記事一覧
ひび|2024.07.27
土曜日、中野「水性」にいた。
くすりのせいか頭はぼんやりしている。ほんとうは呑んじゃダメなんだけど、つい開けてしまった缶ビールが心地よくからだにまわっている。いまは名付けようのない自由な空間になっているこの場所の、以前の姿を伝える「クリーニング」の古びた看板が、かわいい編みものたちの展示の向こうにみえている。じいこさんの編みもの。彼女が声をかけてくれなければ、きっとわたしはなんとなく中をなめただ
ひび|2024.06.26
ちょっと早く産み落としすぎてしまった氷
さわるとすぐに融けはじめて
ぬるぬる、こころもとない
でもその子たちをたくさんコップに詰めてみたら
いつものしっかり固まったおとなたちより
ずっとうつくしい、色っぽいぎんいろになった
*
外はきょうも、なつやすみのにおい。
プールとか、うみとか、空と緑と土のにおい。
電車で前方にみえている男の人はわたしそっくりだ。
顔もすこし似ているけれど、とにか
ひび|2024.05.18
あーちゃんが出かけてゆくのを、七割ぐらい眠ったままの頭で見送る。気がつくともう十時前で、ぼっさりと起き上がってひげをそり、暴れ散らした髪を櫛で殴りつけ、洗濯機を回し、ロンTにジーンズで駅へ向かう。手ぶらで歩くと気持ちがいいけれど、この時間でもすでにじりじりと陽射しが痛い。駅で友人のタケ氏と落ち合って、明日の文学フリマで必要な荷物一式を詰めたスーツケースをうけとってまた引き返す。慣れない重みを引きず
もっとみるひび|2024.05.02
今まさに訪れようとしていたお店からオーナーが出てきて、目の前で鍵を閉めて出かけてゆくのを見てぽかーんとしてしまった。(そんなことある?)って口の中でちいさく呟いて、所在なくそのままどこへゆくともしれずうろうろしてしまうくらい動揺した。あまりにも見事すぎて。一度伺ったことはあったけれど、またじっくり見にいきたいなあとずっと思いながら予定がことごとく合わず、たまのチャンスにはピンポイントで臨時休業だっ
もっとみるひび|2024.04.16
日に日に、職場のビルをでたときの空の明るさが増している気がする。
きょうはお弁当を済ませたあと、隣駅くらいまで足をのばして、何するでもなくぶらぶらと散歩をした。週末に友だちといっしょに行こうと思っているお店を下見したり、百貨店を冷やかしついでにキレイなトイレで一息入れたりした。まあ、さぼりだ。既定の休憩時間はゆうにはみ出している。でも、このあと四月からの新入社員がわたしのはたらくチームに研修に来
ひび|2024.03.30
目が覚める
きょうは、ちゃんと朝のうちに起きようとおもっていた
でも毛布の柔らかさがここちよくて
すこしだけこのまま、まどろんでいることにした
いつもはまた目が覚めてしまったことにうんざりして
新しい一日が始まるのがイヤで
閉じこもるような気持ちで丸まっていることが多いのだけれど
きょうはすこしだけ特別だから
いつもよりもずっと、しあわせなまどろみ
*
街をあるく
びっくりするくらい春め
ひび|2024.03.11
寝癖がなおらない。櫛をかけておさまったかとおもったら、すこし歩いて軽く風にあたっただけでふわっふわに広がってくる。きのう、眠れなくて遅くまでiPhoneをいじっていたせいかなと思い返して、あれ、でも下にしていたのは癖のついてる方と逆側だったはず。なんでこんな、どうにもならなくなっちゃってるのさ。一日ずっと、江戸川コナンみたいな髪で過ごす。
14時40分ごろ、ふと気がついた。46分になったところで
ひび|2024.02.26
生活にすっかり疲れている。
晴れた嵐。窓の外で唸る風。暴れ狂う洗濯物。それでも、おそるおそる外に出てみて思ったより寒く感じないのは、二日ぶりの陽射しのおかげか、それともきのうの羽田の凍りつくような雨の厳しさを身体が憶えているからか。青空に梅が映える。
淡々とはたらく。いい仕事はしたとおもう。褒めてもらっても、心はもうあんまり動かない。契約を更新するために判をおす。またしきりに褒めている。何も感