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冬のひまわり🌻(第10話)
おはよーっス❣️と、会社のバックヤードに裏口から入った福田は、そう声に出しながら進んだ。
「おはよ〜ございます」涼やかな声の方を見ると、有本泉が声を掛けてきた。
(おっ!)
と、心の中でニヤけながら、
「あ!泉ちゃん!おはよう」
と、答える。
「ねぇねぇ、福さん知ってます?」
「ん?何?何?」
泉ちゃん相手だとつい顔が綻んでしまう。
「ウチのお風呂にTVの取材が来るらしいですよ?
冬のひまわり🌻(第9話)
ピピピッピピピッ。
バチッと目覚まし時計を止める。
カーテンの隙間から覗く太陽の光は春に向けて段々と強くなってきている。
もう、昼の12:00だ。
今日は夕方からの勤務の福田はのんびりと起きた。
昨夜の夜勤務はハードだった。金曜日だったからか、若いお客様が沢山来ていた。
「若いって良いよな。それだけで、生きてるって感じるもんな。」
などと独り言を呟く。
ふ〜。っと、ため息をつく。
(泉
冬のひまわり🌻(第8話)
〜〜〜〜
風呂に浸かって出た福田は、おもむろに休憩室へと向かった。
夜の22:00からのフロント業務までの時間をここで過ごす事にしたのだ。
一度帰ろうか?との考えも頭をよぎったが、一人きりの部屋に帰る寂しさよりも、ザワザワとしているが、人がいる雰囲気に寄りかかりたかった為だ。
ここは、漫画は読み放題だし、テレビも見放題。月に一度ならば岩盤浴も入れる。まだ今月は福田も入るチャンスがあるが、今日はやめ
冬のひまわり🌻(第7話)
今日も一通り仕事を済ませて、ドリンク一杯だけ無料なのでコーラを飲んでいた福田は、バイトの子が急に休みたいとの事で、夜のフロント業務を頼まれたので、一回家に帰ろうか迷っていた。家までは自転車で20分くらいである。
「ふう〜。夜の22:00からか。どうするかな〜?」
1人呟いていたが、側からは思い悩んでいるように見えたのか、フロントから休憩にやってきた有本 泉が横から顔を覗かせた。
「福さん!何
冬のひまわり🌻(第6話)
2日酔いの福田は眠い目を擦りながら自転車を漕いでいた。
頭の中は昨日の飲み会の事
、
泉ちゃん…。可愛かったなぁ〜。泉ちゃんは見てるだけで癒される。
しかし…。木村女史…。歳の割になかなかのナイスバディだったな。
もうちょっとシラフだったら…。惜しい事した。
いやいやと首を振りながら、何もなかったんだ!と、自分に言い聞かせた福田であった。
やれやれ本当に何もなかったんだよ。と、ツッコミたく
冬のひまわり🌻(第5話)
ピピピッ。目覚まし時計が鳴る音で飛び起きた福田は横に何かがあるのを感じていた。
「ん?」
ゴソゴソと動く物体。
「んん?」
布団をそーっとめくる。
と、そこにはキャミソール姿のあの!木村さんが!
「う、うそっ!!」
福田は慌てて飛び起きた。
「う、う〜ん何よ〜」
と、髪に手を当て木村女史が目を開けた。
「あ!福さん!え?うそっ!何で?」
木村女史が呟く。
福田は咄嗟に
「
冬のひまわり🌻(第4話)
今日は3ヶ月に1回の飲み会だ。
設備点検という名の店休で、その日の夜は懇親会という名目の飲み会となる。
昼間は店の掃除を主にやる事になるのだが、ワイワイと楽しく過ごす。
もちろん掃除をしているのだが、その日は上層部(幹部だ)も来る。
そして、メインイベントは夜!夜なのだよ!
一人ヤモメの福田だが、そんなに意気込んではいないが、誰かいい子はいないかな〜?の気分で毎回参加している。
むしろ大学
冬のひまわり🌻(第3話)
ジージージー。福さん!福さん!応答願います。
外でタオルを干していた福田は、トランシーバーで呼ばれていることに気づいて答えた。
「はい。福田です」
「福さん。今どこですか?すぐ風呂場に来てください」
イケメン佐藤の声だ!
「今、外です」
福田は答えた。
「福さん!湯舟で粗相をした人が居ます!」
「了解!」
と、福田は干しかけていたタオルを置いて、風呂場へと急いだ。
階段を駆け上がり風呂
冬のひまわり🌻(第1話)
「おーい福さん!」
福田圭太は、同じ会社で働いているアルバイトの大学生佐藤に呼び止められた。
「福さん!あっちのトイレ掃除したんスか?」
したんスか?って、大学生のくせに!と、少しムッとしながらも福田は、
「ああ。終わったよ」とだけ答えた。
福田の勤務先は、日帰り温泉「和(なごみ)」だ。
閑静な住宅街にデカデカとそびえ立つ建物がそうだった。
もう、四十路をちょっと超えた福田はバイトとして働