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仙台再訪ーその時は突然に

学生時代、4年間を過ごした街・仙台。社会人になってからも遊びや出張で訪れていた、なじみ深い土地。
父が急逝した日、(仕事で)出かけていたのも仙台だった。それ以来、丸4年ほど足が遠のいていた。(街に対する詳しい思いはこちら。

そんな、因縁の?場所に再び出かけることになった。仕事関連、出張だ。話が始まったのは9月で、決断に少し時間がかかった。「行きます」とすんなり言えない自分は、やっぱりトラウマを抱えているのだなと思った。事情を話して断ろうかと本気で考えたけど、多分理解されない感情だろうから、やめた。
仙台に(仕事で)行ったら良くないことが起きるんじゃないか。他人からしたらあり得ないことを真剣に思っていた。
でも。もうあの日から時間は経って、私も周りも変わっていって。いつかは乗り越えなきゃと分かっていて。そのタイミングが、来たんじゃないかと。
業務上大事な仕事な気がして、腹をくくった。

「ああ、本当に行くんだ」と地元の駅の改札を通った。あっという間に着いてしまう。ホームに降りて、出口に向かう途中に鼻をかすめる匂い。仙台の匂い。「ああ、変わっていない」と失笑してしまう。
コーヒーと百貨店(化粧品?)の混ざった匂い、を感じるんだよなあ。

街並みなんて見ずにお昼ご飯を駅地下で済ませて、すぐ地下鉄に乗るつもりだった。でも、私はステンドグラスを横目に外に向かった。「仙台駅」の文字を見上げる。
懐かしいような、見慣れているような。不思議な感覚だった。「ああ、着いた」と暖かい日差しの下に佇んだ。何枚か写真を撮る。よく、そういう風にしている人を傍から「観光かな」って見ていたっけ。自分がそっち側になるとは、ね。

ひとまず駅地下でご飯を食べた。新しくなっているところもあったけど、概ね「知っている」ラインナップだった。最後に来た時からも、仙台に住んでいた時からも、変わっていないお店。
田舎に住んでいると、15年も同じ場所に存在し続けられるのはすごいことだと実感する。
さて、地下鉄に乗って目的地へ。と、その前に。ペデストリアンデッキを歩いたり、アーケードの入口に行ってみたりした。変わっていく寂しさを感じたこともあったけど、「ちゃんと仙台」だった。私の知っている街だった。

初めて乗る東西線の乗り場は深く。便利になったなあ、と大学生らしき人たちを眺めていた。楽しいキャンパスライフであってくれ、と思う。
仕事は充実した話ができて無事に終わった。繋がりを持てたのが嬉しくなる、素敵な人と出会えた。来なければ持てなかった感情だ。
さて、帰りの新幹線。例によって地下鉄を降りてからバタバタ。セーフな時間に改札に入るも、ケアレスミスでさらにバタバタ。どうにか間に合い指定席に座った時、額には汗が。これから冬を迎えようとしているのに、同じ東北とはいえ仙台は暑いな、と。

地元に戻り「克服したな」とほっと一息ついた。年内に、あと2回行くことが決まっている。本当は、そのターンで克服しようとしていたのだけど。一足先に、タイミングが来たのだった。何はともあれ、良い一日だった。

すっきりした気分で、11月を迎えた。

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