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中国の閻連科さんの筆力に圧倒される「愉楽」

<文学(47歩目)>
ありえない中国発のベンチャー「受活村」の奇天烈なベンチャー魂に触れ、ベンチャー企業のやる気を喚起する。

愉楽
閻 連科 (著), 谷川 毅 (翻訳)
河出書房新社

「47歩目」はノーベル文学賞候補者の閻連科さんの「怪作」です。ものすごいぶっ飛び方で、一気読み。新規プロジェクトに取り組む際に「受活村」には負けられない!と思ったとき、あなたも間違いなく「壁を突き破れる!?」

閻連科さんは、私の「一押し」の中国の作家。
私は、「四書」でガツーンときて、その後は全作一気読みしました。

閻連科さんが、中国で発禁処分になるくらい「ヤバい」作家になるのは、表現が直球であり、修飾語で飾らないことです。

見せたくない現実も、直球で攻めてくる。。。
どの作品も凄まじい筆力を感じる。そして、多彩な手法に目を見張る。中国の怪人だと感じています。

その中でも、真面目に中国現代史に関心ある人には「四書」「丁庄の夢」をすすめている。

対して、中国経済の勢いに関心ある人には「炸裂志」「愉楽」をすすめている。

「炸裂志」も凄まじいが、この「愉楽」もぶっ飛んでいます。
障碍者ばかりで発展から完全に見放された「受活村」という僻地を発展させるために取った作戦は。。。

まさに「驚き」ですが、これがどんどんハマっていく(フィクションだからと言われそうだが)。

この不屈のベンチャースピリットを忘れないところは、日本の若者にも大いに刺激あり。少なくとも、「おいおい」「何だかなぁ。。。」とか思っていた私も、中盤からはおもしろくて一気読みになりました。

マジック・リアリズムと評されているが、それ以上に息遣いを感じさせる登場人物のキャラがたっていて面白い。

革命の闘士である茅枝さんと、大いなる野望を隠さずに臆面なく実行していく柳鷹雀県長が卓越したキャラで作品を引っ張りまくる。

閻連科さんのインタビュー記事を読んだら、書いているうちに茅枝と柳鷹雀県長が制御不能なまでに生きてきたとのこと。
まさに「ゾーン」に入った執筆風景が目に浮かぶ。

この作品は、騙されたと思っても、読んでいただきたい本です。
すげー

※同じ河出書房新社のウラジーミル・ソローキンさんの「青い脂」の表紙に酷似しています。「青い脂」と「愉楽」のそれぞれともに、「ぶっ飛び度」は半端ない。ただ、前者はロシア的な「薬物的なぶっ飛び方」で、後者はアジア的な「土地と呪術と結びついたぶっ飛び方」です。それぞれ副作用もあるかもしれません。ただ、日常から離れて、脳を活性化させることは保証できます。それにしてもなのですが、日本でこの様な作品が出てくることがあるのだろうか。中上健次さんと西村賢太さん(ともに故人)が、酔っぱらって、ぼこぼこに殴り合いながら連作を書き、それを伊集院静さんが読める文章でまとめた時に生まれるかも?と感じました。(笑)

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