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読書人間📚

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記事一覧

読書人間📚 『アンソーシャルディスタンス』金原ひとみ

読書人間📚 『アンソーシャルディスタンス』金原ひとみ








『アンソーシャルディスタンス』金原ひとみ


2021年 新潮社刊行
2024年 文庫発行



▶︎Debugger
若い男と付き合うとこーゆー地獄が待ってますよ〜な
警告作品... ではなく、こころを強く、無理のない自分を愛せよ。でしょうか。

▶︎Cooscientia
心の病いをもった人と付き合うのは並大抵のメンタルではつとまらない。一球入魂しない為

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読書人間📚『銀の夜』角田光代

読書人間📚『銀の夜』角田光代



読書人間📚『銀の夜』角田光代



2020年 光文社刊行
2023年 初版一刷




__伊都子は病院にいくのがこわかった。「今」にかろうじてひっかかっているような母と会話をするのは、足がすくむほどのおそろしさだった。__


__伊都子は訊いたが、芙巳子は何も答えない。薄くくちびるを開いたまま、眠ってしまったようだった。芙巳子の息は日ごとにくさくなる。内臓が腐ってい

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読書人間📚 『恋』小池真理子

読書人間📚 『恋』小池真理子

読書人間📚『恋』小池真理子

1995年 早川書房 単行本刊行
1999年 ハヤカワ文庫刊行
2003年 新潮社 単行本刊行
2013年 10刷

1996年 直木賞受賞

狂おしい程の恋。とはよく言うけれど、人は彼らを狂人とするのかもしれません。
秘密の共有がこれほど甘い、狂った情愛をもたらすのか。これほどの事情が私に起こったなら、私も狂人化しその惰性なる情愛に身を焦がすのか。考えると、その甘

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読書人間📚『落下する夕方』江國香織

読書人間📚『落下する夕方』江國香織

『落下する夕方』江國香織


1996年 単行本 角川書店
1999年 文庫本
2019年 48版発行


現実に存在したのかと思わせる浮遊。
誰にとっても胸を熱くさせる存在。
大切なものを奪っておきながら、私の心にさえもすんなり入ってくる。
そして、それはまるで何ごともなかったかのような静かな足音で去っていく。
長い時間をかけて、失うつらさを刻々と味わう。
始めから何も無かったように消えて

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読書人間📚 『乗り遅れたホームの上で』江沢よし

読書人間📚 『乗り遅れたホームの上で』江沢よし


『乗り遅れたホームの上で』江沢よし

2023年 初版第一刷発行



今もどこか遠いところで誰かの哀しみがあり、人が人として生きる為に哀しみを乗り越えようと営む。
しかし生きる限りその哀しみは消えるものでもなく、胸の奥底で大切にしまい、時には開封し懐かしみ涙する。
人は弱いというけれど、江沢さんの著書の中に弱さは垣間見えません。信念を持った人、それを見つけた人だけが持つ強さでしょうか

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読書人間📚 『虐殺的スイッチ / 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?』森達也⁡

読書人間📚 『虐殺的スイッチ / 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?』森達也⁡


『虐殺的スイッチ / 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?』森達也


2018年 出版芸術社、単行本刊行
2023年 筑摩書房 文庫


"善良な人が善良な人を殺す" なぜ。
ひとりひとり個でみれば善良な人だが、集団化すると善良でなくなる。なぜ。 
森さんが撮られた作品『A』『A2』拝見しました。
私にもそこに映る人々が "悪"には見えませんでした。
あの妙な感覚は森さん

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読書人間📚『不可逆少年』五十嵐律人

読書人間📚『不可逆少年』五十嵐律人

読書人間📚『不可逆少年』五十嵐律人


2021年 単行本/講談社
2023年 文庫




リーガルミステリー作家作品の映画化「法廷遊戯」が気になっていましたが、少年犯罪に興味があるので本書を手にとりました。
その名を「不可逆少年」造語です。
環境を変えたり、教育により立ち直らせることのできない少年。生物学的要因により非行に走る少年。感情、それらが脳の特別な構造により欠落した状態に

