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#9- 【世界を見る眼】より「第2次トランプ政権が掲げる関税引き上げは世界経済と日本に何をもたらすか」

こんにちは!
アジアを研究する者たちのサードプレイス…「アジ研サードプレイス」です🙌

このPodcastは、千葉県に所在する、とある研究機関に勤める研究者・ないとうさんと研究マネジメント職・ユリユリが、おすすめ論文・記事をピックアップしながらゆるくおしゃべりする私的Podcastです。

2024年もあと残りわずか…!
そんな今年を振り返ってみれば、世界中で国のトップが決まる総選挙が立て続けにあり、まさに選挙イヤーになったと言えるでしょう。さらには政権交代が起きたり、反政府運動が勃発したりと、社会情勢が大きく揺れ動いた国もありました。バングラデシュ、インドネシア、インド、メキシコ、日本などなど……社会科学の研究所に勤める私たちにとって、1年中目が離せませんでした。
その中でも特に記憶に新しいといえるのは、先月11月に行われたアメリカ大統領選ではないでしょうか。全世界が固唾を飲んで行方を見守ったその結果は、まさかのドナルド・トランプ前大統領の勝利
トランプ氏は中国への関税引き上げを強く主張するなど、その発言に国際社会も翻弄されています。これから世界はどうなっていくのでしょうか…、来年以降の国際情勢に、より一層目が離せなくなりそうです。

さて、そうした中で今回オススメするのは、以下の記事。

本記事は、アジア経済研究所の経済地理シミュレーションモデル(IDEーGSM)を用いて、第2次トランプ政権が関税引き上げを行った場合、経済的にどのくらいの影響力があるのか?を分析したもの。具体的には、以下3つのシナリオに分けて分析しています。

①アメリカが全ての国に対して関税の引き上げを行わない場合
②アメリカが中国に対して60%の関税を課した場合
③アメリカが中国に対して60%の関税を課し、さらに、その他の全ての国に対して、現行の関税率と20%のいずれか高い方の率の関税を課した場合

なんとこのシミュレーションによれば、関税20%をかけた場合、アメリカ経済も負の影響を被るという興味深い結果に。直感的に見れば、自国にメリットがあるからこそ、アメリカは中国に高い関税をかけると主張している、と考えるのが自然ですが、数字を見ると結果はアメリカ自身の首も締めることになるのですね。

さらに興味深いのは、アメリカが中国に対して60%、さらにその他の国に対して10%の関税をかけた場合、ASEANやインドがプラスの影響を受け、日本への影響はプラマイゼロという結果。米中対立によって「漁夫の利」の恩恵を受けられる国があるという経済面での国際関係も見えてきます。

そしてこの記事によれば、日本への影響についてさらに細かく分析したところ、関税10%を課せられた場合と関税20%を課せられた場合で比較した際に、各産業・地域に与える影響に大きな違いが見られるとのこと。

・日本への関税が現行通りであれば、アメリカと中国のみが対立で大きなダメージを受け、日本は自動車、電子・電機という得意分野で「漁夫の利」を受ける。
・しかし、全世界への米国の関税率が高まると、輸出依存度が高い自動車産業への影響は、大きなマイナスに転じる可能性が高い。
・関税10%の場合は、自動車や電子・電機産業が盛んな滋賀、三重が大きなプラスの経済効果となり、逆に沖縄、北海道、青森、鹿児島、宮崎、高知といった地方部がマイナスの影響を受ける。
・関税20%の場合は、愛知、静岡、三重など、自動車産業の比重が高い地域で大きなマイナスの影響が発生している。

https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Eyes/2024/ISQ202420_034.html

関税10%か、関税20%かで、影響力の度合いが全く異なるという興味深い結果に!

この経済地理シミュレーションモデル(IDEーGSM)、研究所の中で長い蓄積がありながらも機動性が高く、世界情勢の変化に応じていち早く分析結果をシミュレーションすることが可能なので、ものすごく興味深いです。
過去には、ロシアによるウクライナ侵攻によって、経済的にどのような影響が及ぶか?を分析したレポートも発表しています。
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/156.html

こうして、経済への影響が数字で可視化されると、また違った視点で世界の動きを見られて面白いですよね。

この記事がAI翻訳とかされてアメリカに届いたらいいのに〜!!と切望するないとうさんとユリユリでした。

ご意見、ご感想はajiken.wakaba@gmail.comまでお気軽にどうぞ。
それではまた次回お会いしましょう、See you!👋

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