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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 24 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

白露やあらゆる罪の消ゆるほど 小林一茶

【雑詠・前】

玉の露みづさかづきに混ぜたれや
(©都築郷夫)俳句 kigo

磊落なる人の立つたるたぎちかな
(©都築郷夫)川柳 senryu

温め酒九月暑きよ風流よ
(©都築郷夫)俳句 kigo

皆文句がありさうに並ぶ朝のホームいづれ詰め込み式の車両だ
(©都築郷夫)短歌 tanka

戯画の中コオロギ唄うが聴こゆるか
(©都築郷夫)俳句 kigo

梨味のアイスキャンディ鼻薬以上のものがありよく食うぶ
(©都築郷夫)短歌 tanka

【雑詠・後】

茶飯かい?日常茶飯と言ふぢやない
(©都築郷夫)川柳 senryu

雑詠の鉄人なんておだてゝも
(©都築郷夫)川柳 senryu

颱風です幕開けですよ秋來たる
(©都築郷夫)俳句 kigo

袖の露水洟拭ふ爺さんの夏終はつても夏風邪を引く
(©都築郷夫)短歌 tanka

麦秋から半年早しコメの秋
(©都築郷夫)俳句 kigo

百歳も超えて何壽と祝ふのさ
(©都築郷夫)川柳 senryu

【詩①】

震災忌を過ぎ
デマゴギーの話題ばかりが残る
實際それ以上に
教訓とすべきマターはない

詩人は人種差別を
嫌ふ 嫌ふべきだ
スティーヴィーを呼べ、と
ディランは叫んだ

また旗の色が
黒からうと赤からうと
折衷して振る それで人殺しを
追放する為なら

實際それ以上に
教訓とすべきマターはない
人民は皆 歩きに歩いて
係累を探したんだつてさ。

©都築郷夫

【詩②】

「斟酌しない」の正しい使ひ方だとか
僕が詩人だからと言つて
いちいち嗅ぎ回られちや
金田一一族とか
佐佐木一族だとかの
出る場面なくなるでしよ、

ところで、茂吉は何でも歌に出來た
啄木と違ふ技能
後者は今で云ふ「エモい」人
だつたので、
太平洋戦争まで生きなかつた、のは
使ひ果たしたらしかつたのに
運が残つてゐたんだらう -

人麻呂を祖として
中興に貫之、定家と西行、子規
歌を惰弱と言ひ切つた
軍人はほれぼれするほど
バカ丸出し、

歌の勇氣は
受け継がれて
ファッショを廃し
更に凛々と
育つて欲しい。
それが文藝の中心なら

限りなく 喜ばしい と思ふ。

©都築郷夫

【虚言箴言】

あなたが知らず知らずの内についてゐる嘘が、世間でのあなたの像をおほかた形作つてゐる。- ラ=ロシュフコオ(大嘘)

眞實などゝ云ふ幻想が、世界の髄である、その事實に皆人足を取られてゐる。それ以上云ふべき事もない。今回の問題は単純である。

それより天氣だ。雲行き怪しいです。ごろごろ言つてます。これは大雨の兆しでせう。(都築)

あゝ降つて來た。
出て行つた猫がどうしてゐるか、心配だ。
彼女は前肢が不自由なので余計。
さう言へば、彼女を家に迎へ入れたときも悪天候だつた。
家族の誰にもなつかなかつた。
でも、帰つてきて欲しいなー。
あのグリーンの美しい瞳。

秋の雷自主的に生きると言ふ難問
(©都築郷夫)俳句 kigo

短いが、おしまひ。チャオ。都築より。

ひたすらの雨音世界中心に置くが私ぢや不安定だぞ
(©都築郷夫)短歌 tanka オマケ

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