、ふたりは大きくなることを夢見ているでしょう。
ーThe ENDー
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