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人と組織.9-リーダーの役割とは?

組織が目的通りきちんと機能するかどうか、そこにリーダーの在り方が非常に重要な意味をなすのではないだろうか。

このことは、平時にはさして分からないが、組織が異常事態や緊急事態に遭遇した際に如実にあらわれてくる。

まさに、既に1年半になろうとする新型コロナウィルスの感染拡大の問題。

感染の拡大は広がるばかりで、少し前まで声高に唱えられていたワクチン接種さえ、掛け声倒れで容易に進まない日本。

政治リーダーへの不信と不満が募るばかりである。

これまでは、ワクチンさえ接種させれば、事態が収束するといった極めて安易な楽観論に終始していたように思えてならない。

現実には、ワクチンの接種もままならない状況と進化している新たなウィルスに対して、ワクチンが全てに効力があるわけではないと判明したことに対する国民の失望感も大きい。

「不要不急の外出抑制」と「三密回避」を唱えているだけで、一体、この事態をどのように鎮静化させようとしているのか、国民である我々には、解決の方向性も打つ手も全く見えない。

このような状況だからこそ、リーダーとしての先を見通す力や戦略性が必要なのであるが、その対応は、いずれもその場しのぎの総花的なオペレーションに終始しているだけで戦略性等が全く感じられない。

我々は、過去の経験に基づき「想定」し、経験を通して、再確認することによって「想定」に対する信頼感を高めていく。

然しながら、今回のような非常事態が発生した場合、「想定」に従って予め作られた既存の制度や仕組みでは、その機能を十分果たせないということは、医療ひとつとっても明確である。

このことは、2011年3月の大変な犠牲を払った、東日本大震災と原発事故等の際、既に我々が学んだことではないだろうか。

「想定」が崩壊するような事態が生じた場合、想定外という言葉で片付けられてしまいがちであるが、もしかしたら、本来は「最悪の事態を想定しておくべき」だったのではないのだろうか。

本当は「想定すべき」であった事柄を無視し、「想定外」即ち不可抗力という領域に逃げ込んでいるという印象は免れない。

また、関係者が口にする「想定外」という言葉には、常に責任逃れのニュアンスがつきまとう。

政治においても、企業経営や事業においても、リーダーの方々に問われるのは、何とかなるといった「安易な楽観論」に立脚するのではなく、常に想定外の事態を想定し、それに的確な判断を下さなければならないということであろう。

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