篠田正浩監督による『心中天網島』(1969)は、妻子がありながら、ちまたで評判の女郎と契りを交わした若い男が、身内の制止を振り切り、女郎と偽りのない愛を確かめ合った…
『ひとりでいく』は、鎌倉に住む関根愛が、仕事やワーケーションで訪れた遠方の街の人、食、景色との出合い、再会の中で見つけた気づき、家族と自身の過去の記憶に思いを巡…
小津安二郎監督の遺作となった『秋刀魚の味』(1962)は、初老の男が旧友や恩師との交流を経て、自分の年頃の娘を嫁に出そうと決心する話。 この映画の中で特に秀逸な瞬間は…
Catonsville
2024年7月3日 21:19
篠田正浩監督による『心中天網島』(1969)は、妻子がありながら、ちまたで評判の女郎と契りを交わした若い男が、身内の制止を振り切り、女郎と偽りのない愛を確かめ合った果てに、壮絶な心中を遂げる、実験的な「浄瑠璃映画」。映画は人形浄瑠璃のメイキング映像で始まる。人形の胴体から外された頭が置かれていたり、人形遣いがリハーサルをしていたりする間、監督自身が電話で脚本家と打ち合わせる会話の音声が数分にわ
2024年6月12日 10:59
『ひとりでいく』は、鎌倉に住む関根愛が、仕事やワーケーションで訪れた遠方の街の人、食、景色との出合い、再会の中で見つけた気づき、家族と自身の過去の記憶に思いを巡らせ、著者の死生観にまで迫る詩的なエッセイだ。https://megumisekine.base.shop/items/86386722ジャンル横断的な読み物だが、まず人々の温度が、手作りの食を通して伝わってくるのが心地よい。尾道の年
2024年6月2日 22:33
小津安二郎監督の遺作となった『秋刀魚の味』(1962)は、初老の男が旧友や恩師との交流を経て、自分の年頃の娘を嫁に出そうと決心する話。この映画の中で特に秀逸な瞬間は、初老の平山(笠智衆)が、亡妻の面影をみとめる若いマダム(岸田今日子)のバーで呑む2つのシーンにある。1つ目は、戦時中に艦長だった平山と、当時の部下で一等兵だった男との会話。坂本「敗けたからこそね、今の若い奴等、向うの真似しやが