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読書感想文集

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徒然なるままに書く読書感想文。基本的にネタバレは無しで、ネタバレする時は事前に予告します。
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2022年1月の記事一覧

読書感想文(124)カフカ『変身』(高橋義孝訳)

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

カフカ『変身』を読むのは2回目で、初めて読んだのは約一年前でした。
今回読もうと思ったのは、友人が突然この作品に関して質問をくれたからです。
近いうちに会いましょうということになったので、せっかくだし再読することにしました。

ちなみに前回の感想文はこちらです。

感想まず気になったのは、主人公が元々懸命に働いていたのは、

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読書感想文(123)金子みすゞ『金子みすゞ童謡全集⑤ さみしい王女・上』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は金子みすゞ全集の5巻目です。
結構前から毎日少しずつ読み進めています。

感想今回も素敵な作品がたくさんありましたので、いくつか紹介します。

相変わらず温かいなぁと思います。
最後の一節から帽子を大切に思う気持ちも伝わってくるのですが、そんな大切な帽子が誰かの役に立ってほしいと願う、優しい考えです。
この流れだと自

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読書感想文(122)森見登美彦『郵便少年』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は先日読んだ『ペンギン・ハイウェイ』の作者・森見登美彦の作品です。
どちらかというとマイナーな方ではないかと思います。というのも、この本は「ほっと文庫」という、昔入浴剤とコラボで出された短編小説なのです。
ほっと文庫の中で唯一有川浩『ゆず、香る』だけは発売当時に読みましたが、それ以外の作者の本は読みませんでした。
先日

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読書感想文(121)ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はかなり有名な本だと思います。
読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
半年前に続編も出ています。

エッセイなのですが、まるで小説を読んでいるかのような気分になります。
恐らく会話文のテンポが良かったり、ストーリーが進んでいく感じがするからだと思います。
小説は読むけどエッセイはあまり読まない、という方もぜひ

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読書感想文(120)シェイクスピア『タイタス・アンドロニカス』(シェイクス全集12 松岡佑子訳)

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久しぶりにシェイクスピアの作品を読みました。
この作品はシェイクスピア作品の中ではそれほど有名というわけではないと思いますが、大学生の頃に受けた英文学史の授業で紹介され、とにかくやばいストーリーだということで気になっていました。

感想思っていた以上にえげつないストーリーでした。
復讐と強姦が印象的ですが、どんだけ人

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読書感想文(119)森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久しぶりに森見登美彦さんの作品です。
スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』を読むのにかなり時間がかかったので、しばらくはサクサク読める本がいいなぁと思って選びました。

尚、今回は少しだけネタバレに繋がり得る感想もあるので、気になる方はご注意ください。

感想今回は珍しく、大学生ではなく小学生が主人公

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読書感想文(118)三浦しをん『きみはポラリス』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は恋愛小説の短編集です。
ここしばらくは色んな人にオススメの本を聞きまくっているのですが、三浦しをんさんの作品を挙げる人が多かったので読んでみました。

この本は中身を読む前に、裏表紙の内容紹介がとても素敵だなと思ったので引用しておきます。

ここだけで読みたくなる人も結構いるのではないでしょうか。

感想はじめにタイ

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読書感想文(117)フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』(野崎孝訳)

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだのは米文学の中ではかなり有名な作品だと思います。
結構前から積んでいたのですが、先日読んだ村上春樹『ノルウェイの森』に出てきたので読むことにしました。

感想正直に言うと、あまり楽しめませんでした。
文章が難しいのか、内容が上手く頭に入ってこず、読むモチベーションが下がり、余計に内容が上手く入ってこないという悪循

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読書感想文(116)金子みすゞ『金子みすゞ童謡全集④ 空の母さま・下』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は金子みすゞ童謡全集の第4巻です。
金子みすゞの詩は心が洗われるような素敵なものがたくさんあります。
一つ一つの作品は短いので、寝る前などに少しずつ読み進めていました。

感想今回も素敵な詩が沢山あったので、いくつか紹介したいと思います。

この詩を読んでまず初めに感じるのは、やはりやさしさです。
他はみぃんな咲いてい

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読書感想文(115)村上春樹『ノルウェイの森(下)』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

前回は上巻を読んだので、今回は下巻です。
上巻の感想文のリンクを一応貼っておきます。

感想面白かった、という表現は適切ではありませんが、読んで良かったなと思いました。
ストーリー自体がそれほど難しいわけではありませんでした。しかし、感じた事を上手く言語化できず、心の深いところを何か突かれているような気分です。
夢中になっ

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読書感想文(114)村上春樹『ノルウェイの森(上)』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は世界的にも有名な村上春樹の作品です。
いつか読んでみたいなぁと思いつつ、なかなか機会がありませんでした。
最近久々に好きな作家は村上春樹だという人に会ったので、ずっと積読になっていた『ノルウェイの森』を手に取りました。
村上春樹の作品は教科書か何かで「鏡」だけ読んだことがあるのですが、内容は正直ほとんど覚えていません

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読書感想文(113)『ドイル傑作集(Ⅱ)―海洋奇談編―』(コナン・ドイル作、延原謙訳)

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久しぶりにコナン・ドイルの作品です。
前に読んだのはいつだったかな〜と思ってnoteを遡ったところ、8月でびっくりしました。そんなに前なんですね。
コナン・ドイルといえば「シャーロック・ホームズ」シリーズが有名ですが、これを読んだのも去年の良い思い出です。『恐怖の谷』が一番好きでした。

感想コナン・ドイルの作品はミ

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読書感想文(112)田中貴子『猫の古典文学誌;鈴の音が聞こえる』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

この本はだいぶ前に買ったのですが、タイトルを見た瞬間に「読まねば!」と思いました。
だって猫ですよ、猫。今の職場に黒猫がいるのですが、とっても可愛いのです。

感想論文チックだったらちょっと読むのがしんどいかなあと思いながら読み始めたのですが、期待以上に面白かったです。
色々と書きたい話題があるのですが、長くなり過ぎるので

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読書感想文(111)青山美智子『木曜日にはココアを』

はじめにこんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

ふと「そういえば今日は木曜日だなぁ」と思ったので、積読になっていたこの本を手にとってみました。
今もコメダ珈琲でココアを飲みながら、この記事を書いています。

感想心が温まる素敵なお話でした。
この本は12章から成り、同じ世界観の中でそれぞれのお話は独立しています。
その中でもあちこちの人間関係が繋がっていて、人のご縁は良

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