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音声コード『Uni-Voice』を使用し、視覚障害者にレトルトカレーを。長崎県の老舗ホテルの味。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

レトルト食品は電子レンジなどで調理ができて、何かと便利ですが、視覚障害を抱えている人は、それを調理するのもかなり難しいと聞きます。

そんなレトルト食品ですが、長崎県にある老舗ホテルが、音声コードを使って、視覚障害を抱えている人も調理できる、レトルトカレーを販売しています。

長崎県長崎市にある老舗ホテルレストラン【ホテルニュータンダ】の料理を再現したレトルト商品の袋の表面に、スマホをかざすと調理法の説明をして貰える、音声コード『Uni-Voice』が付けられました。

視覚障害を抱えている人が一人でレトルト食品を調理するのに役立てて欲しいと発案し、音声コード『Uni-Voice』が食品に採用されるのは日本では初めてのことです。食品メーカーの関係者は食品業界への拡大に期待を持っています。

今回は【ホテルニュータンダ】が開発した、音声コード『Uni-Voice』付きのレトルトカレーについて、特集します。

【ホテルニュータンダ】が、音声コード『Uni-Voice』を使ったレトルトカレーの販売を始めた理由

グラバー園や大浦天主堂にほど近い長崎県長崎市常盤町にある、1977年から創業している【ホテルニュータンダ】。コロナ禍で旅行客が減少し、レストランのメニューを冷凍食品やレトルト食品として販売する取り組みが拡大していった2020年春、同【ホテルニュータンダ】も自社のメニューのレトルト食品への商品化の企画を開始しました。

インターネットでレトルト食品を検索していた企画部次長の女性Aさんは、視覚障害を抱えている人が簡単な調理に手間がかかることを初めて知りました。何分電子レンジで温めればいいのか分からない」といった初歩的な疑問から、「蒸気の出る穴が空いた方を誤って下に向けて電子レンジで加熱すると袋が破裂した」と危険を伴うものまで悩みは多種多様でした。

手軽さが長所のレトルト食品なはずが、視覚障害を抱えている人には必ずしも簡単に調理できません。企画部次長の女性Aさんは「視覚障害を抱えている人も安全にレトルト食品を調理し、食事ができるにはどうすればいいか」と思い悩みました。

最初は、レトルト食品の袋に点字の説明文を入れることを思い付きました。ですが、点字を読めない視覚障害を抱えている人が少なくないと知って止めました。そうした中、アドバイスを仰いだ長崎県立盲学校教諭で自身も全盲の男性Aさんが、音声コードの存在を教えてくれました。

音声コード『Uni-Voice(ユニボイス)』は、2002年に東京都にあるNPO法人「日本視覚障がい情報普及支援協会」が開発しました。およそ2cm四方のデータコードに、およそ800文字分の情報を記憶可能です。視覚障害を抱えている人も再生される音声で文章が読めなくても聞くことが可能で、《紙上のバリアフリー》と位置付けられています。

【ホテルニュータンダ】のレストランで提供しているハヤシライスソースやビーフシチュー、販売用の牛ホホ肉カレーなど5種をレトルト食品として再現しました。パッケージの裏側に音声コード『Uni-Voice』を印字し、指触りで音声コードの位置が判断できる様に、凹凸の「エンボス加工」も加えました。スマホのアプリで音声コード『Uni-Voice』を読み取ると、「蒸気口は袋の表面に付いているひだの部分に付いています」「500ワットの場合1分30秒加熱。600ワットの場合1分20秒加熱」などと、レトルト食品の調理法や注意点を説明する音声が聞こえてきます。

【ホテルニュータンダ】のレトルト食品を購入した同長崎市平和町に住む男性Bさんは商品が気に入って、大阪府にいる同じ全盲の友人に郵送しました。「音声コードがあったことで、レトルト食品の温め方が簡単に分かりました」と語ります。長崎の知人から届いた奈良県奈良市に住む女性Bさんも全盲で、「音声コードの位置が分かりやすくて説明もとても丁寧でした。ホテルのカレーはぜいたくな味で美味しかったです」と笑顔が弾けました。

同【ホテルニュータンダ】にも、レトルト食品を購入した視覚障害を抱えている人たちからの意見や感想が届いていて、それを参考に、今後アレルギーへの注意点やカロリー表示に関しても音声化することを検討中しています。

外国人居留地だった【ホテルニュータンダ】の土地にちなんで「長崎居留地洋食シリーズ」と銘打ち、2022年4月からレトルト食品の発売を始めました。多い月には100個以上のレトルト食品が売れています。

それぞれ1620円(税込)。同【ホテルニュータンダ】の売店や長崎市内の観光地の以外にも、オンライン通販で購入可能です。

参考:音声コードでホテルの味…視覚障害者向けレトルト食 読売新聞(2022年)

当初音声コードは高価な読み上げ装置が必要でしたが、2023年にスマホ用アプリの音声コードが登場したのをきっかけに普及が加速しました。「日本視覚障がい情報普及支援協会」によりますと、食品への音声コード『Uni-Voice』の採用は今回が初です。

「日本視覚障がい情報普及支援協会」によりますと、音声コード『Uni-Voice』は2022年11月末現在、267の官公庁や公益法人のほか、国内の331の民間企業、370自治体などが導入しています。自治体から市民に送付する投票所入場整理券の封筒や納税通知書以外にも、福祉団体のチラシや薬剤の処方箋など広く音声コード『Uni-Voice』が採用されています。

過去にはあるメーカーがシャンプーとコンディショナーを指で識別可能な様に、容器に凹凸を付けた活動が、業界全体に拡大した事例もあったことを受けて、日本視覚障害者団体連合の関係者は「レトルト商品でも同様に音声コード『Uni-Voice』が拡大すればいいと思います」と述べました。

画期的

私はレトルトカレーは好きで、今年の4月から毎日交互に、レトルトカレーとハヤシライスのルーとご飯を会社に持って行って、お昼ご飯に食べています。辛いものが苦手で、カレーは甘口しか食べれないですが。

私がある時から気を付けているのは、袋を開封する時のルーの飛び散りです。2回程服に飛んでしまい、ルーを落とすのが大変だったので。帰宅するまで洗濯もできないですし。

レトルト食品は調理は簡単でも、電子レンジなどで温める、袋を開封する、お皿にルーをかける(盛り付ける)、捨てるといった、様々な行動を伴い、視覚障害を抱えている人からすれば、どの行動も大変だと思います。

それを音声コードで伝えてくれるのは、目が見えなくても商品を具現化できて、凄く良いと思います。

普通にどれも美味しそうなカレーですし、とても素敵な社会福祉だと思いました。


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