【中日本大会スピーチ】共感覚を短文で伝えることの難しさ
共感覚を伝えるために出場した中日本大会の最初の90秒スピーチでは、正直とても苦しい思いをした。
なぜなら「共感覚」を知らない人がほとんどという中で、私の想いを伝えようと思うとまずは共感覚とは何かという話に注力していかないといけない。
自分と共感覚とのたくさんのストーリーや苦悩があるけれど、90秒には入れることができない。どうしても端折りたくなかった箇所も、仕方なく削ることとなった。
スピーチでの全文は以下になる。
90秒めいっぱいに文章を入れたけれど、伝えられることは本当に少なかった。なので共感覚を虹色のチュールに見立て、感情の世界を表現し、うざったいんだという身振り、最後にもう一度やさしく手に取る、などの演技を追加した。
本当はどうしても削りたくなかった文章に
「共感覚は、当事者にしか見えない為
不思議ちゃんと呼ばれたり、変な人扱いをされることも多く、いじめの原因になることもあるため、心を閉ざし言わなくなってしまう人が多い」
というものがあった。共感覚当事者の苦悩は疲れやすさだけではなく、こういった部分にもあるのだと伝えたかった。
だけどスピーチでは共感覚をまず理解してもらわないといけないと考えたため、削ることにした。
きっと他のファイナリストたちも、「90秒なんて少ない」と感じたかもしれない。
認知を広げるということはつまり、知らない人に広めていかなければいけないので、それをこの短時間で?伝えられる?と不安しかなかった。
細かな演技や声の出し方、余白の入れ方を忘れてしまわないように、スピーチの暗記は諦め、作り上げたこの90秒間を全てやりきることに集中した。
これで伝わるのだろうか、もっと言いたいこといっぱいあるのに…
そんな想いを抱えながら挑んだ当日。一番不安だった時間でもあった。
スピーチを終えると観客席にいる方から「とても良かった、かっこよかった」とメッセージが来ていた。「魂の叫びのようで、涙が出た」とも。
その後も「共感覚を布に例えた部分で素敵なものだけじゃないということがわかりやすかった」という感想や、「私も色が見える、これって共感覚なの?」というお話。
「共感覚ってなに?不思議ちゃん?って思って検索した」という方もいたそうだ。
「不思議ちゃん」
私が入れられずに端折った言葉だったが、不思議ちゃんってこと?と感じたということはやはり当事者への理解が簡単には難しいのだ、ということがよくわかる、とても喜ばしい感想だ。
そしてその後、気になって調べていただいたということ。これこそが「共感覚を伝える」活動だ、と感じた。
私はあの90秒間で共感覚の全てを伝えることはできなかったけれど、気になって調べてくれる人があの会場にひとりでもいたということはとても実のあるものだった。
前にも述べたように人は目の前に差し出されるものよりも、自主的に興味を持って動くものの方が心に残るものだ。
短時間で伝えることの難しさの中に、知らず知らずのうちに心に残ることができたのかもしれない、ととても嬉しくなった。
これからがスタートだ。
山口葵
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