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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句ii

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ザ·裸形の魂、マガジンも二冊め。どんな言葉の飛び出すか、開けてみてのお楽しみ。さーあ、ゐらつさい!
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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 31 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 31 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

われわれの平和革命が風船ダマのように空虚なものであり、われわれの暴力革命が、棍棒でなぐりあうような原始的なものであったことは周知の事実ではないか。(花田清輝)

【雑詠・八吟】

暑い熱いどつちだらうか拉麺食ひ汗拭ふ時発する言葉は
(©都築郷夫)短歌 tanka

バンドといふは良きものなりき三十年
(©都築郷夫)川柳 senryu

仕掛け花火その火傷語る「道」だなと
(©都築郷夫)俳句 k

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 29 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 29 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

DERBY! なんとその名の伝統的で、かつ派手(ゲイ)な精神に満ちみちていることよ! (谷譲次『踊る地平線』より)

【巻頭の一行から】
 
 文人で「馬好き」な者は多い。いちいち名前を列挙して行くと切りがないので、それは避け、私と馬、とはどういふ関係なのかごく短く語る(谷譲次についても別稿で。彼はtrue giantだ!)。
 實を云ふと、私は競馬つてやつた事ないんで..何せギャンブル音痴である

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 28 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 28 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

妹と二人曉露(あかときつゆ)に立ち濡れて向峰(むかつを)の上のつきを見るかも 平賀元義

【引用歌から】

 平賀元義は江戸後期、備前岡山の人。浪人し、獨學でこの萬葉調の歌を打ち立てた。或る意味絶唱とも言へる、

五番町石橋のうへに我が魔羅を手草にとりし吾妹子あはれ

 で令名髙い。浪漫的で、特に(主に遊女だらう)「吾妹子」が出て來る相聞歌が本領。正岡子規は「吾妹子先生」と呼び愛唱した、と言ふ。

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 25 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 25 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

わたしは傍観しているきりで、あえて手出ししなかった。というのは、二、三度手伝って見ようかという殊勝な心をおこして、巣箱に近づいたとたん、一ぴきの蜂がまっしぐらにわたしに飛びついて上唇の縁を刺す..(杉浦明平『養蜂記』より)

【雑詠・前】

刻んだら錦糸玉子になると云ふ甘い薄焼き不味かつたこと
(©都築郷夫)短歌 tanka

今はない猫が亡霊めいてくる彼女は巷に帰つたゞけだ
(©都築郷夫)短歌

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 24 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 24 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

白露やあらゆる罪の消ゆるほど 小林一茶

【雑詠・前】

玉の露みづさかづきに混ぜたれや
(©都築郷夫)俳句 kigo

磊落なる人の立つたるたぎちかな
(©都築郷夫)川柳 senryu

温め酒九月暑きよ風流よ
(©都築郷夫)俳句 kigo

皆文句がありさうに並ぶ朝のホームいづれ詰め込み式の車両だ
(©都築郷夫)短歌 tanka

戯画の中コオロギ唄うが聴こゆるか
(©都築郷夫)俳句

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 23 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 23 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

九月一日
羽を伏せ蜻蛉杭に無き如く 髙濱虚子
(星野立子·編『虚子一日一句』より)

【詩①】

氣圧めが下がりをる頭皮の硬さ
(©都築郷夫)川柳 senryu

頭痛から何かを引き出すは容易い
案外な さう云ふもんです
生活の邪魔になるものが
ふと ゲージツの本領を吐いたり

ねえMXXXちやん
女の子に藝を贈ると
まるで「いやげ物」だつたりする?
もし、違ふのなら

私は痛む頭に付いてゐる

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 22 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 22 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

梅の木をみづにたてかへよ   海
(『中世なぞなぞ集』より)
字の謎かけ。梅、の木偏を水(さんずい)に入れかへよ - 編者・鈴木棠三氏の解説に拠る。或ひは「見ずに建て替へよ」と掛けたか。

【詩①】
❲Women❳

女性がた、

私はI wanna be adored上等
自分から行くのはな、
こないだ(四半世紀前)で懲りた
何年引きずつたのだ
今はもう..
(混濁してゐる)
ビキニ着れないやう

