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医療コミュニケーションとコクーン戦略
わたしがツイッターに書いた数年前の投稿がどういうわけか最近になって拡散された。幸いにも過去の放言を晒されたとかではなく、とくに不都合はない。とはいえいったいどんなきっかけで地味なアカウントの投稿が数年越しに発掘されたのかは気になるので、検索するなどしていた。残念ながら手がかりは得られなかったものの予想外の収穫があった。なんと、この件とはべつのツイートがブログに引用されていた。
このブログの筆者は
争点のない総選挙2021~コロナ禍の中で
FEEL INVISIBLE MATTER(目に見えぬものを感じよ)第49回衆議院議員総選挙は新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、はじめての総選挙となった。わたしは「今回の選挙ではコロナへの対応が最大の争点になるのだろう」と予想していた。NHKの世論調査を見ても、2割の人が「新型コロナ対策」を最も重視する政策課題にあげている。
この世論調査によれば最も重視する政策課題として「経済・財
【ご報告】むかし書いた記事にコメントをいただいたのでお返事をしていたのですが、お返事に費やした文字数が議論の発端になった記事の文字数を大幅に超過いたしました。体力気力の限界です(なお引退はしません)
(14)あとがき~Antidote
「事実は小説より奇なり」という使い古された決まり文句がある。予想もしなかった現実に直面したわたしの頭にいつも浮かんでいたのは、このフレーズだった。この物語は、まず偶然がなければはじまらなかった。実際、胃がんは早期だと自覚されることはまずない。早期の胃がんは健康診断などで内視鏡検査を受けたときに発見されるケースが大半と考えられる。このうち、胃がんの早期発見を目的として定期的に胃カメラを飲んでいる人は
もっとみる(13)酒は百薬の長にして百毒の長~Live over Again
退院から約2週間後、父はA病院で術後3度目となる内視鏡検査を受けた。検査は今回も小一時間ほどで終わった。経過は順調で、今後も食事を入院前の内容にすこしずつもどしていって問題ないとの診断。念のため父がN医師に確認する。
「手術してもらった場所は、もうこれで大丈夫ですか?」。
N医師によると、今回手術した場所にがんが再発してくる可能性はまずないらしい。ただ、そうだとしても今回の手術で胃のほかの場所に新
(12)節制は続く~Logistical Support
退院の朝がやってきた。病院で朝食を終えた父から電話がかかってきたので、わたしたちは車でA病院へと向かった。病室に入ると父はすでに荷造りを終え、くつろいでいた。しばらくすると担当の看護師が来て、父の手首からバンドを外してくれた。入院中ずっとお世話になったので、看護師にお礼を述べる。N医師にも挨拶したいところだが、あいにく忙しいようだった。父が身支度を終えたところで、わたしたちは病室を出た。父のいなく
もっとみる(11)確定診断~Coffee with bullet
術後2度目の内視鏡検査を終えると、父は明らかに退屈な様子を見せはじめた。好物のコーヒーは口にできるようになった一方で、時間つぶしの方法には飽きが来ていた。父は数独(ナンプレ)というパズルが好きで、中途半端に時間の空いたときに解いていることが多い。家にも数独の本が1冊あり、その本にはまだ手をつけていない問題も残っていたので、病院に持っていくことも考えた。ただ残っている問題は本の最後の方に固まっていて
もっとみる(10)入院生活~Martial Law
手術は無事に終わった。ただN医師の話では、もうしばらくは出血に注意する必要があるそうで、胃が痛くなったり、血を吐いたり、便に血が混じっていたときはすぐ知らせるように指示を受けた。またトイレはポータブルを使うよう指示があり、ベッド脇に便器が設置された。開腹はしていないので、父が歩いてトイレまで行くのに体力的な問題はまったくなかった。ただ胃からの出血の危険を考えるとやはり安静が第一で、ベッドから立ち上
もっとみる(9)手術~AM9:00
手術日は朝から慌ただしかった。諸事情により前日に入院できなかったため当日の朝一で入院、午後から手術という予定が組まれた。入院生活に必要な荷物を車に積み、この日も一家でA病院へと向かう。病院の受付で手続きを済ませると、ほどなく担当の看護師が迎えに現れ病室まで案内された。病室はよくある大部屋で、ひとつのベッドを除いてすべて埋まっていた。父のベッドは窓際。南向きの部屋でカーテンが引かれているものの、それ
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