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219DAY -二学期半ばの奥多摩日記❷-

 寒っむい。薪ストーブは火種のかけらもなく消えている。まさに「火桶の火も白き灰がちになりてわろし」だ。この冬が近い季節に、火が消えていいことは何もない。

 古民家にはエアコンがない。夏は扇風機、冬はストーブだ。しかし一度文明から離れると、前回も書いたように普段の生活を俯瞰して見ることができる。客観視はとてもいいことだ。人間は自分のことを知り、それによって必要な技術を確立する。だから食物連鎖の頂点に君臨している。だからこそ、「火」と言う文明の原点中の原点に立ち返ることこそが、今「人間」と言うものを改めて知る上で重要なのだ。世界が今問われているのは、「人間とは何か」である。戦争をすることが人間なのか、環境を壊すのが人間なのか。それとも。「原点を知る」。それは全てを知ることと同値ではないだろうか。

 朝こそが、最も調子のいい時間帯だ。寝るという過程を経て、前日の焚き火を経て、全てが完璧に整っている。奥多摩合宿では、この時間帯に作業をすることを最も重要視する。なぜなら、一番のチャンス時間。ゴールデンタイムだからだ。この整った時間に作業をすれば、結果も自然とよくなってくる。

 朝食、朝の作業を経て、焚き火の会が始まる。全国から奥多摩に集って来る。全員焚き火に興じ、自然に遊ぶ。これ以上整う行動を、自分は知らない。

 小学生の参加者は、いつも元気だ。疲れる様子を全く見せない。スターウォーズのマスターヨーダは、「子供の力はまさしく脅威じゃのう」と言ったが、まさにその通りだ。

 今日はお昼くらいに帰ることにする。十分整った。充電完了。何日持つかは分からないが、少なくとも当分は大丈夫だろう。だが一ヶ月経って、疲れて、また自分は奥多摩に舞い戻るに違いない。そしてそれを繰り返して、自分はこれからも生きていく。
 

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