番外編:JAXA講演会場でSORA-Qを見てくる

今回はいつもと違うテーマ。番外編と言うことで。


地元でJAXA講演会があり、でかける。
春先に、SLIMという小型月着陸実証機(正確に名付けたのだろうが・・小型月着陸機でいい気がする)の月面着陸成功にあわせたイベントにもいったので、内容は多少かぶるかな、と思いながらも参加。
結論からするといってよかった。
会場では、小型探査機(野球ボールくらいの大きさの球体で、探査の際は真ん中が割れて展開し両サイドが車輪なるもの)SORA-Qの簡易ヴァージョンが操作できるブースがあり、実物の動きが想像できる。
ちょっとしたイラストも配られており、2種類のやり方で悪路である月面を走る、その解説もある。
おおまかな設計は昔の糸巻き戦車とそっくり、というのもなごむ。


この大きさで、完全自律(地上からの通信による指示なし)、月面という過酷な環境でSLIMを撮影し画像を送信するというミッションを無事に完遂。しかもこの技術はタカラトミーやソニーグループが関わっており、いわゆるトランスフォーマータイプのおもちゃでの知見が生かされている。
相棒とも言うべきLEV1(SORA-Qは愛称で本当の名称はLEV2で対になっている)は、自律型でホッピング移動のできるアンテナ。どうせなら、この子にも愛称をつけてあげるべきだと思う。SORA-Qの撮った画像を地球に転送するのはLEV1なのだから。


司会のJAXA宇宙科学研究所・副所長のこぼれ話によると、海外で
「このSORA-Qの開発に使われた技術はおもちゃのトランスフォーマータイプのもので」と話すと、話を聞いた研究者が家に帰って息子のおもちゃのメーカーを確かめる。翌日、(ちょっと興奮して)本当にそうだと話しかけてくる、など、なんとも夢があるいい話である。
なにより未来の科学者やエンジニアになるかも知れない子供たちに訴求する。JAXA広報はこういう話をもっと発信すればいいのになあ、と。
日本の物作りの精度、そのおたくっぽさのわかる話ではないか。
子供おもちゃから宇宙探査機へ。かっこいい。


このSLIMプロジェクトは、10年以上前にはじまったようだが、軽量小型で何回も探査に出かけられる、という当時の重厚長大指向の国プロには珍しいものだった、という。
しかしNASAでさえ民間開発したロケット(それも使い回しのきくエコなタイプ)を使うご時世。宇宙利用という言葉の飛び交う今の時代にはむしろ民間企業的な資金回収やら投資効果という言葉も重要になってくる。
賢いお金の使い方は非営利セクターでも意識されるべきだろう。



講演会後は、その近隣の酒屋の経営する角打ちへ。
趣のある店内で、カウンターに座って珍しいお酒を、ちょっと手のかかったつまみとともにいただく。
連休の箸休めのような一日。
といいつつ、遠出せずともしっかり満足できる過ごし方である。
コロナ禍を経て自分も少し成熟したかな、とちょっと考える。
こういう連休も悪くない。









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