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2022奧多摩見聞録 

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2022年度の奥多摩活動をまとめました。
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記事一覧

225DAY  -秋終わりの最高の奥多摩日記-

225DAY -秋終わりの最高の奥多摩日記-

 充電しに来た。何をかといえば、自然のエネルギーというべきか、先人の遺産というべきか、実際のところ形容し難い物を充電しに来た。

 その存在をはっきりさせることは簡単ではない。私たちですら、自分自身の全てを理解できないように、自分にとって真に必要な精神状態や心の拠り所を完全に把握し切ることは難しい。

 結局、現在自分にとっての充電手段の最高手は、奥多摩に行くことなのであるが、それすら果たして完全

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219DAY  -二学期半ばの奥多摩日記❷-

219DAY -二学期半ばの奥多摩日記❷-

 寒っむい。薪ストーブは火種のかけらもなく消えている。まさに「火桶の火も白き灰がちになりてわろし」だ。この冬が近い季節に、火が消えていいことは何もない。

 古民家にはエアコンがない。夏は扇風機、冬はストーブだ。しかし一度文明から離れると、前回も書いたように普段の生活を俯瞰して見ることができる。客観視はとてもいいことだ。人間は自分のことを知り、それによって必要な技術を確立する。だから食物連鎖の頂点

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218DAY  -二学期半ばの奥多摩日記❶-

218DAY -二学期半ばの奥多摩日記❶-

 もう車外は暗くなり始めている。すれ違う車のヘッドライトが眩しい。車のエンジンの振動を感じるたび、自分は都会から離れているんだと実感する。暗くなりつつある外と違い、奥多摩に向かう車内はとても明るく騒がしい。本日奥多摩プチ合宿に参加する鳥取から来た小学2年生。彼が繰り広げる世界観は、とても彼が不登校だとは感じさせない。とめどなく溢れ出る言葉、饒舌も饒舌。そして話す言葉も、小2らしいヤンチャな内容から

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208DAY  -中秋の奥多摩日記 2 -

208DAY -中秋の奥多摩日記 2 -

 朝六時。まだ薄暗い。窓の外から見える山々の肌を、雲がさするように通り過ぎる。体が重い。創作が捗りすぎて昨日の夜遅くまで起きてしまったからだ。だが今日もやることがある。そう体に言い聞かせて寝袋から這い出る。

 朝は米。昨日のゴーヤーチャンプルーに良く合う。ゴーヤの苦味がさっぱりして、重たい眠気を飛ばす。じゃがいものポタージュも、一晩寝かせたおかげなのか、一段と美味しく感じる。そして極め付けは食後

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207DAY  -中秋の奥多摩日記 1 -

207DAY -中秋の奥多摩日記 1 -

 奥多摩とは何か、それは充電器だ。自身が日常を生きる上でのモチベーションを高めてくれる存在であり、この大自然の環境はそうしたエネルギーが満ち満ちている。スマートフォンの充電が切れたら、電話も不便になり、日常的なあらゆることができなくなる。だから充電を行う必要がある。それは人間にとっても同じで、日々生きていて疲れてきて、何かをするにも気持ちが上がらない。元気を上げるためにそのモチベーションを充電する

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194DAY  -2022奥多摩見聞録 其の6 -

194DAY -2022奥多摩見聞録 其の6 -

 

(昨日出す予定が忘れてました。すんません。今日はもう一本出すので見てください!)

 14日の今日。再び奥多摩に舞い戻る。昨日の台風8号も含め、自分がいない二日間、奥多摩はあまり天候に恵まれていなかったらしい。しかし、連日三十℃超えで蒸し暑かった珊瑚荘は雨のおかげで涼しくなり、参加者や先生方も快適そうな趣だった。

 始発の電車で奥多摩に向かう。片道800円くらいかかり、2時間ほどかかる電車

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193DAY  -2022奥多摩見聞録 其の5 -

193DAY -2022奥多摩見聞録 其の5 -

 3日目の早朝。自分は裏庭で草を抜く。一年の歳月が経ち、雑草が乱立する裏庭は、昆虫と湿気の宝庫と成り果てている。裏庭には、珊瑚荘の元所有者の一族の墓が立っているが、そこまでの道も、雑草によってすでに見えない。自分も奥多摩に泊まるスタッフとして、「彼ら」がかつて住んでいた珊瑚荘へ行けるようにしてやりたい。

 作業は四時間ほど。焚き火周りも含めて行った。太陽が登ってしまうと、体感温度が跳ね上がる。そ

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192DAY   -2022奥多摩見聞録 其の4 -

192DAY -2022奥多摩見聞録 其の4 -

 気温30度、クーラーなどない古民家で、未来ある若者が(自分含め)筆を走らせる。集中していて、会話をするときも、わからないところを互いに教え合っている。そして少し疲れたと思って、横を見れば、青い空と一面の緑が見え渡る。何人かの生徒も、大自然に酔いしれて外を眺める。

 先生方は、食事を作ったり、買い出しに行ったり、生徒を指導したりと事務作業に没頭している。生徒たちの集中も、先生方の尽力の上に成り立

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191DAY    -2022奥多摩見聞録 其の3 -

191DAY -2022奥多摩見聞録 其の3 -

合宿の朝はウルトラマンで始まる。ウルトラマンというのは目覚ましのことで、ウルトラマンの姿をした目覚ましで一斉に起床するのである。「普通のアラームで起きればいいじゃん」という声が挙がりそうだが、もはや珊瑚荘におけるウルトラマンの目覚ましは習慣になっている。事実、ウルトラマンの方が皆の起床が良い。その点自分はというと、前日の夜はアドレナリンが出てあまり寝付けなかった。「明日も早い。」とか言っとい

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190DAY   -2022奥多摩見聞録 其の2 -

190DAY -2022奥多摩見聞録 其の2 -

 さて、自分は午後3時くらいの西陽が一番暑い時に奥多摩に到着した。自分は、合宿が始まる前にも前準備で一度珊瑚荘に来ている。その時に会った都会の空気で生きてきた生徒たちの顔が、改めて来てみれば、なんとも面構えが違う気がする。なんというか、精悍な顔立ちというか、大自然において場違いだったものが時が経って噛み合うようになっている。

 自分もそうなりたいものだ。自分は二泊三日しかいることが出来ないので、

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189DAY    -2022奥多摩見聞録 其の1 -

189DAY -2022奥多摩見聞録 其の1 -

 猛暑の日は何をするか。自分は奥多摩へ行く。川がながれ、鳥が囀り、虫が音を奏で、澄み切った空気が肺を満たす。川や木々からの水蒸気で、都心よりは遥かに快適である。新宿から中央線で最速一時間半ほどで着け、青梅街道によるアクセスも簡単だ。

 珊瑚荘では、5日ほど前から学生たちが泊まり込み、勉強合宿という名の楽園を享受している。楽園とは決して過言ではない。大自然に囲まれ、教師兼スタッフらの作る料理に舌鼓

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