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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 16 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

天地とは、もと氣物の成名にして、氣天を成し物地を成す物に候へば、一物あれば一天地、萬物あれば萬天地也。(三浦梅園)

【詩①】

敷かして、この天地
萬天地と成る為には
人種差別は邪魔者也
萬の世界で差別思想
幅利かす事危険なり

勇氣を以て事に当たらう
さうさ彼女を見習ひ
不退転 まづ撃つた者らを極刑に
そして銃社會の解散を -

私は思つた アメリカ帝國の暗部を
そしてデッド·ケネディーズを
聴いたんだが そんな受動より
まあおまへは詩でも書けや、
ジェロ·ビアフラに焚きつけられたのだ

さう、善意の米國民だけに
任せておけばいゝ
と言ふのが
日本人の限界なのだらう

限界を突き破れ!
が合言葉だ。

©都築郷夫

【雑詠・十三吟】

秋海棠西瓜の色にと翁吟写生の果るはイマジネーションの樹
(©都築郷夫)短歌 tanka

妾愛すならば涼風をと傾城
(©都築郷夫)俳句 kigo

五人組アンガス·ヤングのコスプレでパンクとブルースロック彼奴の狙ひ
(©都築郷夫)短歌 tanka

秋蟬の心はほういほういとぞ
(©都築郷夫)俳句 kigo

柳には風吹き抜けた何かゞ違ふ
(©都築郷夫)川柳 senryu

道頓堀道頓の街が危ういな
(©都築郷夫)川柳 senryu

幻聴が納涼だよと残暑見舞はれ
(©都築郷夫)俳句 kigo

今夜でねこれつきりよと女言ひ慣れと齢がSEXに顕れ
(©都築郷夫)短歌 tanka

夜の秋?秋の夜でしよとつれないな
(©都築郷夫)俳句 kigo

相聞であるのは最初の辺りだけあとはよくある痴話喧嘩だよ
(©都築郷夫)短歌 tanka

胸病んだ文學者の末裔(すゑ)澁澤かな
(©都築郷夫)川柳 senryu

ハギイ·ベアなるバンドの金切り聲よ
(©都築郷夫)川柳 senryu

時としてあなたの頬を張りたいが何故だらう次に事後が見えるのだ
(©都築郷夫)短歌 tanka

【詩②】

秋のコンチェルトだとか
さう云ふ私にとつて無茶な
詩を書かされるなら
やはり御用ゲージツ家には
なれないなあ、と。
岡本の太郎さんは偉いな -
「太陽の塔」は金主におもねつてゐない
そんな立派な了見の
持ち主である人が
いつまでも人びとの心に残る。
で、
秋のコンチェルト
は、
無★理★だ★!

©都築郷夫

【へなちよこ五言絶句に暫しつき合つて下さい】

吟味書人贈 ひとにおくるしよをぎんみす
有種々我藏 さまざまにわがざうするもの
偉大智無償 いだいなちえむしやうなしよ
勝理屈的呆 りくつまさるあほなしよさへ

脚韻=yo。詳述はまだ出来ぬが、兎に角ひとに贈る書、いゝ本を書架から抜き取るのだ。

文法は改めて嘘つぱちだな、と自嘲。

©都築郷夫 漢詩 chinesepoem

【私のアティテュード】

松茸の酢合も月の匂ひ哉

 これは私の作ではない。現代には「松茸の酢合え」なんて調理法残つてゐないつしよ。蕉門の無名俳家の句だと云ふ。(こゝ迄、復本一郎『江戸俳句夜話』よりの承け売り。)

 無名だらうと有名だらうと別に構はない。この秋季に暗唱できる句。その存在だけが大事なのだ。上掲句は私の秋の愛唱句である。さう、たゞそれだけ。俳句に伴ふ、作家性↔匿名性の問題を思はずとも。都築。

【おしまひに】

 一日の中で、ある時間からある時間まで眠つてゐる、と言ふ法則性を失つてしまつた。勿論、私のことでビョーキのことでもある。だからいつも眠いし、腹がへつてゐる。
 服薬すると(経験論として、プラシーボ効果と言ふものは特に伴はないと思ふ、のだが)、一旦上がれば対になつてゐることゝして、必ず下がる。主治医はもつと薬には寛容であれよ - つまり多少のキレ気味は我慢して、のち服薬せばちやんと薬の効果に身を委ねられるぢやない(死ぬわけぢやないのだから)と諭されてんのかなーとも思ふが、精神科医の診断つて、あからさまに病名を暴露したりせずミスティックなのだ。患者は悪戦苦闘であつても、おいそれと貴方はかう動いた方がよい、などの身の上相談とはかけ離れてゐる。
 まあそんな中での創作です。- 私は不思議ちやん的あり方から最も遠いところにゐる。そして讀者を待つてゐる..唐突に切るが、これにて。都築拝。

朝メシまで10分秋雨は止みけり
(©都築郷夫)俳句 kigo オマケ

ぢやチャオ。

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