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人と組織 .22 - 新社会人登場の季節に思うこと

人と組織 .22 - 新社会人登場の季節に思うこと

今年ももうすぐ、新社会人が登場する季節を迎える。

仕事柄、長い期間、新社会人に接してきた人間として、強く感じている違和感がある。

それは、企業人としての能力を生得的なものとして捉えている企業や人事担当者がことのほか多いことである。

出身校によって企業人としての優劣が規定されているという前提があるためか、世でいう、 いい学校の卒業生を獲得するということに躍起になっている。

言葉をかえ

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人と組織. 21 -   人も企業も「根本から自らの在り様」を問い直す時間が年の瀬

人と組織. 21 - 人も企業も「根本から自らの在り様」を問い直す時間が年の瀬

いよいよ2021年も残すところ後、一ヶ月となった。

大方の企業人にとっての一年の終わりは、年末ではなく3月であり、
そして始まりは4月というのが率直なところであるが、それでも、
手帳やカレンダーなど大方のものは、1月から12月という単位と
なっているので、必然的に年の終わりという感慨は、3月末よりも
はるかに師走の方が深いものがある。

筆者の場合、ここ10数年、年の瀬に手帳を新しくする時、必ず

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人と組織. 19 - 日本における人づくりの課題 (1)

人と組織. 19 - 日本における人づくりの課題 (1)

昨今、社会人の「学び直し」に関する議論が多い。

学び直しは確かに必要であり、とても大事なことである。

しかし、いささか腑に落ちないのは、

・新しい環境に対応できる人材づくりの手段は「教育」だけなのだろうか?

・社会人が学びなおすための制度等「インフラづくり」を構築しないと本当に人は、学べないのだろうか?

という点である。

例えば、日本の学校教育や社会人教育の大きな特徴は、「均質性重視の

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人と組織.13-経営とはトレードオフとの常なる戦い!

人と組織.13-経営とはトレードオフとの常なる戦い!

企業である以上、最終的に利益を出さなければ会社は存続できない。

経済合理の方程式「収入マイナス支出はゼロより大なり」は、冷徹な絶対原理である。

ただその一方で、この方程式は人間が担っている。

売り上げもコストも人間の営為のなせる業である。

そして人間は意志と感情を持った生き物である。

経営とは、そういった人間を集団として束ねてひとつの目的に向かっていく業である。

経済の合理と非合理なも

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人と組織.11-成長の限界を乗り越える為に

人と組織.11-成長の限界を乗り越える為に

昨今、「日本という国」そして「日本企業」の地盤沈下と停滞が、マスコミ等で多く取り上げられている。

然しながら、考えてみれば、成長には必ず終わりがある。

それは数々の歴史が証明している。

全ての産業でこの流れは必然であり、これを回避することは出来ない。



全ての物事に始まりがあれば、必ず終わりがあるということであろう。

本来は、成長期に入った時に我々は、そのことを考える必要がある。

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人と組織.10-大局的観点に立脚した政策の提示がリーダーの役割

人と組織.10-大局的観点に立脚した政策の提示がリーダーの役割

先日、自民党総裁選の実施が決まったが、多分、多くの国民がリーダーに望むことは、日本のリーダーとしてこの国をこれから先、「どのような国にしたい」と考えているのか、そのための課題は何か」といった主張や見解を知りたいのである。

「統合型リゾートがどうだとか」「カジノがどうだ」といったミクロのテーマではなく、リーダーといわれる立場の人たちに望むのは、もっと大局的なレベルの考えである。

人口減少と高齢化

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人と組織.9-リーダーの役割とは?

人と組織.9-リーダーの役割とは?

組織が目的通りきちんと機能するかどうか、そこにリーダーの在り方が非常に重要な意味をなすのではないだろうか。

このことは、平時にはさして分からないが、組織が異常事態や緊急事態に遭遇した際に如実にあらわれてくる。

まさに、既に1年半になろうとする新型コロナウィルスの感染拡大の問題。

感染の拡大は広がるばかりで、少し前まで声高に唱えられていたワクチン接種さえ、掛け声倒れで容易に進まない日本。

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人と組織.8-人も組織も賢くなる競争!

人と組織.8-人も組織も賢くなる競争!

8月11日、日経新聞に、世界各国の政府や企業が、働き手のリ・スキリング(学び直し)に動き出したという記事があった。

新型コロナウイルス収束後の経済再開をにらみ、「今ある雇用の維持」から「デジタル関連などの成長分野」へ人材をシフトさせるためであると。

著名な日本の経営者の方が、「終身雇用の日本では、教育で人材競争力を高めるのが合理的である」と言われているが、そういう意味では、これからの企業間競争

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人と組織.7-変わらないパラダイム

人と組織.7-変わらないパラダイム

これからの環境変化がもたらすものは、枚挙にいとまがないが、例としてここに幾つか挙げてみる。

・自動車というものは、形が変わってもなくなることはない。

しかし、自動運転や電気自動車になると、それを提供するのは、トヨタをはじめとした従来の自動車メーカーであるという必然性がなくなってきている。(テスラモーターズ、或いはアップルかもしれない。)

・金融業はなくならないし、経済の高度化に伴ってますます

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人と組織.6-他責

前号、「人と組織.5-器は最新にしても変わらない人の意識と行動」で述べた、「身の周りのできることから変えていこうという考え方、それは話としては美しいかもしれないが、幹部や部長としての役割責任を放棄していると思う。」、「要は、本当は変えたくないんですよ。」とはっきりと切り捨てる、若手社員達の指摘。

私は、この問題の本質は2つあると思っている。

① 経営レベルで抜本的に構造を変えなければ、直しよう

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人と組織.4-根拠なき楽観論がもたらすもの

人と組織.4-根拠なき楽観論がもたらすもの

先日、某新聞に「日本政府の根拠なき楽観論」というタイトルで2つの事例が掲載されていた。

「日本政府の根拠なき楽観論」

事例1.

新型コロナウイルスの脅威はいきなり、襲ってきたわけではない。

2009年の新型インフルエンザを受け、政府の総括会議は新たな感染爆発を警告し、保健所やワクチン開発を強化するという提言をまとめた。

然しながら、実行に移さなかった。

「大丈夫だろう」と、脅威を甘くみ

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人と組織.3-組織運営も経営も「組織の劣化」との戦いである

人と組織.3-組織運営も経営も「組織の劣化」との戦いである

前回のブログで述べた「組織における非合理さ」とは、一体、何故生じるのだろうか?

多くの企業組織では、アカデミックな戦略や多種多様な組織体制、そして制度仕組み等が、いずれも一定のねらいや目的に従って、論理的に合理的に構築されているにもかかわらず、何故そのねらいや目的通りに機能しない、或いはしていないのだろうか?

私は、それを機能させる、動かす、マネジメントする、人間側に大きな問題があると思ってい

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人と組織.2-組織における非合理さ

時折、クライアントである企業の経営陣から「わが社の若手社員の活性化」という依頼を受けることがある。

我々の場合は、仕事を始める前に、まず、対象となる若手社員の人たちと意見交換をする場を設けてもらい、対象者の意識や考え方の一端に触れる機会を持つことにしている。

そして、冒頭に「我が組織の課題」といったテーマで参加者が感じている組織上の課題を提起させ、参加者間で意見交換をさせるのだが、その際、参加

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