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#雨

【詩】今になって

【詩】今になって

傘からはみ出してその身を濡らしながら

君に雨粒を触れさせない思いやりも

君が苦しさの底にいるときに

その言葉に頷き続ける強さも

僕はきっと持ち合わせていなかった

離れてゆく君の手を握り締める強さを

今になって欲しがっているなんて

ちょびっとの悲劇(23日目)

【詩】影

【詩】影

足元に寄り添っている影が

寂しそうに雨に濡れているよ

独りぼっちに一層暗くなって

こっちをまるで見上げているみたい

オレンジ色の街灯に照らされて

寂しそうにうっすら伸びてゆく

どんなに先へ行ったとしたって

君は 僕はいつまでもひとりぼっち

影が二つ並ぶのを二人で並んで

寄り添い見ることなんてないんだ

ちょびっとの悲劇(44日目)

【詩】同じ風、同じ雨

【詩】同じ風、同じ雨

同じ風が通るこの世界で

君の隣を吹き抜けてきた

空気を感じてこぼすもの

どこか遠く 確かにそこにいる

僕にとって 唯一の君への想い

同じ雨が降るあの場所で

二つの肩を濡らしていた

冷えた心がこぼすもの

どこか遠く ここから離れてゆく

君の気持ち 解ってしまうからナミダ

ちょびっとの悲劇(59日目)

【詩】雨と空想

雨は雲からこぼれ落ちて

つめたい空気を掻き分ける間に

自分が持っていた強さやあたたかさを忘れてしまう

独りでもがいて落ち続けて

自分と同じ仲間がたくさんいることを忘れてしまう

頬を伝う雨粒に僕は言う

あなたはあたたかいのだと

指にとまった雨粒に僕は言う

あなたはひとりじゃないのだと

だからあなたにとって雨である現実がつらいなら

かすかに触れあった心の温度を感じながら僕は言う

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