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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 25 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

わたしは傍観しているきりで、あえて手出ししなかった。というのは、二、三度手伝って見ようかという殊勝な心をおこして、巣箱に近づいたとたん、一ぴきの蜂がまっしぐらにわたしに飛びついて上唇の縁を刺す..(杉浦明平『養蜂記』より)

【雑詠・前】

刻んだら錦糸玉子になると云ふ甘い薄焼き不味かつたこと
(©都築郷夫)短歌 tanka

今はない猫が亡霊めいてくる彼女は巷に帰つたゞけだ
(©都築郷夫)短歌 tanka

颱風と馴れ合ふ藝は文と言へず
(©都築郷夫)俳句 kigo

己の夜は深みに向けてアート化す
(©都築郷夫)川柳 senryu

雑詠の鉄人なんて眞實はオオカミ少年我が嘘の数
(©都築郷夫)短歌 tanka

ご近所の爆裂音は秋の雷
(©都築郷夫)俳句 kigo

【雑詠・後】

いつまでしらを切るつもりなのかモラトリアム長くなり過ぎをつさんぢやね己?
(©都築郷夫)短歌 tanka

髪薄くなるまで作に拘るそれ者(しや)
(©都築郷夫)川柳 senryu

ぐごぐがゞ颱風一過わが眠り
(©都築郷夫)俳句 kigo

雨宿りの軒あるか嘗てのわが猫
(©都築郷夫)川柳 senryu

死にたくねえ三下デカの忌(いま)はなり我少しくは感情移入す
(©都築郷夫)短歌 tanka

たつぷりと空に隙欲しまだ秋早し
(©都築郷夫)俳句 kigo

【詩①】

いゝ奴なんだがな
どうにもシャイで。
人のことさう評す
をぢさんに己もなつた -

その才は群を抜いてゐる
一度アンパンにでも出してみれば、
そんなアドヴァイスも
空転しさうだが。

かやうにシーンを形成するのは
難儀な作業である、
あんまりしつこく誘つても
嫌はれるだけだし。

あゝ我が友よ
皆で世に出て頭の硬い
連中を驚かせてやらうよ -
の前段階なんだな、まだ。

©都築郷夫

【詩②】

未明 雨がまたぶり返す
ひとりぼつちの部屋で
牢名主みたいな己、

果たしてモッズの一員と
云へるのか
たゞ知り合いの認識が

訊けないまゝ -
恐ろしいのだ、
成増モッドと

Luiは云つてくれて 笑つてたけど。

スクーター
スーツ
そして音楽は黒く

己はその全てを愛したが
その全てに触れなかつた。
要は返事次第なのだ

仲間だと 少なくとも

己の思つてゐる
人びとの。

©都築郷夫

【詩③】

森永のチョイス一箱一氣食ひ己はまだまだまだなんだよお
(©都築郷夫)短歌 tanka

ついバターの香りに..
それはさておき
己の詩は売れるのか どうなんだ
誰に予測が利く
退屈なベッドタウンの
退屈な日常の詩だ
デストロイ、とも言はぬし
再構築とも言はぬ
この町の
典型である横丁の
産み捨てられた猫が
異常な猫嫌ひの
花園の持ち主に..(ご想像に任せる)
己の詩は売れるのか どうなんだ
売れなかつたら
とんだ残酷ショウぢやないか!
猫は出て行つた
己れの自由に賭けて。あゝ。

©都築郷夫

【虚言箴言】

あなたの飲んでゐるものが、もしも珈琲でなくココアだつたとしたら、あなたは眠れるとでも言ふのか。- ラ=ロシュフコオ(大嘘)

だいたい、ラ卿の時代、フランスで珈琲とかココアとか流通してゐたの?笑。卿の生きた年代も知らず、パロディ化してゐる。何となく申し訳ないやうな、忸怩たる、そんな氣がして來る。だが今回のお言葉は、自分でも氣に入つてはゐる。イエス的語彙ではないか?勿論イエスの時代、中近東には珈琲もココアも、ない。(都築)

【つぶやき】

 一匹残されたタラ(うちの猫)は可哀相である。薄目を開けて、瞳で何かを語りかけて - なんて事もない。奴はたゞ淋しがつてゐて、更にはその原因を自身で把握してゐない。
 猫の言語能力の限界は、自分の呼び名が分かる程度ださうだ。出て行つた猫は人間嫌ひなので、スージーと言ふ名を覚えちやゐなかつたらう。そんな者を溺愛する。ヒトと言ふもの、變態なのだ、すべからく。
 まあそんなところです。薬のせいか、ランナーズハイなのか、かなり今氣分ラク。三食後の薬については、氣分次第で嚥もうと決めた。時間帯は恐らく毎日たいして變わらないだらう。
 だらだら書き過ぎだ。こゝらでお暇を。また。都築拝。

静かなる朝だ雷鳴抜きとなり我がこゝろには曙光さへ差す
(©都築郷夫)短歌 tanka オマケ

んぢやチャオ。ちよつと鋭氣を養ふ為、2·3日お休みするかも知れません。飽くまで「かも」の世界。

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