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エガオが笑う時 第6話 絶叫(1)
空気を押し潰すような圧が私を襲う。
私は、大鉈の刃を盾のように垂直に構え、圧を生み出した正体、獣へと変貌したマナの左前足による横薙を防ぐ。
身の丈を超える分厚い刃はマナの一撃を完全に防ぐもあまりに軽い私の身体は宙を舞い、建物の壁に激しく叩きつけられる。
鎧を纏っていなかったら確実に何本かの骨が折れていた。
私は、壁から滑り落ちるように落下し、石畳に膝を付ける。
突然、姿を現した大きな犬
エガオが笑う時 間話 とある少女の視点(5)
エガオ様と再会したのはそれから半月後のことだった。
停戦条約が結ばれて教会に下りてくる支援金が大幅と言うほどではないが少なくなった。3食は食べれるものの大所帯を養うのは少な過ぎる。
私は、再び斡旋所に通いながらひもじい思いをしている弟達に甘いものを食べさせてやりたいと思い、王都でも評判の良いキッチン馬車にお菓子を買いに行った。
私は、心臓が止まりそうになる。
エガオ様がそこにいた。
し
エガオが笑う時 第5話 凶獣病(6)
公園を出て左右を見回すもマナの姿はどこにもなかった。
私は、街道に出て近くにある二階建ての建物に駆け寄ると、一気に飛び跳ね、雨樋に指を引っ掛ける。
周りにいた人達が私の姿を見て声を上げる。
私は、足を上げてそのまま雨樋の上に登り、さらに屋根に登る。
屋根まで登ってから私は自分がスカートだったことに気づいてひょっとして見られたかな?と思って急に恥ずかしくなって裾を押さえるも今はそれどこでは
エガオが笑う時 第5話 凶獣病(5)
翌日、私はいつもと変わらずキッチン馬車で働いた。
いつもと変わらない、いつもと変わらないはずなのに何故か4人組はじっと注文を取りにきた私の顔を覗き込んでくる。
ニヤニヤと笑みを浮かべながら。
私は、意味が分からず眉根を寄せる。
「何ですか?」
私は、思わず不機嫌そうに言う。
しかし、彼女たちのニヤニヤは止まらない。
私は、むっとなって唇を紡ぐ。
「エガオちゃん」
サヤが眼鏡の奥でに
エガオが笑う時 第5話 凶獣病(4)
彼は、私の手をグイグイ引っ張って宿舎を出る。
私は、引っ張られるがままに彼に付いていく。と、言うよりも引っ張ってもらわないと歩くこともままならない。
私の頭の中は混乱を通り越して錯乱していた。
結婚・・・結婚・・結婚・・・。
妻・・・妻・・・妻・・・。
私の頭の中は、その2つの言葉が弾けるように飛び交う。
一体何が起きてるの?
て、いうかいつから私達は夫婦なの?
マダムに言われた
エガオが笑う時 第5話 凶獣病(3)
「凶獣病」
突然、湧き出した聞き覚えのある声に私の意識は現実へと戻る。
「ほんの100年ほど前まで獣人の子どもの間で流行っていた感染症の一種だ。感染すると先祖帰りを起こして巨大な獣へと変貌する」
私は、声のする方へと振り返る。
鳥の巣のように盛り上がった黒髪、整った顔に生えた無精髭、黒いタンクトップから除く逞しい腕、均整の取れた身体に黒いズボンを履いた長い足・・。
「カゲロウ・・」
私は、
エガオが笑う時 第4話 無敵(7)
翌日、私は、スーちゃんと一緒にマナの孤児院へと向かった。とっいっても食材調達の時とは違い、スーちゃんの背に跨るのではなく、スーちゃんの背にホールケーキの入った白い大きな箱を乗せ、私は彼女の隣を歩くと言う形だ。
そうでないと運べないくらいケーキが大きいからだ。
幅だけでもすーちゃんの腰を埋め尽くすくらいあり、高さも普通のケーキの倍のような気がする。
本当に予算内なのかな?
カゲロウは、お店