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冬のひまわり🌻(第9話)

ピピピッピピピッ。

バチッと目覚まし時計を止める。
カーテンの隙間から覗く太陽の光は春に向けて段々と強くなってきている。
もう、昼の12:00だ。
今日は夕方からの勤務の福田はのんびりと起きた。

昨夜の夜勤務はハードだった。金曜日だったからか、若いお客様が沢山来ていた。

「若いって良いよな。それだけで、生きてるって感じるもんな。」

などと独り言を呟く。

ふ〜。っと、ため息をつく。

(泉ちゃんは可愛いよな。)

などと、泉ちゃんの顔を思い浮かべていると、もやもや〜っと、木村女史の顔にすり替わる。

(え?え?違う!違う!何で木村女史の顔が浮かぶんだ!)

と、一人顔をブンブンと横に振り妄想を打ち消す。

人の心とは不思議なもので、好きな女と手に届きそうな女と比べると、やはり男としては手の届きそうな女に心が傾くものなのかもしれない。

打ち消しても打ち消しても、木村女史の顔が浮かんでくるので、ハタッと考えるのをやめた福田は、

「あ!飯にしよう」

と、買い置きしていたパンを無造作に頬張った。
と、冷蔵庫から牛乳を出しながら、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。

ポコポコポコと音を立て始めて、プーンとコーヒーの香りが部屋中に漂う。

ふたつ目の菓子パンを咥えながら、コーヒーをカップに注ぐ。

コポコポコポ

注ぎながら匂いを嗅いで、悦に入る。

ホント、コーヒの匂いって良いよな。

飲みかけの牛乳をコーヒーに加える。
いつもはブラックで飲む福田だが、今日はカフェ・オ・レの気分だった。

そしてまた木村女史の顔が目に浮かぶ。

(木村女史。歳は食ってるけど、顔はまあまあなんだよな。体の線もそんなに崩れてもいない。)

などと男目線で見て、満更でもない心持ちになっていった。

何しろ自分ではまだ認めていないが、どう考えても泉ちゃんよりも、木村女史への気持ちの方が大きくなっている福田であった。

つづく。

〜〜〜〜

はい。冬のひまわり🌻9話でした。
福田の頭の中に入り込む木村女史。
けれど、まだそれを認めきれない福田。
さて、どうなるか?
乞うご期待です。

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