記事一覧
日記(2022/10/05-10)
水曜日。ゴダール『はなればなれに』再見。何となくマディソンダンスやルーブル美術館ダッシュの可愛らしさだけで記憶してたけど、今見ると実はまあまあ陰鬱な犯罪映画。ラストのあっけらんかんとしたハッピーエンドが大好き。「たかが映画」と言うかのような、もう映画終わったんでさっさと帰ってね、とでも言うかのような。
木曜日。渋谷シネマヴェーラでジョン・フォード特集『サブマリン爆撃隊』。ブルジョワ青年が海軍に入
日記(2022/10/03-04)
月曜日。早く寝たせいで朝に余裕ができたから再見したかった『女と男のいる舗道』をU-NEXTで。何日か前からまた60年代ゴダールが気になっている。カメラのパンが機関銃の音に合わせてダダダとなるが、あれは編集とかじゃなくてラウル・クタールが手でやっているというのが『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』のインタビューにあった。
画面については『全評論・全発言Ⅰ』にこういうのがあった。「1.33は気まぐれ
日記(2022/09/30-10/02)
金曜日。品川から新幹線で彼女と名古屋へ。国際芸術祭「あいち2022」。愛知芸術文化センターの展示を全部見ていたら日が暮れた。僕も彼女もすぐ座りたがるから途中からむしろ展示よりも休憩の方が楽しみになってくる始末なのだが、お昼、高島屋のあつた蓬莱軒でひつまぶしを食べ、碁石を入れておくような器に米と鰻がぎちぎちに詰まっていて多幸感に浸り、その代わり満腹になりすぎて苦しくなって、その後の電車で彼女がお腹を
もっとみる日記(2022/09/26-28)
月曜日。ゴダール『カラビニエ』初見。今年集中的に見ていた80年代以降のゴダールがそのサウンドの前衛性にも関わらずどこか「静謐」な印象を与えるのに対して(白を基調とした画面のせいもあるのかもしれない)、久しぶりに60年代ゴダールを見てみるとそこに「温かみ」のようなものがある。どこか親しみやすいというか、ゴダールが完全にどことは知れぬ「あちら側」に行ってしまう以前の、その天才にまだ親しみをもてるような
もっとみる日記(2022/09/22-25)
木曜日。『失われた時を求めて』岩波文庫11巻読み終わる。第五篇「囚われの女」まで読んだことになり、その足で下高井戸シネマ、シャンタル・アケルマン特集『囚われの女』およそ5ヶ月ぶりに再見。初見時は、分からなさというか、何やら得体の知れない不穏さと切実さに支配された画面を見ていて、それが見たあとの興奮と充実度に繋がったのだと思う、原作読んだうえで見るとあまりにも「分かりすぎる」気がして、これはむしろ良
もっとみる日記(2022/09/20-21)
火曜日。台風。思ったより影響なし。退勤後、モーリス・ピアラ『ソフィー・マルソーの刑事物語/ポリス』見る。ゲオの宅配レンタルでいっぱい借りちゃったせいで映画ばかり見てる。ジェラール・ドパルデューは顔も体型も全部おもしろい。この人はめちゃくちゃ映画出てるけど一体ヨーロッパでどういう立ち位置の俳優なのか。日本で言うところの誰って考えたときバナナマンの日村が思い浮かんだけど完全に見た目だけの話。ドパルデュ
もっとみる日記(2022/09/17-19)
土曜日。PFFで友人と後輩の作品が上映されるということで京橋国立映画アーカイブ。感想はフィルマークスに書いたので省略。両作とも良かったなあ。昼に10人くらいでゾロゾロと高島屋行って一番安そうな店入った。夜は久々に大人数で飲み会。
日曜日。何年かぶりに『勝手にしやがれ』再見。もしかしたら高校時代の初見以来かもしれない。ラストでベルモンドが地面に倒れるときの転び方が強烈。足がピーンと空に向けて立てら
日記(2022/09/14-16)
水曜日。退勤後、新宿シネカリテ。高橋洋『ザ・ミソジニー』見る。中原翔子が召喚した「地獄に堕ちた女たち」(ムッソリーニの愛人とかケネディ暗殺支持したベトナムの大統領夫人とか)に俄然興味が湧く。ムッソリーニの死体を見た河野知美がつぶやく「ムッソリーニ顔変形してる」の言い方がなぜか笑いを誘う。
木曜日。『失われた時を求めて』岩波文庫10巻読み終わる。第五篇『囚われの女』の前半。ここからはプルーストの死
日記(2022/09/12-13)
月曜日。西谷弘『容疑者Xの献身』見る。めちゃくちゃ面白い。初、西谷弘。こんなに品の良いスマートな演出をする人なのか……見てなかったの後悔。アパート2階と地上との高低差の感覚をこんなにも深く印象づけられる映画はない。地上にいる人はしかも橋の上にいるというのもまた良い、その下に不可視の別の高低差がある。橋の下にもまた人がいるのは言うまでもないわけで……。「挨拶の際に控えめに手を上げる」仕草を写した画面
もっとみる日記(2022/09/11)
日曜日。渋谷シネマヴェーラでジョン・フォード特集『香も高きケンタッキー』。『ジョン・フォード論』読んだからか名場面(名馬面)をもうすでに見た気分になっていたが、全然聞いてなかった交通事故の場面が案外すごい。こんなナチュラルに人を轢く瞬間ある?ってくらい。あと、他の画面に写ってる物と交通事故が同列に扱われているというか、交通事故が特段強調して撮られていない、画面の左らへんで、気を抜いていると見逃して
もっとみる日記(2022/09/09-10)
金曜日。『失われた時を求めて』岩波文庫9巻読み終わる。
土曜日。新宿ピカデリー。白石晃士『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』彼女と見に行き、延々と続く手ブレ映像で思いっきり画面酔い、開始1時間程度で退席。宇野祥平が散弾銃か何か持って登場する場面のときに1度だけカメラを床に置いてくれるときがあったがすぐにまた揺れる揺れる、そのままずっと床に置いたままにして、あとは勝手に画面外でワチャワチ
日記(2022/09/08)
木曜日。クロード・オータン=ララ『乙女の星』見る。祖母のかつての恋人を描いた肖像画に憧れる少女、ある日現れるその肖像の男の幽霊……と来ればその幽霊とのロマンスが描かれると誰もが予想するのだが、そのあと少女の前に現れる2人の青年が共に彼女に思いを寄せることになり、生者と死者合わせて三人の男たちが少女をめぐって恋愛を繰り広げることになる。この展開が予想外なだけに、かなり複雑な感じ方をした……何をどう見
もっとみる日記(2022/09/06-07)
月曜日。ポール・シュレイダー『アメリカン・ジゴロ』見る。大して面白くないと言えばそうなのだが、大して面白くないわりには結構おもしろい!117分もあって長いが、その弛緩のなかに緊張もまた持続しているような感じがあってかなり不思議な。「これ一体何の映画なん?」みたいな気持ちが続く、それが映画の推進力になっている。犯罪サスペンスでありながら最後に訪れる愛と救済の急展開に最も印象を残すロベール・ブレッソン
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