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 19 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 19 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

白人にとって不快なのは、テーブルでニグロと隣り合わせに坐ることや、ニグロの隣りの洗い場で洗面することではなく、こういうことが平等の地位を意味するという事実である。(ケネス·B·クラーク『アメリカ黒人の叫び ダーク·ゲットー』より)

【詩】

珈琲がないのは
私のせいではない
と言ふか
誰に責任について所存があらう?
エメラルド·マウンテンにハワイ·コナ
のブレンド
畸つ怪なお味だつたが
今では戀

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 16 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 16 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

天地とは、もと氣物の成名にして、氣天を成し物地を成す物に候へば、一物あれば一天地、萬物あれば萬天地也。(三浦梅園)

【詩①】

敷かして、この天地
萬天地と成る為には
人種差別は邪魔者也
萬の世界で差別思想
幅利かす事危険なり

勇氣を以て事に当たらう
さうさ彼女を見習ひ
不退転 まづ撃つた者らを極刑に
そして銃社會の解散を -

私は思つた アメリカ帝國の暗部を
そしてデッド·ケネディーズを

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 15 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 15 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

句合(くあはせ)の題がまわつて來た。先づ一番に月といふ題がある。凡そ四季の題で月といふほど広い漠然とした題はない。(正岡子規「句合の月」より)

【雑詠・十三吟】

瓢には喚起力あり流浪者の
(©都築郷夫)俳句 kigo

五倍子(ふし)知らぬ素人園藝汗をせり
(©都築郷夫)俳句 kigo

真昼なりつひ三尺寝夢もなく
(©都築郷夫)俳句(夏季) kigo

焼きそばが流行る兆しでハマなどは

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 14 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 14 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

「何をユージロー、シマクラチヨコ!」(小松政夫『おもしろい人に会ったよ』より)

【雑詠・六吟】

誰をしも蝕むものよ人形のやうに着替へに苦労せぬ欲
(©都築郷夫)短歌 tanka

辣腕でゐる事の怖さたぶんある
(©都築郷夫)川柳 senryu

風の屍池袋異界と言ふ愚容易し
(©都築郷夫)俳句(夏季) kigo

回避してみせよ残暑の惨きトラップ
(©都築郷夫)俳句 kigo
※己れに

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 13 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 13 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

ハブ捕りのかぎ移りゆく岩根かな - 篠原鳳作(小熊一人『沖縄俳句歳時記』より)

【詩①】

限りない哀惜!
(哀は愛とでも)
銀河眩めくよ
わが胸潰れるよ

それは、夜
の 安息を つき抜けて
つんと來る芳香のやう、

あゝ哀惜!
その實体、とは?
- Hah?
だが私には ちらとでも

見えた氣はするんだ、
この胸にのしかゝつてくる物の

實体が。
實体としての惑ひ、が。

©都築郷夫

【雑

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 12 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

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新しき猿又ほしや百日紅 - 渡邊白泉

【雑詠①・八吟】

鳳の凰探す秋の空カネ欲る者の地を抜け出せず
(©都築郷夫)短歌 tanka

わが町に飛び地かつては不思議なせり今は合併混ざつてしまひだ
(©都築郷夫)短歌 tanka

手順など迷ひ込んでみてお楽しみスマホ世界の洞窟なのか
(©都築郷夫)短歌 tanka

再度朱夏や体温超えの微風漂ふ
(©都築郷夫)俳句 kigo

ひねくつて

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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 11 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 11 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

オノチン、または天鴉さんに -

【詩①】

僕のイノセントぶりは
鼻につく
尤も誰のだつて さうさ
他人の
自由は 鼻につくもんだ
だつて 上手くやつちやつて
大きな振る舞ひ
俺には 出來ない
奴には 楽勝なのに

何度も キチガイと呼ばれた
その都度 馘さ
シゴトなんて
そんなもんさ
人格の 阻害なんだぜ

イノセント イノセント イノセント
己は風に吹かれて
口笛 鼻唄 深呼吸
己は雨に打た

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