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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 22 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

梅の木をみづにたてかへよ   海
(『中世なぞなぞ集』より)
字の謎かけ。梅、の木偏を水(さんずい)に入れかへよ - 編者・鈴木棠三氏の解説に拠る。或ひは「見ずに建て替へよ」と掛けたか。

【詩①】
❲Women❳

女性がた、

私はI wanna be adored上等
自分から行くのはな、
こないだ(四半世紀前)で懲りた
何年引きずつたのだ
今はもう..
(混濁してゐる)
ビキニ着れないやうな - あ、止める
ふつきれたんだつけか。

来るもの拒まず、だよ
まあ選ぶ権利は
脇に置いといて
たゞ、云つとくが
私はI wanna be adored上等
狂ひ凧。←これが言ひたかつたんだよ!

赤い薔薇秋の花群に歳老いて
(©都築郷夫)俳句 kigo

©都築郷夫

【詩②】
❲Poetry❳

詩神の赤子(せきし)我が内に産む我はまたアンドロギュヌス世を血に染めて
(©都築郷夫)短歌 tanka

友人の書いたものに
何か称号を与へたくて
いろいろ考へた
そして得たのは、
玉のやうな
「風通しのよい詩」と言ふ
評言。
己の詩には
ないものなんだよね、
血管がどくどく云つてゐる感覚 -
己ならそれを
生のまゝ提示するけど
友人は
詩の言葉を巧みに使つて
隠蔽すべきところは
隠蔽してゐる
ソフィスティケートの作だ。
何でも剥き出しなら
眞實つてもんでもなし、
兎に角 さう云ふ個性を
我々は背負つて
道を
歩んでゐるのだ 秘密邸宅を
石積んで建てやらむと
する郵便配達夫
が如く。

©都築郷夫

【詩③】
❲Reborn❳

逃げ場あれ詩人のことば夜の秋
(©都築郷夫)俳句 kigo

詩に関しては
私は
所謂「二度生まれ」のヒトで
その二度めは、石垣りんさん
の発見と共に
私に訪れた
文庫本で手に入る

みなも二度めの
生を受け賜へ
ことのはの
がさがさしたところ
購ひませう

己が他人を
他人事に収めてゐないつての、
珍しいんだぜ。

©都築郷夫

【詩④】
❲God(s)❳

秋の虫啼けば哭くよに耳がある
(©都築郷夫)俳句 kigo

晝間は腸が異常発酵して
ばりつと云ふやうな
變な屁の連続が
私を苦しめた

まあスカトロジーの詩は
私の内々に留めて置いて

今モンダイとすべきは
生殖と言ふ事の
裸の意味 -
紙に書くSEXが
私に復讐せんと迫る

病的? それはさうだ
己が子供作るなんて
正気の沙汰ぢやない。

私は私のおぼろげな子を
黒くはつきりした詩へと
両替した。
俗に言ふ、

マネーロンダリングである。
この詩の転々反側は

結局ミューズ(この方たちも
今にも消え入りさうな..)に
「上納」するつてわけ。

それが詩の生成(笑)。

©都築郷夫

【虚言箴言】

言ふまじきとされてゐる言葉には、きつと何かの眞實が隠されてゐるのだ。-ラ=ロシュフコオ(大嘘)

 この箴言もどきを作つてゐて、自分では「あ、こりや詩の凡作よりは、詩だな」と。これだけ書けば、私なら満足してしまふ。
 いつたい詩を、軽きよし重きよしと、ヘルメス神(アポロンではない)が制定した道から外してしまつたのは何ゆゑに、だ。ヘルメスは軽重なんてバカらしいと言つてゐる。
 要は眞實を探求するのに、必ずや深刻さが伴ふ、てのは偽善なのだ。贋ラ卿はそこから遠いだけマシ。と思ふ。(都築)

薄氷(うすらひ)を踏みし早春真夏経て人らの脳裏に残るわきやない
(©都築郷夫)短歌 tanka

【おしまひに】
抜け髪の諦め顔に首相候補
(©都築郷夫)川柳 senryu

 今回は詩づくめ。

 さて、今日から少し残暑も和らぐか。だがどうせまた熱雨の日や西日の激しさに我々は辟易せざるを得ない、そんな折りもあらう。
 ジョン·レノンは「雨?- 知らないね」と唄つたが、實際ざつと降つて暑が軽減されゝば、と人間の為だけに望む癖が、ヒトにはある。
 ダーティウォーターに水紋が一つふたつ、増えて行くにつれ雨傘の花が拡がる - 私の好きな風景である。ダーティ云々の川は私たちそれぞれの心の川でよからう..みな持つてゐてをかしくはない。

シティポップ流れる夕べふと玉子を掻くやうパンクで掻き乱したし
(©都築郷夫)短歌 tanka

それではまた。

年がらの薔薇苑に秋露あふれ
(©都築郷夫)俳句 kigo オマケ

チャオ!

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