灰色猫

日々の生活の中で気づいたことをまとめていきます。 守備範囲は、各種芸術(美術、落語、そ…

灰色猫

日々の生活の中で気づいたことをまとめていきます。 守備範囲は、各種芸術(美術、落語、その他)など。 社会課題の解決などにも関心があります。

記事一覧

街とその不確かな壁

村上春樹は、かつて好きな作家だった。 それが『神の子どもたちはみな踊る』や (ノンフィクションだが)『アンダーグラウンド』のあとくらいから、 どうも好きではなくな…

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11日前
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小川哲『君のゲーム』

友人から面白いよ、といわれて少しだけ違和感があった。 いままで勧められた本に外れはないのだが、「面白い」ってなによ、と。 その語彙、何も表現していない。 目にした…

灰色猫
1か月前
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図書館という場所

図書館に通い始めたのは大学生になった頃だった。 普通は受験勉強などで地元の図書館などに通うのだろうが 文字通り入り浸る、足しげく通うということはなかったと思う。 …

灰色猫
1か月前
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女性初の抜擢真打ちと女性目線の落語

抜擢真打ちとは、自分より芸歴の長い先輩を追い越して先に真打ちになることを指す。 何人抜いたか、で期待度が知れるものらしく、本人の重圧もそれとして 話題になることも…

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2か月前

帰ってきた橋本治展

神奈川近代文学館の橋本治展にいく。 元町中華街駅の、元町方面改札からでてエスカレーターで延々登ってゆき かなりの高さになって外に出ると港の見える丘公園まではあと少…

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3か月前
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JAXA講演会場にて

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4か月前

番外編:JAXA講演会場でSORA-Qを見てくる

今回はいつもと違うテーマ。番外編と言うことで。 地元でJAXA講演会があり、でかける。 春先に、SLIMという小型月着陸実証機(正確に名付けたのだろうが・・小型月着陸機…

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4か月前

「笑点」新メンバーに晴の輔さんとは

「笑点」というTVの長寿番組をご存じだろうか。 この番組は故立川談志さん発案によるものということだが、その談志さん(初代司会者)以来、立川流から初めてメンバーにな…

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4か月前
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青森県美術館にて「奈良美智: The Beginning Place ここから」

青森県立美術館は、十和田、弘前の美術館とあわせて巡るつもりだった。なかなか実現しなかったのは、どういうルートを組んでも電車とバスではまわりにくいから。そして結局…

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4か月前
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落語「紺屋高尾」の解題

トルーマン・カポーティの「クリスマスの思い出」という小説をご存じだろうか。あるコラムで、年の離れた(祖母と孫くらいの)バディものという紹介に惹かれて手にした本だ…

灰色猫
7か月前
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街とその不確かな壁

村上春樹は、かつて好きな作家だった。
それが『神の子どもたちはみな踊る』や
(ノンフィクションだが)『アンダーグラウンド』のあとくらいから、
どうも好きではなくなっていて
ただ、好きな作家ではなくなった、といえる程度には読んでいる
という中途半端な位置づけ。

『騎士団長殺し』が久々に面白かったので
新刊が出るならまた読もうかと思っていた。
春樹作品で最も好きな『世界の終りとハードボイルド・ワンダ

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小川哲『君のゲーム』

友人から面白いよ、といわれて少しだけ違和感があった。
いままで勧められた本に外れはないのだが、「面白い」ってなによ、と。
その語彙、何も表現していない。

目にしたらあまりに薄い。
『地図と拳』の厚さからして、またレンガ本(レンガほどの厚さの本)かと
思っていたものだから、これは1時間コースと思い定めて読む。

面白い。
いやそんな表現はどうかと思うが、この言葉が一番的確だとわかる。
タイトルもこ

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図書館という場所

図書館に通い始めたのは大学生になった頃だった。
普通は受験勉強などで地元の図書館などに通うのだろうが
文字通り入り浸る、足しげく通うということはなかったと思う。
入学した大学は、校歌に「原野をひらき」と大げさな歌詞のあるとおり
広大なキャンパスに3つの図書館を持っていた。
ひとつは医学の専門図書館だったのであまり訪れることはなかったが
あとの2つは、隅々まで探訪し、それぞれにお気に入りの場所を見つ

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女性初の抜擢真打ちと女性目線の落語

抜擢真打ちとは、自分より芸歴の長い先輩を追い越して先に真打ちになることを指す。
何人抜いたか、で期待度が知れるものらしく、本人の重圧もそれとして
話題になることもあるようだ。

その抜擢真打ちかつ女性落語家では初、という枕詞がつき
さらには古典落語の「芝浜」では、あまり語られないおかみさんの心情を
入れ込んで話題、ということで、林家つる子さんを一度聞いてみたい
と思っていた。
地元でつる子さんの講

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帰ってきた橋本治展

神奈川近代文学館の橋本治展にいく。
元町中華街駅の、元町方面改札からでてエスカレーターで延々登ってゆき
かなりの高さになって外に出ると港の見える丘公園まではあと少し。
長く急な階段を登らなくてすむため、楽をしているなあと思いながら
ついこのルートをたどる。
外に出ると、そこはアメリカ山公園で、
こちらも見晴らしのよい気持ちのよい庭園。
そこをでて外人墓地脇を抜けると、港の見える丘公園の
イングリッ

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番外編:JAXA講演会場でSORA-Qを見てくる

今回はいつもと違うテーマ。番外編と言うことで。

地元でJAXA講演会があり、でかける。
春先に、SLIMという小型月着陸実証機(正確に名付けたのだろうが・・小型月着陸機でいい気がする)の月面着陸成功にあわせたイベントにもいったので、内容は多少かぶるかな、と思いながらも参加。
結論からするといってよかった。
会場では、小型探査機(野球ボールくらいの大きさの球体で、探査の際は真ん中が割れて展開し両サ

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「笑点」新メンバーに晴の輔さんとは

「笑点」というTVの長寿番組をご存じだろうか。
この番組は故立川談志さん発案によるものということだが、その談志さん(初代司会者)以来、立川流から初めてメンバーになったのが志の輔さんの総領弟子、晴の輔さんである。
聞いたときには、あ、そうきたか、へえ、と驚いた。
まずは、笑点メンバーにこれでようやく東京での落語会派の4団体が出そろったということ。
加えて、立川流にとっても談志さんの孫弟子世代からTV

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青森県美術館にて「奈良美智: The Beginning Place ここから」

青森県立美術館は、十和田、弘前の美術館とあわせて巡るつもりだった。なかなか実現しなかったのは、どういうルートを組んでも電車とバスではまわりにくいから。そして結局、今回、弘前の訪問を断念することで実現した。

青森県立美術館を訪問したのは昨年の秋。
奈良美智の大規模な個展が催されていた。
奈良美智は、横浜美術館での大規模な個展(2016)を観ているが、その頃も人気作家で、関連グッズの売れ行きが尋常で

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落語「紺屋高尾」の解題

トルーマン・カポーティの「クリスマスの思い出」という小説をご存じだろうか。あるコラムで、年の離れた(祖母と孫くらいの)バディものという紹介に惹かれて手にした本だったのだが。

凝った装丁と挿絵の本である。ごく短い小説なのに、この一編しか収録されておらず、独立した一冊になっている。

紙の質感は、挿絵の版画に見合った手触りと厚さで大変趣味がいい。
切れのよい文章。作家自身が愛し、よく自作の朗読に選び

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