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「家族愛」が心に突き刺さる「夜の少年」

<文学(57歩目)>
この作品には参りました。運命と家族、とりわけ「家族愛」が突き刺さります。

夜の少年
ローラン プティマンジャン (著), 松本 百合子 (翻訳)
早川書房

「57歩目」はフランスの私と同い年の新人作家のデビュー作。
ノーガードで読んだら、ガツーンとうたれました。

ローラン・プティマンジャンさんは、フランスで4年前にデビューした新人作家です。
先入観なく手に取ったのですが、衝撃的でした。

この物語は、フランスですぐにベストセラーになり、欧州諸国・アメリカ・日本に翻訳されたそうです。

物語は、「家族」を中心にまわっていきます。そして微妙な運命により、大きな展開に。。。

私は、まさに身につまされる思いで読み進めました。
子どもを持つ親だと、この物語には強い影響力があると思います。必読だと感じました。

「55歩目」で紹介した、「祖国 フェルナンド・アラムブル」と同様な辛い展開で目から汗が出てきました。

背景となるのは、フランスでの政治闘争(左翼と右翼)ですが、現代のEU圏では深刻な問題。

フランスでは、常に大統領選挙に台頭する極右。
イタリアでは政権を獲得しています。

この部分に関しては、日本は異なるとの意見もあるのですが、以前に新大久保でヘイトスピーチを見た私としては、対岸の火事とは思えない。
ちょっとでも、格差が拡大する。あるいは景気後退が続くと同様な状況になる匂いがする。

いったいどうなってしまうのだろう!?と感じています。日本語の作品では、「あなたが私を竹槍で突き殺す前に 李龍徳」で感じた動悸を感じました。

また「すべての人の人生は一見、敷かれたレールの上をひたすら走っているように見えるが、実はアクシデントと偶然、そして反故にされた約束の積み重ねだ」との言葉がどんどん深く心を突いてきます。

そして、大学時代の恩師の外語購読でのレオン・ブルムの人民戦線(左翼=反ファシズムの連合政権)とジャン=マリー・ル・ペンの国民戦線(極右)との対立を学びました。

あれから数十年を経ても、まるで解決されていないことを知りました。
先生のたった4人だけの仏語外書講読は密な関係になり、今も生きています。それにしても、学生時代に勉強していなかったことをこの年で痛感しました。。。(イタイ)

卒業後、ずっと実家から離れていたのですが、戻ってきて当時の講義のノートを読んだら、すごい授業をされていたことをやっと理解しました。
当時は「いじめ」と思っていたのですが、今になって腹落ちしました。ありがとうございます。

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