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日常のステップ

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日常のステップ #36 繋がりつつ、ひとりな夏の日

日常のステップ #36 繋がりつつ、ひとりな夏の日

夏が隣に来ていた目を開けたら、夏が隣に来ていた。
このモワッとつつみこむような暑さ、湿度、
せみの鳴き声、風鈴の音、枯れたあじさい、
そして「7月」という響き。

ちょっと追いつけない気がして、
銭湯にあったスポーツ新聞の日付けを切り抜いて取っておきたくなる。そうすれば、その紙面だけでも、私を待ってくれる気がして。

でも夏は待ってくれない。
追いかければ追いかけるほど、どこか遠くへいってしまう。

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日常のステップ #35 「さみしさって100色あんねん」

日常のステップ #35 「さみしさって100色あんねん」

電話口で「でもな、さみしさって100色あんねん」って言われた時、思わずツッコんでしまった。「いや、アンミカやん。」

でも、言いたいことが痛いほどわかった。

例えば、特定のパートナーがいないときのさみしさと、
パートナーがいる時に、分かり合えない、相手がそっけない、そういう時のさみしさは、色が全く違う。

前者のさみしさにはどこか爽やかが漂うのだ。そして、いつかきっと分かり合える人と巡り合える、

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日常のステップ #34 鼓動

日常のステップ #34 鼓動

うさぎが私の足の上に寝っ転がった。
トゥットゥットゥッと、小刻みにうさぎの鼓動が伝わってくる。
人の10倍の速さで、うさぎの命は進んでゆく。
生々しい生の証に、夜風がそそぐ窓辺で私は静かに圧倒され、本を読む手が自然と止まった。

机に向かっていると、ふと自分の鼓動を感じることがある。
お尻から椅子に伝わる振動に、ふと逆輸入的な生を感じ取るのだ。
それはまるで、テストに出ないくらい当たり前だけど、ほ

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日常のステップ #31 公園の遊具でルージュを塗った日

日常のステップ #31 公園の遊具でルージュを塗った日

それは澄み渡るように晴れた日だった(たしか)

それは少しだけ息がしずらい日々の中の一日だった(たぶん)

それは気の抜けたおしゃれをしたくなる日だった(ほんと)

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春がギアを入れ始めたとある日、緑が似合う友達と、中野のベーカリーでキャロットケーキとピーカンパイを買った。

近くの公園のベンチで、その子のヨーロッパでのカウチサーフィンの話を聞きながら、フォークで突いて食べる。

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日常のステップ #30 ちぢれ麺は焼きそばにはなれない

日常のステップ #30 ちぢれ麺は焼きそばにはなれない

朝ご飯に、冷蔵庫にあったもので焼きそばもどきを作った。母が職場から持って帰ってきた大量のじゃがいもとにんじんの薄切り、サラダチキン、そしてちぢれ麺。

野菜は調理師を目指す生徒たちが練習で切ったものなんだけど、自分の”薄切り”の概念が相対化されるほどに、多種多様な大きさが転がっていておもしろい。
皮をむいて洗って途中まで切ってくれてるのがとても助かるので、いつも重宝している。

その野菜たちを炒め

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日常のステップ #28 冷たい人間

日常のステップ #28 冷たい人間

私は実はすごく冷たい人間なのかもしれない。

おこがましいけど、自分は人に対して「やさしい」と思う。友達からも度々そう言ってもらえることが多い。

でも、人に優しくする時、その人のためというよりは、「いい人」って思われたいからって方がしっくりくるし、

誰も見てないところでする「いいこと」は、自分の気分がよくなるからってのが主な理由だ。

結局自分に興味を失った人に対しては、だんだん私も興味を失っ

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日常のステップ #29 ライブラリの化石と銀座の歩行者天国

日常のステップ #29 ライブラリの化石と銀座の歩行者天国

聴きたい曲が思い浮かばない時、音楽アプリのマイライブラリをシャッフル再生してみる。

不思議なもので、自分が追加したはずなのに、聞いたことない曲がよく流れてくる。友達におすすめされたとか、ジャズバーで流れてたものとか、テレビで出てきたとか、そういうきっかけで追加したものたちだ。

誰かに熱烈におすすめされた曲って、その相手の熱意への礼儀を兼ねて、その場で追加したりする。あとでゆっくり聴こうと思って

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