見出し画像

『きりぎりす』太宰治著 新潮文庫

何度も言って悪いのですが、私は太宰が大好きです。
どの作品を読んでも、「これ面白かった」「ここが微妙だった」とどう感じても
私はページを捲る手が止まらない。


太宰について語るのはまた今度にしますが
今回読んだのは

『きりぎりす』太宰治著 新潮文庫

これは今まで読んだ中で神回でした
(「280作品全部読んだことある」と言うのが
私の夢です)

・灯籠
・姥捨
・黄金風景
・畜犬談
・おしゃれ童子
・皮膚と心
・鴎
・善蔵を思う
・きりぎりす
・佐渡
・千代女
・風の便り
・水仙
・日の出前

からなる一冊です
良いものが多すぎて選べませんが

ドッグイヤーに線に書き込みに
本がボロボロになってしまうほど読み込みました

今日はその中から二作紹介します。

『畜犬談』

この間、散歩がてら近所の公園へ行ったら
ペットの殺処分のイベント(ちゃんと考えて飼おう。ペットショップ以外にも里親という方法があるなど)をやっていた。

キッチンカーでうどんでも買おうかと並んでいると、猫について話すおばさんの声。
耳を澄ますと
「最近は家の周りに猫の糞や鳴き声がうるさいなどの苦情を言う人が増えています。いわゆる『猫嫌いな人』の酷い声です。」
と言っていて、私は腹が煮え繰り返った。

質問はありますか?と言われたら
「私は犬や猫よりも、爬虫類や蛇が好きです。
ですが、蛇を車で轢いても何も感じない人がいます。犬や猫は好きだけど、牛の肉や乳を飲む偽善者がいます。
私は猫をケダモノにしか感じません。
では、あなたも私の好きな蛇を愛してくれますか?」
と言ってやろうかと思いました。(そんな勇気はない)

畜犬談の最初の一文。
『私は、犬に就いては自信がある。いつの日か、必ず喰いつかれるであろうという自信である。』
犬嫌い(犬が怖い)な私にとって、掴みから心を奪われました。

終始、犬が嫌という物語です。

犬を愛してやまない人には、太宰が凶悪人に思う文章がたくさん出てくるのでおすすめはしません。

『風の便り』

手紙のやりとりで構成される書簡体小説です。
どこの部分がいい。とかよりも全体的に
太宰治という人間性を感じられる短編な気がします。

昔、家に人を呼んだ後、大事なアクセサリーが消えていたことがあります。
「無くなった。絶対あいつだ。金もなければ、学もない。あいつに違いない。盗まれた。」
と思って悶々としていたら
洗面台に置いてあった。
そんなすぐに誰かを疑い、意地の悪い私には面白くて仕方なかった。

そんな毒舌というか、意地悪なのか
私も心の中は本当に意地の悪い部分があるので
共感もするし、同時に太宰が大好きになります

太宰初心者には、太宰とはどういう人かを
知る為にまず読むのも良いかもしれません。

この記事が参加している募集

#読書感想文

190,092件

#学問への愛を語ろう

6,233件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?