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nirvāṇa

夕陽がさして、わたしの睫毛がきらきらちらちらうつる、それで、天国にだって今日はあるような、そんな繰り返しで涙の味がしょっぱくて、しょっぱいままでにがくてあつくて、言い尽くせないほど君の部屋で戻れない焔がちらちらきらきらしていて、一日が永くのびて、一分、ふたりにふたをして、海が溶ける、その先を歩く、歩くかたちで瞳がずっとずっと転がっていく、思い出をさわって砂みたい、たちまちほどけて郵便局が灰色に近付

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逢瀬

つめたい
箪笥の質感で
秋がくる
窓の話をよく聞けば
鳥は何も
求めないらしい
月はもう
行ってしまったらしい
肌の名残の
タオルケットに
日差しが溶けて
あたらしい映画をつくる

つめたい
黒いブーツに
右足を
さしこめば
むきゅっと
絞られる
ひかりが右の胸にある

建物の影が
ずっと前から
しゃがんたり立ったり
していて
今朝は
透明なひかりに
美術館らしく
胸の前で腕を組んで
建っていた

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フィ

フィ

端から、暮れていく。

そのかわり、手を止めて、窓の外をみて、目の奥に焔がうまれてから、暮れていく。それがわたしのからだを揺さぶって、いつしか眠りについたりつけなかったりする。

musicの香りがして、枕をもってみる。埃が白く積もっている。普段使っていない上半分に積もっている。それが雨だったなら、ひたひたとしたたってわたしを濡らしたかもしれなかった。そうして、それすら美しいとされる抒情を示したの

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流れる花

流れる花

一生が一秒だったなら、
きらきらひかっておしまいだった。
うまれたてほやほやの光に包まれてまたねむれた。

なのに手足は伸びるし頭の中は変わんない。
生きていくのはどんどんむずかしくなるし、
死ぬのもどんどんむずかしくなる。
分別ってやつがつくようにもなる。
呼びかけられ方もおねえさん、になる。

それなのに中ではまだずっと赤子がわけもわからず泣いている。

それはわからないものばかりだし刺激ばか

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