『逃眠』

握りしめた札束はぐちゃぐちゃだが仕方ない。

今はとにかく走る。路地に入り、札束をしまい

息を整えていく。コンビニ強盗が完了した。

ひったくりや泥棒もする。逃げ続ける人生だ。

ふと暗がりから、自分じゃない荒い息がした。

弱ったホームレスだ。「おい、大丈夫か?」

瞬間、押し倒され、左胸が熱くなる。刺された。

「へへっ。世の中、同情したら終わりなんだよ」

札束を奪って走り去る男。穏やかに見守る星空。

「これで逃げるのも終わりだ」静かに眠ろう。


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