マガジンのカバー画像

スポーツ批評あるいは批評の批評

5
スポーツ批評
運営しているクリエイター

#スポーツ

【スポーツ批評 第1回 第2章 スポーツ批評の現在地 第0節】

【スポーツ批評 第1回 第2章 スポーツ批評の現在地 第0節】

1章における対資本主義の構図の中でのFIA(F1)のケースとJリーグのケースを比較するとその対応の速さの違いには大きく差がある。JFAは変更の決定に2年近く要したが、FIAは1ヶ月も経たずに軌道修正した。両者ともに変更の最終決定は自身によるものだが、それに至るきっかけを与えたのは、周囲のメディアによる批判である。ドライバー、ファン、各国メディアの指摘に対し、迅速に予選方式の修正をしたFIAの反射神

もっとみる
【スポーツ批評 第1回 第1章 対資本主義の構図 第3節】

【スポーツ批評 第1回 第1章 対資本主義の構図 第3節】

スポーツ対資本主義

 サッカー以外のスポーツにも個々の本質があり、その本質が資本主義によって失われてしまうというケースが他にもある。F1では2016年シーズンから予選方式が大幅に変更された 。2015年までの予選方式では能力の劣るチーム、ドライバーでも何回かタイムを計測することができていたが、新ルールの導入によって、1回目のアタックで最下位になったドライバーは2回目の走行チャンスを与えられぬまま

もっとみる
【スポーツ批評 第0回 序章】

【スポーツ批評 第0回 序章】

 M・マクルーハンは自身の著書『メディア論』で「メディア」を人間の感覚の拡張であると定義している。『メディア論』で語られている様々な「メディア」は、日本人が日常的に口にする「メディア」とは少し異なる。前者の「メディア」には皮膚の拡張として“衣服”などが含まれるが、後者の「メディア」にそれは含まれない。後者はいわゆる「マス・メディア」のことを指すわけである。ここで、本考察において言及される「メディア

もっとみる
【スポーツ批評 第1回 第1章 対資本主義の構図 第1節】

【スポーツ批評 第1回 第1章 対資本主義の構図 第1節】

サッカーの本質「暗礁=創造」。文芸批評家、渡部直己の著書『小説技術論』の中に登場するこのフレーズは、暗礁に直面した時、それをどう乗り越えていくのか考えることで何かが創造されるということを意味している。絵画の技術がこれほど発展したのは、3次元を2次元にするという暗礁を抱えているからだ、といった具合に。同様に、サッカーがラグビーやテニスなど他の球技と比較して、戦術的・技術的に発展してきたのは、基本的に

もっとみる