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村田千沙
2024年4月13日 12:33
『アンソーシャルディスタンス』金原ひとみ2021年 新潮社刊行2024年 文庫発行▶︎Debugger若い男と付き合うとこーゆー地獄が待ってますよ〜な警告作品... ではなく、こころを強く、無理のない自分を愛せよ。でしょうか。▶︎Cooscientia心の病いをもった人と付き合うのは並大抵のメンタルではつとまらない。一球入魂しない為
2024年3月10日 18:00
読書人間📚『銀の夜』角田光代2020年 光文社刊行2023年 初版一刷__伊都子は病院にいくのがこわかった。「今」にかろうじてひっかかっているような母と会話をするのは、足がすくむほどのおそろしさだった。____伊都子は訊いたが、芙巳子は何も答えない。薄くくちびるを開いたまま、眠ってしまったようだった。芙巳子の息は日ごとにくさくなる。内臓が腐ってい
2024年1月30日 19:35
読書人間📚『恋』小池真理子1995年 早川書房 単行本刊行1999年 ハヤカワ文庫刊行2003年 新潮社 単行本刊行2013年 10刷1996年 直木賞受賞狂おしい程の恋。とはよく言うけれど、人は彼らを狂人とするのかもしれません。秘密の共有がこれほど甘い、狂った情愛をもたらすのか。これほどの事情が私に起こったなら、私も狂人化しその惰性なる情愛に身を焦がすのか。考えると、その甘
2024年1月9日 20:58
『落下する夕方』江國香織1996年 単行本 角川書店1999年 文庫本2019年 48版発行現実に存在したのかと思わせる浮遊。誰にとっても胸を熱くさせる存在。大切なものを奪っておきながら、私の心にさえもすんなり入ってくる。そして、それはまるで何ごともなかったかのような静かな足音で去っていく。長い時間をかけて、失うつらさを刻々と味わう。始めから何も無かったように消えて
2023年12月30日 18:47
『乗り遅れたホームの上で』江沢よし2023年 初版第一刷発行今もどこか遠いところで誰かの哀しみがあり、人が人として生きる為に哀しみを乗り越えようと営む。しかし生きる限りその哀しみは消えるものでもなく、胸の奥底で大切にしまい、時には開封し懐かしみ涙する。人は弱いというけれど、江沢さんの著書の中に弱さは垣間見えません。信念を持った人、それを見つけた人だけが持つ強さでしょうか
2023年12月23日 19:09
『虐殺的スイッチ / 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?』森達也2018年 出版芸術社、単行本刊行2023年 筑摩書房 文庫"善良な人が善良な人を殺す" なぜ。ひとりひとり個でみれば善良な人だが、集団化すると善良でなくなる。なぜ。 森さんが撮られた作品『A』『A2』拝見しました。私にもそこに映る人々が "悪"には見えませんでした。あの妙な感覚は森さん
2023年12月6日 22:09
読書人間📚『不可逆少年』五十嵐律人2021年 単行本/講談社2023年 文庫リーガルミステリー作家作品の映画化「法廷遊戯」が気になっていましたが、少年犯罪に興味があるので本書を手にとりました。その名を「不可逆少年」造語です。環境を変えたり、教育により立ち直らせることのできない少年。生物学的要因により非行に走る少年。感情、それらが脳の特別な構造により欠落した状態に
2023年11月19日 19:17
「ほかならぬ人へ」白石一文「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二篇。尊い時間は、その時には気づけないものか。気づけないからこそ尊いのか。案外、本当に必要で大切なものは近くにあったりする。居心地の良さに、それを改めて幸福だとも感じず日々が過ぎてゆく... 。私にもそんな経験があります。不思議なもので、それに気付くまでは孤独を感じることはなく、気付いてしまえば孤独に苛まれる。
2023年11月16日 19:35
「枯れないからだ」植物療法士/森田敦子2018年 初版発行2020年 3刷発行コロナ禍にこれを機にと手に取り、いよいよ向き合う時が来たかとページを捲れば、そこには想像もしない将来のことが書いてあり、ゾッとしながらまたそっと閉じてしまいました。さてもう2023年も終わりに、やはり気になって仕方がない。知らないでは済まされない現実がある事を受け入れる時が来たかもしれない様なせ
2023年10月22日 16:40
『もしも、私があなただったら』白石一文2006年 光文社刊2008年 光文社文庫刊2020年 第一刷装幀画にうっかり、すっかり思い込んでしまいました。ミステリーかと思っていました(でもこの方の絵すき)。 読み込めば読み込むほど、男と女の間に漂う色香がねっとりとした交わりを魅せています。実は白石一文さんはお初でございます。冴え渡ったミステリー作家というイメージが
2023年10月18日 20:44
読書人間📚『男ともだち』千早茜2014年 単行本 文藝春秋刊2017年 文庫本 第1刷2023年 第7刷29.30歳の設定ですが、早熟のような気がします。この境地に辿り着くのは40代からではと思いつつ理解できる...と納得。登場人物に難があるのは受け入れられない人もいるでしょう。しかし、人間、誰しもワルなところがあるもので、なんでだろ、そうだなぁと受け入れてしまうところが
2023年10月12日 21:08
『贅沢な恋人たち』村上龍、山田詠美、北方謙三、藤堂志津子、山田健一、森瑶子、村松友視、唯川恵1994年 単行本 幻冬舎刊行1997年 文庫 第一刷実在するホテルの名称で綴られます。男女の情事。うっとりするか否かは読者の願望がどこにあるかでしょう。私の故郷、佐世保のハウステンボスもまたその情事の在るところ。「天国の右の手」山田詠美短編ながら濃厚な時間。
2023年10月5日 20:36
『正欲』朝井リョウ2021年 新潮社刊行2023年6月 文庫発行2023年8月 8刷他者を認めるとは難しいこと。自分にないものを受け入れるには、許容範囲がある。許容範囲を超えたものがはたして異物であるのか? 自分にあるものが正当なものであると、また誰が決めたことなのか。自分にないものこそが正当なものかもしれない。人が人を好きなることが何故正しいことなのか?人がペットを愛して性交渉を行
2023年9月25日 18:32
『血も涙もある』山田詠美2021年 新潮社刊行令和5年途中、「どうでもいい、くだらない」と思えてくる。そもそも、他人の恋愛なんてどうでもいいこと。そしてそれが不倫ともなれば、更にどうでもいいこと。誰がスッタモンダしていようがどうでもいいこと。阿呆らしいと思いながら、不思議と読み心地の悪くなさに読み終えてしまう。真っ只中にいる読者、まるで縁のない読者、どの視点の人間が読むと本書