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ポール・マッカートニーの反戦歌「Give Ireland Back to the Irish」が描く北アイルランド紛争の真実

今回の記事は以下マガジンに収録させて頂きました。


Give Ireland Back to the Irish - McCartney: A Life in Lyrics | Podcast

以下のpodcast「lyricsの人生」より 1972 年 2 月にリリースされたイギリス系アメリカ人のロック バンド、ウィングスのデビュー シングル「Give Ireland Back to the Irish」はを分解・分析させて頂きます。
Paul McCartney のファンの皆様におかれましては、翻訳だけを掲載する記事をお望みの方が多かろうとは思いますが、著作権上の問題につき どうぞご理解の程お願い申し上げます。

1972年1月30日、北アイルランドのデリーで起こったブラッディ・サンデー。英国軍兵士による非武装の民間人射殺事件は、世界中に衝撃を与えました。そして、この悲劇的な出来事がきっかけとなり、ポール・マッカートニーは「Give Ireland Back to the Irish」という反戦歌を生み出したのです。

アイルランド人の立場に立った歌詞が描く紛争の実像

マッカートニーは、アイルランド人の立場に立ち、英国人に同情と理解を求める内容の歌詞を書きました。この曲は、北アイルランド紛争の複雑な背景を浮き彫りにすると同時に、暴力に頼らない解決策の必要性を訴えかけています。

マッカートニー自身の家庭にも存在した対立構造

「Give Ireland Back to the Irish」の背景には、マッカートニー自身の家庭環境も大きく影響しています。母親がアイルランド系カトリック教徒、父親がリバプール出身のプロテスタントという、対立する宗派の出自を持つマッカートニー。この個人的な経験が、曲の深いメッセージにつながっているのです。

放送禁止を乗り越え、チャート1位を獲得

発表当初、「Give Ireland Back to the Irish」は、英国のBBCを始めとする多くのメディアで放送禁止になりました。しかし皮肉なことに、この措置がかえって曲への注目を集める結果となり、アイルランドとスペインでは音楽チャート1位を獲得する快挙を成し遂げたのです。

今なお語り継がれる、アーティストの社会的使命

ブラッディ・サンデーから50年以上が経った今も、この事件に関する問題は完全には解決されていません。そのような中で、「Give Ireland Back to the Irish」は、アーティストが社会問題に向き合い、アートの形で自らの思いを表現した重要な事例として、今なお語り継がれています。

平和を願うメッセージが今も色褪せない理由

「Give Ireland Back to the Irish」が私たちに問いかけているのは、暴力や抑圧のない社会を築くにはどうすればいいのか、という永遠の課題です。民族や宗教の違いを乗り越えて、互いに理解し合える世界を目指すことの大切さ。このメッセージは、今も色褪せることなく、私たちの心に響き続けているのです。

ポール・マッカートニーの「Give Ireland Back to the Irish」は、音楽の持つ力を改めて実感させる名曲です。この曲が描く北アイルランド紛争の真実と、平和を願うメッセージは、時代を超えて私たちに問いかけ続けているのです。

「Give Ireland Back to the Irish」 - ポール・マッカートニーが北アイルランド紛争に挑んだ決意と影響

「Give Ireland Back to the Irish」の更に裏側を詳しく分析し 掘り下げさせて頂きます。

北アイルランド紛争という背景

  • 北アイルランドでは、1960年代後半から英国統治に対する抗議運動が激化

  • カトリック系住民は差別撤廃と平等な権利を求めて民権運動を展開

  • 1972年1月30日、北アイルランドのデリーで「血の日曜日事件」が発生

  • 英国軍がデモ隊に発砲し、13人が死亡、多数が負傷するという悲劇が起きた。

  • この事件は、北アイルランド紛争の象徴的な出来事となった。

ポール・マッカートニーの衝撃と曲の制作

  • ポール・マッカートニーはアイルランドにルーツを持ち、母方の家族とのつながりが強かった。

  • 「血の日曜日事件」のニュースに衝撃を受け、即座に行動を起こすことを決意

  • 妻のリンダと共に「Give Ireland Back to the Irish」を作曲

  • 事件からわずか2日後の1972年2月1日、ロンドンのEMIスタジオで録音を敢行

  • 北アイルランド出身のギタリスト、ヘンリー・マッカロックが参加し、バンドの新たな一面を示した。

物議を醸した歌詞と放送禁止

  • 曲のタイトルや歌詞は、北アイルランド問題に対する単純化された見方だと批判された。

  • "Give Ireland back to the Irish, don't make them have to take it away" (アイルランドをアイルランド人に返せ、奪わせるようなことはするな)というフレーズが物議を醸した。

