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2024年3月の記事一覧

歪んだ青い春

か弱き少年は
他人の嘴に突かれ
その姿を変貌させる
日々続く誹謗中傷に
心が耐え切れず
歪み切ってしまう
世界の破壊者に
為れなくても
小さな社会なら
壊せるだろう
青い春に散る花を
眺める事が出来なくても

イマザリル

イマザリルの雨が
降り止まない近未来
何が変わったかすら
分からずに街を歩く人達
その形を変えてまで
生きる必要はあったのか
僕は今日も戸惑いながら
機械の体にオイルを差して
海と毒薬という表題の
紙で出来た小説を読み漁る

カマロは燃えているか

ガソリンを飲みながら
走る古いカマロは
果たして燃えているか
製鉄所で焼かれた鉄の様に
寂し過ぎる街を
支配しながら走る
あの美しいカマロは
本当に燃えているか
輝きを止めない太陽みたいに

去り際

長く生き過ぎた老人は
軋んだ背骨を晒しながら
老いさらばえて逝く
生まれ落ちた瞬間から
皆が罪を背負わされ
罰から解放されるまで
曖昧に生き続ける
去り際さえ決められずに

フラッシュラヴリィー

歪んだ心を
隠したまま
僕達は確かに
恋をしていた
何時止まるかも
分からない
壊れかけてる
壁掛け時計みたいに
曖昧で
意味を成さない
恋をしていた
何となくさ
そんな気がしたよ

枯れ葉

背を向けて立ち去る男
過去を海に捨てる女
美しい日々に抱かれ
二人は静かに溶けて逝く
物音すら立てる事無く

貴方は甘くない

私の嘘を
見逃してくれる程
貴方は甘くなく
私は途方に暮れる
私の言い訳を
黙って聞いてくれる程
貴方は優しくなく
私は打ち震える
貴方など何処にも居ない
全て私の独り芝居だと
誰かに指摘されても
空想の貴方は今日も
私を責め続ける
安い壁掛け時計と共に

哀しい歌

哀しい歌が好きと
貴方は言ってた
カートンの煙草が
直ぐに無くなる様に
貴方は消えてしまった
哀しい歌の歌詞みたいに

キャンディ・マシンガン

左目のジュリーが
薔薇の花束と共に
キャンディ・マシンガンを
撃ち捲る夜
貴方にさよならを
私は告げる
カラスとカナリアが
異国の空へ
旅立つのを眺めながら
知らない誰かの
歪んだ視線に
視界を遮られても

遠ざかる鬼火

嫌な事を嫌と言えない
そんな生き方は出来ないと
あいつはそう言い残し
雪国から出て行った
荒事の中でしか
あいつは輝けないと
オレンジピールの
チョコレートを齧りながら
僕は過去を振り返り
少しだけ泣いた
遠ざかる鬼火を
部屋の窓から眺めて