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読書について

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読書の記録や本にまつわる話
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#徒然日記

『民藝のインティマシー』鞍田崇

『民藝のインティマシー』鞍田崇

今日は世田谷美術館に行きたかったのですが、午前中に用事を済ませがてら少しウォーキングを頑張ったら、思った以上に暑さにやられて午後はダウンしてしまい、出かけるのは諦めました…。

代わりに図書館で借りた『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』を読んで、民藝の解像度を上げてから美術館にいくぞ、と思っています。

この本は、この前まで読んでいた『私の生活改善運動』の中で触れられていた本です

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『私の生活改善運動』その3(犬と冷静な目)

『私の生活改善運動』その3(犬と冷静な目)

安達茉莉子さんの文章には、なんとも言えないユーモアのセンスを感じてしまいます。なにげないシーンの裏側で考えていることに、クククッて笑いたくなるような。

たとえば安達さんの文章に登場する「犬」。実在はしていない犬なんですが…。
妙蓮寺(後でこのまちへ引っ越すことになる)の本屋さん、「生活綴方」でお店のひとたちと初めてご飯を食べることになった場面でこの犬は登場します。

びくびくした野良犬の顔が作者

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『私の生活改善運動』その2(体感)

『私の生活改善運動』その2(体感)

作者の安達さんが家探しをしていたときの一文。
「アプリのチェックボックスには絶対ないもの。」わかるなぁ。

ネットで色々見つかる便利な世の中だけど、本当に心から欲しいものって、案外見てるだけでは探せなかったりします。検索しすぎてグッタリ疲れたり。

そんなときは、やっぱり五感を使って、身体丸ごとで感じるのがいいんだなと。百聞は一見にしかずじゃないけど、100件サイトを覗くより1回現地に行くほうが、

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『私の生活改善運動』安達茉莉子

『私の生活改善運動』安達茉莉子

図書館で予約していた本が、やっと順番が回ってきて読んでいます。
ポッドキャスト「チャポンと行こう!」で紹介されていたこの本。

まず、本の質感が好きでした。
軽くて手に収まりやすく、表紙の絵も可愛いしスッキリしたタイトルも好き。

もともとZINEとして発行していたものを本にしたそうで、ZINEのときの軽やかさが書籍になっても残っているのかも。

著者の安達さんが妙蓮寺に引っ越してきた場面から話が

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最近読みたい本

最近読みたい本

そのままですが、ここのところ気になる本たち3冊。でも最近出た本とは限りません。
会話の中で気になったり、周りとの話題になったりした本などです。

『生きのびるための事務』坂口恭平

『世界標準の経営理論』入山章栄

『友だち幻想』菅野仁

『友だち幻想』は手元にあって、だいぶ前に一度読んだのですが、子供たちと人間関係について話していると「あの本にはなんて書いてあったかな…」と思い出すことが多くて、

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読み終わって

読み終わって

恩田陸さんの『spring』を読み終わりました。
最後の方は読み終わるのが惜しくて、ちょっとずつ、ちょっとずつ読みました。

主人公「春」のことを、複数の視点から描いているこの作品。
次の章は誰が語るんだろう?というワクワクしながら読みました。

面白かったところ。
魅力的なキャラクターたち。この人がミューズだったのか〰、とか、初恋はこのシーンだったの!?などネタバレしそうで言えないけど心の中で叫

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『spring』恩田陸

『spring』恩田陸

買ってしまいました。
読み始めたら止まらない…。
一気に半分読んで、あーもう寝なきゃとなりギブアップ。

ほぼ日WEEKLYで紹介してくれて、ありがとうございます!感謝です。

『蜜蜂と遠雷』も面白かったけど、今度はさらに難易度が高い(?)、バレエを題材にした小説です。音楽を文章で表現するのも難しいのに、さらに動きまで加わってしまって。

ちょっと意外だったのが、コンテンポラリーダンスについても沢

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『コミュニティデザインの時代』#2

『コミュニティデザインの時代』#2

先日読み始めた山崎亮さんの著書、読了しました。

コミュニティデザインという聞き慣れない言葉。または、分かったようではっきりと答えられない言葉。山崎亮さんは「大人の部活動づくり」という言葉で表現していました。

本を読んでみてわたしが受けた印象は…

「楽しい」とか「自分ごと」という意識がないと地域の活動は続かない。それをうまく外から促すのがコミュニティデザイン。

仕事とプライベートの垣根がゆる

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珠玉のエッセイ

珠玉のエッセイ

エッセイが好きです。
思えばnoteをつらつら書くのが好きなのも、エッセイが好きだからかもしれません。
『徒然草』の「心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば」がまさに理想、読んで心に風が吹くような文章が理想です…。(ハードル高い。)

時々、ハッと目が覚めるような清冽なエッセイに出会います。今日はそんな出会いがありました。

わたしは「ほぼ日」の愛読者で、メルマガも登録しているの

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『コミュニティデザインの時代』山崎亮

『コミュニティデザインの時代』山崎亮

この前読んだ『来るべき民主主義』の中で紹介されていた本。最近読む本はだいたい数珠つなぎのように、関連する本が多くなっています。少し前の本ですが(2912年9月初版)、でも書いてあることは十分いまに通用しそうです。

まず面白いなと思ったのが「適疎」という考え。
いまの日本の人口減を嘆く声が多いけど、長い歴史で見ると1900から2000年手前の人口が急増していた時期のほうが特殊で、むしろ適正な人口に

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『来るべき民主主義』國分功一郎

『来るべき民主主義』國分功一郎

先日読んだ『目的への抵抗』(2023.4出版)から遡って、2013.9に出版された『来るべき民主主義』を読んでみました。

副題に「小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題」とあるように、著者が地元、小平市の道路計画見直しを求める住民運動に参加する中で、民主主義とはなにか、議会制民主主義の問題点はなにかを考察した内容です。

いろいろな提言がありましたが、興味があった「ファシリテーター」について

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『都市の問診』饗庭伸

『都市の問診』饗庭伸

積ん読の中から、『都市の問診』を読み始めています。何となく面白そうだな〜と思って図書館で予約したんだったかな…。だれかの文章の引用で見たのかもしれません。
問診という言葉は普通人に使うけれど、都市の問診ってどういう意味だろうと感じました。

冒頭で、フムッと思った箇所。

駅前に住む農民ってちょっとユーモラスな書き方ですよね。鍬を持った江戸時代の農民が駅ビルにいる姿を想像してしまいました。

改め

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『目的への抵抗』國分功一郎

『目的への抵抗』國分功一郎

國分さんの本を読むのは初めてです。副題に「シリーズ哲学講話」とあったので、読みやすそうな印象でこちらを選んでみました。

目的への抵抗、ってどういう意味だろうと思っていましたが、読んで納得。
「目的」を「手段」を正当化するためのもの、と捉えると、目的が必然の世界はとても息苦しい世界です。そこからはみ出ることが人間の自由である…といった内容です。
こう書くのは簡単ですが、そこに至るまでの思考の跡はと

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エフェクチュエーション②

エフェクチュエーション②

『エフェクチュエーション』引き続き読んでいます。やっと第4章を読み終わりました。
最初の感想はこちらから。

ここでは、この本の粋ともいえる原則が5つ紹介されています。

「手中の鳥」の原則

「許容可能な損失」の原則

「クレイジーキルト」の原則

「レモネード」の原則

「飛行機の中のパイロット」の原則

各原則は、わたしなりの理解だとこんな感じです。

手持ちの手段を使ってどんな結果が出せる

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