【詩】雨と空想

雨は雲からこぼれ落ちて

つめたい空気を掻き分ける間に

自分が持っていた強さやあたたかさを忘れてしまう

独りでもがいて落ち続けて

自分と同じ仲間がたくさんいることを忘れてしまう


頬を伝う雨粒に僕は言う

あなたはあたたかいのだと

指にとまった雨粒に僕は言う

あなたはひとりじゃないのだと


だからあなたにとって雨である現実がつらいなら

かすかに触れあった心の温度を感じながら僕は言う

せめて空想のなかでだけは

現実を打ち捨てて

ここから一緒に逃げよう と

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