人と組織.13-経営とはトレードオフとの常なる戦い!
企業である以上、最終的に利益を出さなければ会社は存続できない。
経済合理の方程式「収入マイナス支出はゼロより大なり」は、冷徹な絶対原理である。
ただその一方で、この方程式は人間が担っている。
売り上げもコストも人間の営為のなせる業である。
そして人間は意志と感情を持った生き物である。
経営とは、そういった人間を集団として束ねてひとつの目的に向かっていく業である。
経済の合理と非合理なものをどうマネジメントしていくのか。
当たり前のことであるが経営とは、やはりここに戻ってきてしまう。
大河ドラマで話題の渋沢栄一翁も「片手にそろばん、片手に論語」といっている。
要は、この一見、相矛盾するものを統合していく。
ここには、絶対の正解はない。
経営の本質とは、そういう意味で、難しさの本質を知ることではないだろうか。
その本質が見えれば見えるほど「必勝の方程式」等無いということはわかってくるのである。
経営とは、常に革新・改革を続けていくことである。
日々より良くするために昨日までのことを変えて行くということに他ならない。
そしてマネジメントやリーダーは、自分の仕事の責任の重さを認識する必要がある。
何故ならば、他人の人生に影響を与える仕事だからである。
もうひとつ重要なことは、時間軸である。
「今日を生きる」ということをやりながら「1年後、10年後を考える」ということである。
今日の秒針と10年後の時計を考えるという時間軸を合わせ持たなければならない。
理論武装した若いコンサルタントが時折陥る罠。
会社や組織をあたかも機械のように見てしまうことである。
組織論や人事管理論の教科書を一生懸命勉強し、まるで組織を機械のように規則正しく動くものと見なして歯車の噛みあい方から資源の配分まで完全に構築する。
そうすれば効果的に機能するはずであると考えているのである。
ところが現実に企業を動かしていくのは人間である。
機械のように人間は動いてはくれない。
そこで若いコンサルタントは「これは相手がわかっていない、自分の素晴らしいアドバイスを理解できないのである」と決め付けてしまう。
つまり学問として経営を学んでも実際の経験をつんでいないコンサルタントは本当の意味で組織や人間の現実が理解できていなのである。
それはビジネススクールのプログラムにはない実地の経営の難しさといえのではないだろうか。
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