  • BBCをはじめとする英国の主要放送局が、曲の放送を禁止する決定を下した。

  • マッカートニーはBBCの決定を皮肉り、「私の意見を若者に聞かせないようにしたBBCを高く評価すべきだ」と皮肉交じりにコメント

  • 一方で、BBCのDJジョン・ピールは「曲の禁止は、曲の内容よりも強い政治的行為だ」と、マッカートニーを支持する発言をした。

チャートでの成績と批評家の反応

  • 発売されたシングルは、英国チャートで16位、米国ビルボードチャートで21位を記録

  • アイルランドとスペインでは1位を獲得し、大きな支持を集めた。

  • 多くの音楽評論家からは、複雑な政治問題に安易に便乗しているとの批判が寄せられた。

  • ビートルズ解散後、ソロ活動に苦戦していたマッカートニーが、物議を醸す曲で注目を集めようとしているという見方もあった。

  • 一部では、マッカートニーがジョン・レノンとの関係を意識し、過激な政治的発言で印象付けようとしているのではないか?との憶測も飛び交った。

後年の評価と影響

  • 2001年に発売されたベストアルバム「Wingspan」には、ロンドンでのテロ事件を受けて、「Give Ireland Back to the Irish」の収録が見送られた。

  • マッカートニーは、楽曲が過激組織への支持と受け取られかねないことを懸念し、EMIの要請に応じて収録を断念

  • 歌手のモリッシーは、政治的発言をしながらも王室との関係を維持するマッカートニーの姿勢を批判

  • アイルランド系移民の子孫であるデクシーズ・ミッドナイト・ランナーズのケビン・ローランドは、自身のルーツを象徴する曲として高く評価

  • 「Give Ireland Back to the Irish」は、ポップミュージックと政治の関わりを考えさせる重要な楽曲の一つとして、今なお議論を呼んでいる。

結論:

「Give Ireland Back to the Irish」は、ポール・マッカートニーがビートルズ解散後に発表した最初の政治的メッセージを含む楽曲です。北アイルランド紛争という複雑な問題に対する単純化された見方が批判を招きましたが、アイルランドやスペインでは大きな支持を得ました。放送禁止や批評家からの批判にもかかわらず、今なお議論を呼ぶ楽曲として知られています。

この曲は、音楽と政治の関係性を考えさせる重要な作品であり、アーティストが社会問題に立ち向かう姿勢を示した例としても注目に値します。「Give Ireland Back to the Irish」は、ポール・マッカートニーのキャリアにおいて特異な位置を占める曲ですが、同時に彼の音楽性の多面性と社会に対する意識の高さを示す作品でもあるのです。

日本語翻訳

「アイルランドに平和を」
(Give Ireland Back to the Irish)

[Chorus]
アイルランドをアイルランド人に返して
彼らに奪われる前に返して
アイルランドをアイルランド人に返して
今日こそ、真のアイルランドを取り戻そう

[Verse 1]
偉大なる英国よ、あなたは素晴らしい
そして、私のように知っている人はいない
でも、本当に、あなたは何をしているの?
海を渡ったその土地で

[Pre-Chorus]
教えて、あなたはどう感じる?
もし、仕事に行く途中
アイルランドの兵士に止められたら?
横たわって、何もしない?
屈する、それとも激しく抵抗する?

[Chorus]
アイルランドをアイルランド人に返して
彼らに奪われる前に返して
アイルランドをアイルランド人に返して
今日、アイルランドを本当のアイルランドに

[Verse 2]
偉大なる英国と全ての人々は
全ての人が自由でなければならないと言う
一方、アイルランドでは
私のように見える男がいる

[Pre-Chorus]
そして、彼は神と国を夢見る
そして、本当に悲しんでいる
そして、彼は刑務所に座っている
言って、彼は横たわって、何もしないべき?
屈するか、それとも狂うべき?

[Chorus]
アイルランドをアイルランド人に返して
彼らに奪われる前に返して
アイルランドをアイルランド人に返して
今日、アイルランドを本当のアイルランドに

演奏者 : 各楽器担当

Paul McCartney – lead vocals, bass guitar
Linda McCartney – backing vocals, RMI Electra Piano
Denny Laine – backing vocals, electric guitars
Henry McCullough – electric guitars
Denny Seiwell – drums
uncredited – handclaps

感想

McCartney: A Life in Lyrics の選曲「Give Ireland Back to the Irish」が渋いといいますか?渋すぎるとも思っております。

https://booksch.com/go/me

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