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「物書き書店員」の「使命感」

知りませんでした。

芥川賞候補作のひとつ「荒地の家族」を書いた佐藤厚志さんは、なんと丸善・仙台アエル店に勤務している現役の書店員とのこと。

本屋で働きながら小説家としてデビューし、なおかつ有名文学賞の候補にノミネートされる。すごいことです。

「物書き書店員」の端くれとしては、佐藤さんが正社員か非正規雇用なのかが気になります。もし前者だったら、おそらく早番と遅番の両方をやっているはず。遅番の次の日の早番はホントにしんどいです。加えていまはどこも人手不足だから、仕事量は相当なものでしょう。店長不在時には責任者の役割も果たしているかもしれない。ただただ尊敬します。

非正規雇用であれば同じ立場。それはそれで励みになるし、いっそうの親近感を覚えます。私も新人賞への応募こそやめましたが「ハードボイルド書店員日記」を毎週日曜にnoteで発表しているので。

いつか紙の本にしたいです。もっと多くの人に本屋を好きになってもらうためのきっかけになりたい。業界を良くしていくために、書店員の楽しさだけではなく、大変さや理不尽な状況も率直に伝えていく。最近では「小説家デビュー!!」みたいな欲の野心よりも、こういう思い込みめいた使命感が執筆のモチベーションになっています。

推測ですが、佐藤さんも被災者にしかわからない何かを小説で伝えることに使命感を抱いているのかもしれません。

彼にはいずれ「本屋で働きながら作家になるまで」や「物書き書店員の日常」を綴ったエッセイを書いてほしい。仙台在住の作家といえば伊坂幸太郎さんが有名ですが、巻末でおふたりの対談というのはどうでしょうか? 

芥川賞と直木賞の結果発表は1月19日(木)。奇しくも「荒地の家族」の発売日でもあります。お求めはぜひお近くの書店にて。

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