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りんごの知恵袋

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りんごに関する色んな知識をご紹介。
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アントシアニンしばり

アントシアニンしばり

前回はりんごとアントシアニンの関係について書きました。(記事は↓)
今回はアントシアニンとはそもそも何か?についてです。

そもそも

アントシアニンはフラボノイド(ポリフェノール)の一種で、花や果実に広く分布する色素です。
さまざまな条件によって、橙色から赤・紫・青まで幅広く変化します。食べ物なら前回も挙げたようにブルーベリーやナスが代表的で、りんごや黒豆なんかにも含まれます。花ならバラやキキョ

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赤い果実

赤い果実

りんごと言われてまず思い浮かべるのは赤い果実かと思います。
実際、日本のりんご品種で主流なのは「ふじ」「ジョナゴールド」「つがる」など赤いものです。

さてそのりんごの赤い色ですが、アントシアニンという色素があることで色が出現しています。アントシアニンはりんごの他にブルーベリーやナスなど紫色系の作物に多く含まれています。

りんごは小さいときは緑色をしており、秋になると黄色→赤色に変化します。

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いろんなものに入ってる

いろんなものに入ってる

先日、NHKの番組『あしたが変わるトリセツショー』でりんごが特集されていまして、その中で面白い内容があったので紹介します。

スーパーで"りんご"を探せ!

番組では大型スーパーで、原材料表示に「りんご」がある商品を調査。すると600品目以上に「りんご」が含まれていました!生のりんごはもちろん、お菓子やジュースなどは想像しやすいですが、焼き肉のタレやマヨネーズなどの調味料にカップ麺、シャンプーや歯

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褐斑病のこと

褐斑病のこと

りんごに関する病気で、今年度いちばん目立っていた「褐斑病」について今回は紹介します。

褐斑病とは

空気中に飛散する菌に感染して、葉や果実に黒い斑点がつくのが特徴です。
5~6月が一次感染、8~9月が二次感染の時期になっていて、約2ヶ月の潜伏期間があります。秋の葉とりやつる回しの作業をしているとよく発見します。
今年度は夏の猛暑と雨の少なさで防除の効き目タイミングがずれてしまったようで、青森県産

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産直で出会うりんご

産直で出会うりんご

青森県内、特に津軽地方の道の駅や産直ではこの時期りんごがたくさん販売されています。見つけるとついつい気になるもので、食べたことがない品種があると「これも研究のうち」と購入。りんごオタクっぷりを発揮しています。

板柳町のふるさとセンターにある産直はりんごだらけ!その中でも未食の国光・サン北斗・印度・こうみつを発見したのでゲット。
昔主流だった品種はもうなかなか出会えません。これが今の主力品種のもと

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りんごの木を植えた男

りんごの木を植えた男

世界で3番目に多くりんごを栽培している国はアメリカです。そんなアメリカで、りんごの木を植える旅をし続けた人物がいるのを知っていますか?
その名はジョン・チャップマン、「ジョニー・アップルシード」と呼ばれています。アメリカでは彼の功績が評価されていて、絵本にもなっています。

今回はその絵本からジョニー・アップルシードについて紹介します。

あらすじ

マサチューセッツ州で生まれたジョニーは23歳の

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市場へ行こう

市場へ行こう

私のりんごは主に市場と個別販売で出荷しています。現在はほぼ市場行きとなっており、今回は市場と農家の関係ついて紹介していきます。

青森県津軽地方でりんごを出荷できる市場は、弘前中央青果(弘果)・津軽りんご市場・五所川原中央青果(中果)の3つ。
弘果は株式会社で、津軽りんご市場は弘果のグループ企業、中果は五所川原市の公設市場となっており、そもそもの成り立ちが異なります。
私が出荷しているのは畑と同じ

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雑草考

雑草考

りんご畑の地面は草に覆われています。
それを「雑草」と一括りにしてしまえばなんだか要らないものみたいな印象を受けますが、よく観察してみると何十種類もの植物があるんです。

今春に新植した畑で最近、やたらと群生している雑草がありまして。何ていう植物だろうなとGoogle画像検索してみたら「メヒシバ」という名前でした。

見た目は稲に似ていて、漢字だと「雌日芝」と書きます。
イネ科の植物で、夏になると

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雨が降らないと...

雨が降らないと...

私のりんご畑がある板柳町では、ここ1ヶ月ほぼ雨が降っていませんでした。しかも連日最高気温が30~35度で暑くて暑くて…。
「こんな夏は初めてだ」と両親も嘆いています。

このような気象状況でりんごへの影響はどうなっているのか?今回はその辺りを書いていきます。

影響① 葉が黄色くなる

根から吸い上げる水が不足すると最初に目に見えてくるのが、葉っぱが黄色く変色することです。本来は収穫が終わって冬間

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カルヴィルブラン

カルヴィルブラン

皆さんは"カルヴィルブラン"というりんごの品種をご存知ですか?
実は私も最近ちゃんと認識したばかりなのですが、青森県弘前市でこの"カルヴィルブラン"について面白そうなことが起きているのでぜひ紹介したいと思います。

カルヴィルブランとは

海外では、生食ではなく加熱調理をしてお菓子などに使うようです。
日本国内では青森県と、岩手県のほうでも極少量の生産がされています。

弘前市のカルヴィル研究会

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黒星病のこと

黒星病のこと

りんごに関する病気はたくさん種類がありますが、今回は「黒星病」について取り上げます。この「黒星病」、数ある病気の中でも結構厄介なんです。

黒星病とは

空気中に存在しているカビ(糸状菌)が胞子を飛ばすことによって拡がる病気で、りんご以外でも梨や桃などの果樹、バラにも感染しやすいです。
特に降雨によって飛散しやすいので、降水量が多い年には発生数が増えます。

2016年の大被害

青森県では201

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貯蔵方法いろいろ

貯蔵方法いろいろ

今回はりんごの貯蔵方法についてご紹介します。
りんごは収穫した後も呼吸をしているので、常温に置いておくと老化してやがて腐ってしまいます。できるだけ呼吸を抑えて長期間美味しく食べられるように、貯蔵方法を工夫しているのです。
代表的な3つの貯蔵方法を簡単にお伝えします。

①普通冷蔵
呼吸量を抑えるのには、温度を下げることが一番効きます。
りんごは糖分があるため-1.8〜-2℃が凍結温度なので、専用の

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マメコバチのひみつ

マメコバチのひみつ

今回は、春のりんご園で活躍するマメコバチについて掘り下げてみます。

マメコバチとは?

マメコバチはミツバチよりやや小さいハチです。
特徴は、①野外での活動時期が1年に1回・1ヶ月弱しかない、②刺さない。
管理がしやすく人間と共生しやすいハチだといえます。

通常は内径6~8mmの穴、特にわら屋根のヨシを巣にして、そこに花粉を運んで花粉団子を作り卵を産みつけます。
穴の中で孵化→サナギ→成虫と成

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りんご研究所発表会に行ってきた

りんご研究所発表会に行ってきた

2/14に行われた「令和4年度 りんご研究所 試験成果・情報発表会」にまるかじり塾のメンバーで参加してきました。コロナのため3年ぶりの開催で、私は初参加でした。

今年は4テーマの発表があり、私が興味をもったのは『無袋果で長期貯蔵可能なリンゴ品種「秋陽」の特性』という発表でした。
「秋陽」という品種は山形県で主に栽培されているのですが、この品種が特殊な貯蔵方法を使うと翌年の春(4〜7月)まで美味し

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