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208DAY -中秋の奥多摩日記 2 -

 朝六時。まだ薄暗い。窓の外から見える山々の肌を、雲がさするように通り過ぎる。体が重い。創作が捗りすぎて昨日の夜遅くまで起きてしまったからだ。だが今日もやることがある。そう体に言い聞かせて寝袋から這い出る。

 朝は米。昨日のゴーヤーチャンプルーに良く合う。ゴーヤの苦味がさっぱりして、重たい眠気を飛ばす。じゃがいものポタージュも、一晩寝かせたおかげなのか、一段と美味しく感じる。そして極め付けは食後のコーヒー。カフェインばっちしキメ込んで、完全に体は整った。

 外に出ると、朝の冷気と澄み切った酸素が肺を満たし、神秘的な景色が眼前に広がる。これだ。この感覚を朝に見たいから、自分はここに泊まりに来ると言っても過言ではない。

 体を整え終わったら、自分の仕事に移る。古民家周りの雑草を刈りまくる。雑草は少しほっとくだけですぐに生える。まるで無限に這い出る新生物。それの退治が自分の仕事だ。高めの雑草は鎌を片手に、低い雑草は素手でもって、この緑の悪魔どもを薙ぎ払う。

 三時間ほどして、最低限のノルマは終わった。夏合宿の時は大澤先生との二人体制だったのもあってだいぶ進んだが、一人ともなるとやはり疲れる。だが、焚き火周りや庭など、面倒なところはあらかたやり終わった。

 そして草刈りが終わる頃に、焚き火の会の参加者がぞろぞろと集まってきた。今日は天気予報に反して暑くなりそうだ。おそらく川にも行けるだろう。

 原先生が昨日の直売所で買ったリンゴを剥いてくれた。本当に美味しい。なんというか、普通のとは比べ物にならない甘さだ。疲れた体に染み渡る。

 参加者の方々がキャロムや焚き火に夢中になる中、自分はいささか眠気を覚えている。天気のいい奥多摩の午後。昼寝して過ごすのも悪くない。

 

 


 

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