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読書人間📚 「ほかならぬ人へ」白石一文

読書人間📚 「ほかならぬ人へ」白石一文

「ほかならぬ人へ」白石一文



「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二篇。
尊い時間は、その時には気づけないものか。気づけないからこそ尊いのか。案外、本当に必要で大切なものは近くにあったりする。居心地の良さに、それを改めて幸福だとも感じず日々が過ぎてゆく... 。
私にもそんな経験があります。不思議なもので、それに気付くまでは孤独を感じることはなく、気付いてしまえば孤独に苛まれる。

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読書人間📚「枯れないからだ」植物療法士/森田敦子⁡

読書人間📚「枯れないからだ」植物療法士/森田敦子⁡


「枯れないからだ」植物療法士/森田敦子


2018年 初版発行
2020年 3刷発行


コロナ禍にこれを機にと手に取り、いよいよ向き合う時が来たかとページを捲れば、そこには想像もしない将来のことが書いてあり、ゾッとしながらまたそっと閉じてしまいました。
さてもう2023年も終わりに、やはり気になって仕方がない。知らないでは済まされない現実がある事を受け入れる時が来たかもしれない様なせ

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読書人間📚 『もしも、私があなただったら』白石一文

読書人間📚 『もしも、私があなただったら』白石一文

『もしも、私があなただったら』白石一文


2006年 光文社刊
2008年 光文社文庫刊
2020年 第一刷



装幀画にうっかり、すっかり思い込んでしまいました。ミステリーかと思っていました(でもこの方の絵すき)。  
読み込めば読み込むほど、男と女の間に漂う色香がねっとりとした交わりを魅せています。

実は白石一文さんはお初でございます。
冴え渡ったミステリー作家というイメージが

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読書人間📚『男ともだち』千早茜

読書人間📚『男ともだち』千早茜

読書人間📚『男ともだち』千早茜

2014年 単行本 文藝春秋刊
2017年 文庫本 第1刷
2023年 第7刷


29.30歳の設定ですが、早熟のような気がします。
この境地に辿り着くのは40代からではと思いつつ理解できる...と納得。
登場人物に難があるのは受け入れられない人もいるでしょう。しかし、人間、誰しもワルなところがあるもので、なんでだろ、そうだなぁと受け入れてしまうところが

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読書人間📚 『贅沢な恋人たち』村上龍、山田詠美、北方謙三、藤堂志津子、山田健一、森瑶子、村松友視、唯川恵

読書人間📚 『贅沢な恋人たち』村上龍、山田詠美、北方謙三、藤堂志津子、山田健一、森瑶子、村松友視、唯川恵

『贅沢な恋人たち』
村上龍、山田詠美、北方謙三、藤堂志津子、山田健一、森瑶子、村松友視、唯川恵


1994年 単行本 幻冬舎刊行
1997年 文庫 第一刷


実在するホテルの名称で綴られます。男女の情事。
うっとりするか否かは読者の願望がどこにあるかでしょう。
私の故郷、佐世保のハウステンボスもまたその情事の在るところ。




「天国の右の手」山田詠美
短編ながら濃厚な時間。

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読書人間📚『正欲』朝井リョウ

読書人間📚『正欲』朝井リョウ

『正欲』朝井リョウ

2021年 新潮社刊行
2023年6月 文庫発行
2023年8月 8刷

他者を認めるとは難しいこと。自分にないものを受け入れるには、許容範囲がある。許容範囲を超えたものがはたして異物であるのか? 自分にあるものが正当なものであると、また誰が決めたことなのか。自分にないものこそが正当なものかもしれない。
人が人を好きなることが何故正しいことなのか?人がペットを愛して性交渉を行

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読書人間📚『血も涙もある』山田詠美

読書人間📚『血も涙もある』山田詠美

『血も涙もある』山田詠美

2021年  新潮社刊行
令和5年

途中、「どうでもいい、くだらない」と思えてくる。
そもそも、他人の恋愛なんてどうでもいいこと。そしてそれが不倫ともなれば、更にどうでもいいこと。
誰がスッタモンダしていようがどうでもいいこと。
阿呆らしいと思いながら、不思議と読み心地の悪くなさに読み終えてしまう。

真っ只中にいる読者、まるで縁のない読者、どの視点の人間が読むと本書

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