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人と組織.11-成長の限界を乗り越える為に

昨今、「日本という国」そして「日本企業」の地盤沈下と停滞が、マスコミ等で多く取り上げられている。

然しながら、考えてみれば、成長には必ず終わりがある。

それは数々の歴史が証明している。

全ての産業でこの流れは必然であり、これを回避することは出来ない。

全ての物事に始まりがあれば、必ず終わりがあるということであろう。

本来は、成長期に入った時に我々は、そのことを考える必要がある。

大事なことは自社の変化を知る、自社を取り巻く変化を見るということであろう。

何故ならば、変化は脅威であると共にチャンスでもあるからである。

我々は、もっともっと変化には鋭敏でなければならない。

時は人を待たない、時間だけは刻々と進んでいく。

そのためには、強さにつながる次の一手を打つ必要がある。

ビジネスの世界では、それがとても大事になってくるように思う。

然しながら、今日の環境下で競合他社をしのぐ優位性を構築することは並大抵のことではない。

例えば、「コストによる差別化」なんて格好いいことを言ってはいるものの、その実やっていることは、「これまでより人を減らして量を多くこなす」ということが中心となっているので現場はどんどん疲弊していく。

また、「顧客に付加価値のあるサービスや商品を提供する」とは言いながらも、結局は、他社のそれと大差ないものを、ネーミングを変えて、多少、安い価格で提供すること等が常態化しているため現場はますます停滞していく。

市場や競合の分析等に力を注ぎ、外部の力等も利用していろいろやってはいるものの、ただ分析材料に頼ったり、経営の答えを外に求めているだけなので自社のアイデンティティもなく、ただ踊らされているだけなのである。

そしてこの手の企業にかぎってパフォーマンスが悪いと現場にペナルティー等、いわゆるムチとアメを駆使して本質的な問題点を先送りしたり、軽視している場合が多い。

要は、ただ、表のラベルを張り替えたり、口先だけで、本質的な点は、数十年前と何ら変わっていないのである。

そのため、根幹にある管理体系等は、第一線や現場をコントロールするためだけに機能している。

経営の稚拙さのツケを現場に回すマネジメントを行っている企業等が余りにも多いように思える。

一方で、我々は、優位性を持っている企業は、何か他社にはない特別なことをやっていると考えがちである。

然しながら、長きにわたって優位性を持続している企業は、我々が思いつかないような特別なこと等、何ひとつしていない。

やっていることは、自社の強み、目標、そして現場に埋もれた小さなアイデアやヒント等を救いあげ、実践することを長きにわたってきちんと続けているのである。

毎年、売り出される、ただ表面の名前を替えただけに過ぎない経営のファッション等に飛びつくようなことは一切ない。

要は、何の珍しさも無い、誰でも出来ることを愚直にやっているだけなのである。

然しながら、もし、他社と大きな違いがあるとすれば、それは、その当たり前のことを、誰にも出来ないレベルで徹底してやっているということに尽きる。

それは、つまり経営の根底にある大事にしているものが、全く異なっているのである。

政治は、選挙があるので票を獲得するための妥協がその産物となるが、経営や事業の本質は、徹底ではないだろうか。

まさに、アリストテレスの「優れた成果は一時的な行動からではなく、徹底して続けることから生まれる」という指摘は、経営や事業の本質を捉えているといえる。

長きにわたって例えば、"顧客ありき"を徹底して続けられるというのは、まさに組織としての能力であり、見えざる資産といえる。

"現場を活かす経営"、"顧客ありき"、"公平と信頼"、"人が財産"・・・等等。

いわば当たり前のことを、執念を持ってやり続けていることにある。



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