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冬のひまわり🌻(第8話)
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風呂に浸かって出た福田は、おもむろに休憩室へと向かった。
夜の22:00からのフロント業務までの時間をここで過ごす事にしたのだ。
一度帰ろうか?との考えも頭をよぎったが、一人きりの部屋に帰る寂しさよりも、ザワザワとしているが、人がいる雰囲気に寄りかかりたかった為だ。
ここは、漫画は読み放題だし、テレビも見放題。月に一度ならば岩盤浴も入れる。まだ今月は福田も入るチャンスがあるが、今日はやめておいた。何故ならばまだ月初めで、もっと入りたい気持ちが強い時に入りたいからだ。と、漫画を読んでいる最中に眠気が襲い、スヤスヤといつの間にか寝息を立てていた。
ふと目が覚めて時計を見ると、夜の20:00だった。
「お!こんな時間まで寝てしまった。」
と、慌てて起き上がった。
と、ふと横で眠りこけている人を見ると、な、なんと!木村女史が寝ているではないか!
「え?な、なんで?」
と、思わず自分でもびっくりするような声が出てしまった。
「う。う〜ん」
と、目を覚ます木村女史。
「あ!福さん!今何時?」
何故木村女史が隣に寝ているのか分からず、今の状況をどうするべきかも分からず、思考停止中で、木村女史の発した言葉に反応できずにいる福田。
「ねぇ!福さん!今、何時?」
2度目のキツ目の言葉に、ハッとした福田は腕時計を見て、
「に、20:00です。」
とだけ答えた。
「20:00?あら?寝過ぎちゃった。帰らなきゃ。じゃあね。福さん!バイバイ」
と、そそくさと木村女史は帰っていった。
「はぁ。どうも…。」
福田はそう答えるのが精一杯だった。
(何で?何で?何で木村女史が隣に寝ているんだ!おかしい!おかしいゾ?この状況!ま、此処ではもちろん何もないが。おかしい…。」
あいも変わらず、この男はどこまでいってもニブイ男である。
歳はいっているとはいえ、木村女史も女性なのだ。いや、女性というものは、いくら歳をとっても女性なのである。そう。いくつになっても、乙女なのだ。
この寒い冬の夜に木村 幸子は自転車に乗りながら、つい、鼻歌を歌い上機嫌で帰っていた。
細くなった三日月に照らされ、ピーンと張り詰めた空気が蒸気した頬に冷たくあたり、さらに蒸気するようであった。
「ふふふ。」
時折思い出し笑いをするくらい、心の中はポカポカだった。
木村女史も一人住む部屋に帰るのが嫌だった。息子も独り立ちして、家に帰るのが寂しいのだ。
二人目の元旦那と離婚する時にゲットした一軒家は、独り身には広すぎるからだ。
けれど、昨日、今日と、好きな男の寝顔を見れただけで、心の中はパーっと華やかな気分になっていた。
そう、何の関係を持てなかったとしても。
女性とはそういうものである。
木村女史は心の中で呟いていた。
(一緒にいる時間が持てるだけで良い。今は…。)
いや、ただ好きなだけの時の方が良い時もあるのだ。それは、自分の主観で完結するからだ。自分のイメージだけで。
アバタもえくぼである。
つづく。
〜〜〜〜
はい。冬のひまわり🌻でした。
木村女史と福田の関係がどんどん近づいていく。幸せへの時間。
幸せとは人それぞれですが、自分の心の中を覗いた時に、素直な気持ちを尊重したときに、幸せと感じるのではないかな〜?って、作者は思うのです。自分の心のままに。ただ、自然のままに。
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