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こちらあみ子|今村夏子 あらすじと感想「芥川賞作家の衝撃のデビュー作とは?」

こんにちは!
芥川賞作品を中心に読書が趣味のYasuです。

少し間が空いてしまいましたが、今回ご紹介しようと思うのは、
今村夏子さんの『こちらあみ子』という本です。

著者の今村さんは『むらさきのスカートの女』にて2019年夏に芥川賞を受賞しました。

一人称で書かれたユニークな主人公の行動にくすっと笑ってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まさに今村ワールドがありますよね!

『むらさきのスカート』については以下の記事で、
2位として取り上げましたので、興味がある人はぜひ!

最近読みました『こちらあみ子』も同様に世間とズレた主人公の目線で語られている面白い作品でした。

簡単に自己紹介させてください。

筆者ってどんな人?
2019年卒で、総合商社にて勤務しております。
趣味:読書とスポーツ全般
出身大学:MARCHレベル
就活時は幅広く業界を見ており、40社にエントリー。面接も70回以上受け、結果的に外資金融、外資コンサル、大手食品メーカー、広告代理店を含む6社から内定をいただきました。
noteでは、就活のコツや総合商社業界に関する記事を中心に書いています。
学歴で諦めない、攻めの姿勢の就活を応援します!
profile:https://note.com/bookbility/n/nfd1539ae83ba

『こちらあみ子』とは?

今村夏子さんの『こちらあみ子』は、2010年に発表されたデビュー作品です。
第26回太宰治賞を受賞。
翌年2011年には三島由紀夫賞を受賞し、W受賞となりました。

帯にも「衝撃のデビュー作」と書かれています。

同書には、3つの作品が入っています。
・こちらあみ子(117ページ)
・ピクニック(87ページ)
・チズさん(19ページ)

発表は2010年ですが、実はこの本、最近になって注目を浴びています!
その理由は2つ。

① まず、今年1月に公開となった、菅田将暉、有村架純出演の大ヒット映画「花束みたいな恋をした」にて取り上げられました。

2人は共通の趣味である読書をきっかけに距離を詰めるという、ストーリーなのですが、その時に出てきたのが、こちらあみ子に収録されている『ピクニック』でした。

出会ったばかりだというのに、居酒屋からカラオケへとハシゴし、缶ビールを片手に深夜の甲州街道を歩きながら、今村夏子作品について話す二人。デビュー作「こちらあみ子」も好きだけど……と前置きをしつつ、同時収録された書き下ろしの「ピクニック」を絶賛します。
 その後も、就活の圧迫面接に涙したり、仕事で理不尽な目にあったりと、お互いが“社会の偉い人たち”に傷つけられるたびに、「その人は、きっと今村夏子さんのピクニック読んでも何も感じない人だ」という言葉をかける二人。「ピクニック」は、互いの感性の指標であり、二人をつなぐ大切な作品なのです。
(引用:https://book.asahi.com/article/14197254

映画に登場するほどの代表作ということですね!
以下のツイートのように、映画きっかけで本を読んだという方もいらっしゃいますね。
(私は知らずに買いましたが笑)

②映画化

『ピクニック』が他の映画で取り上げられるだけでなく、
なんと『こちらあみ子』自体も映画化が決まりました!

森井監督のもと、広島県内を中心としたロケとキャスティングで映画化されるとのこと。
撮影は7月から県内で始め、公開は来年頃です!
この小説を読んで良かった方はぜひ映画も見てはいかがでしょうか。

あらすじ

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いかに『こちらあみ子』が注目を浴びているか分かったところで、あらすじを書いていこうと思います。

3本の中で、チズさんは超短編なので、『こちらあみ子』と『ピクニック』について解説します。

★『こちらあみ子』あらすじ

主人公あみ子が小学校時代を回想するところから、物語が始まります。
当時、あみ子の母親は書道教室を開いており、教室に通う「のり君」という少年にあみ子は惹かれていきます。
仲良くなろうと話しかけるものの、煙たがられて相手にしてもらえないのです。
家族にも好かれようと気を利かすあみ子でしたが、全て裏目にでて、大好きな母親を深く傷つけてしまうことも。
「人と違い、ズレた感覚を持つ」あみ子が、コミュニケーションに苦労していく話です。

★『ピクニック』あらすじ

主人公ルミは、ローラーシューズを履いて接客を行う「ローラーガーデン」で働いています。
ある時、職場に新しく中年の女性「七瀬さん」が加わります。
七瀬さんは有名なお笑い芸人「春げんき」と付き合っていると告白。
なれそめや近況報告を頻繁に話すようになります。
ルミを始めとする、職場の仲間は興味を持ってその話を聞く一方で、七
瀬さんの恋をバカにする新人が嫌がらせを始めてしまいます。
物語内で出てくる色々な形の悪意とは?
人間の醜さが細かく描写されている作品です。

感想

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まず、『こちらあみ子』は、今村夏子さんの芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』に似た匂いを感じました。

世間とズレた主人公の断片的な視点で描写されており、どこか切なさがあります。
自分なりに考えた行動が、周りの人を不幸にしてしまう様子が心苦しかったです。
結局、人間は自分の視点でしか生きられないという、現実がよく描かれていたと思います。
自分視点だと正解も分からなくなってしまいますよね。。。

『ピクニック』も同様に主人公の限られた目線から少しずつ全容が分かるような構成になっています。

「明らかな悪意」と「陰に潜む悪意」がコントラストで描かれているのが大きな特徴でした。
一見、優しそうな人でも複雑な悪意を持って接していることがある、その怖さを思い知りました。

正直、メッセージ性に気が付けるのは2人1人くらいではないでしょうか。

ちなみに私は気づけなかった鈍感な人間で、他の人の書評を見て
「あっそういうことか!!!」
となりました。
(『花束なような恋をした』で有村架純に怒られちゃいますね(笑))
理解できると、とても残酷・皮肉的な小説に思えます。

まとめ

今回は、最近読んだ『こちらあみ子』の書評を書いていました。
今村夏子さんの小説は、人間の怖さや真意をついた小説が多く、大好きです。
『むらさきのスカートの女』もあわせて読んでみてはいかがでしょうか。
そして『ピクニック』の怖さに一発で気づけた方は、コメントください!

今後も本の紹介をしていきますので、読書好きの方々、
フォローのほど宜しくお願いします!!

★最近、投稿を怠ってしまっていますが、インスタでも本の紹介をしています。

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