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「プロレスラー」と「書店員」の止揚

名言来ました。

「考え方間違ってる奴いっぱいいるんだ」「何が間違ってるのかわかんない奴」「言われたことやるのなんて当たり前。そこから自分で価値を付け足せ」

会社にやれと言われたことをちゃんとやっている。なのに評価されない。何も間違っていないのに。そういうメンタリティの人、皆さんの周りにいますか? 私の職場にはいます。

デスぺ選手は「少し前の俺がそうだった」と正直にコメントしています。私も以前の己を振り返って「あ、俺も」と顔から火が出ました。

朝早く来て荷物を開け、棚に出し、返品する。売れ筋や良さげな本を注文する。レジで接客し、電話を取り、お問い合わせに対応する。午後は入荷したダンボールの山を受け取りに行き、新刊を品出しし、雑誌に付録を挟み込む。

全て大変な仕事です。一方でこれらをそつなくこなすだけでは、いつまで経ってもランクは上がらない。ここでいう「ランク」とは必ずしも給料や役職を意味しません。

どんな業種でも目に見えない「職場内ランク」ってありますよね。店長より平社員が、正社員より非正規社員が上なんてケースも珍しくない。これがアップすると周囲の見る目が変わり、意見も通りやすくなります。

ではどうすれば上がるか?

ひとつは「与える」。たとえば品出しが遅い人のレジ時間を代わりに引き受ける。休んだ人の荷物を棚に出す。プロレスでたとえるなら相手の技をガンガン受けて長所を引き出す、他のカードが凡戦に終わったのを自分の試合でカバーする、など。

一見は貧乏くじ。でも棚橋弘至選手が断言していました。「最後に勝つのはギバーなんだ」と。

もうひとつは「発信する」。POPを書いたりSNSを使ったりしてオススメ本を告知する。プロレスだったら試合前の煽りや終了後のコメントがこれに当たります。要は仕事の愚痴ではなく売りや魅力を社会に訴え、関心を深めてもらうように努めるわけです。

もちろん発信しても効果があるとは限りません。私もPOPを書いたのに一冊も売れなかったことが何度もあります。でもとあるサッカー選手が言っていました。「PKをミスできるのはPKを蹴る勇気のある者だけだ」と。

以前の私はこのふたつが欠けていました。入ってきた本をただ並べる。来た人にただ売る。なくなったらただ補充する。帰宅後は何もしない。全てが受け身でした。売れないものをどう売れるようにするか、良書をいかに発掘するか、という発想すらなかった。なのに「数字が悪いのは俺のせいじゃない」「やることはやってる」と踏ん反り返っていたのです。

読書メーターやnoteでいわゆる「ステマ」をする意図はありません(そもそも宣伝したって私の職場で買ってもらえるとは限らない)。でも「これはいい」と思った本のレビューを書けば、他の書店で売れるかもしれない。素晴らしいお店を紹介することで読書人口が増える可能性もある。

それらも「与える」仕事です。同じ業界で働く仲間に与えていれば、必ず自分に帰ってくる。

プロレスラーと書店員。何の関連性もありません。だからこそふたつをアウフヘーベン(止揚)することで新たな道筋を得られたのです。この手法は↓で学びました。

読み易いのに心に深く刺さる一冊です。きっと状況を打開するヒントに出会えるはず。ぜひ。

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