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TABLO連載【加筆修正】

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ニュースサイト「TABLO」に連載をした過去記事に加筆修正をしてまとめています。
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#自殺

嫌な記憶に癒されてしまうから幸せになれない。

嫌な記憶に癒されてしまうから幸せになれない。

懐かしいと聞いて思い出す世界には、だれもいない「なつかしさって、やっぱり感情というだけでは片付けられないものかもしれないよね」

インドカレー屋さんでナンをちぎりながら、机をはさんだ向こう側に座っていた彼はポツンと言いました。

Rooftopというニュースサイトで書いている連載 「『なつかしい』という感情はもう少し手加減してくれないと困る」 を読んで、「おもしろかった」と言ってくれたことから、か

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「死んだら負け」に救われる人と、救われなかったわたしが受け取った肉まんの皮のにおいのような優しさ

「死んだら負け」に救われる人と、救われなかったわたしが受け取った肉まんの皮のにおいのような優しさ

その前に、できること「あのコインロッカー、いつの間に使えるようになったんだろう」

少し大きな荷物がはいる一番下の段。その右はしのボックスは少し前まで、使用不可の張り紙がされていたはずです。隣のボックスは使っていいんだ…と少しギョっとしたのでよく覚えていました。

あらゆる情報が雑に配色されている繁華街で、道のはじにさりげなく設置されていた灰色のコインロッカーは、よっぽど注意をしていないと風景に埋

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「前例がない」と自殺防止担当の保健所で門前払いされた雨降りの思い出

「前例がない」と自殺防止担当の保健所で門前払いされた雨降りの思い出

見る「ふり」もされなかった資料いわゆる、門前払いでした。

S区の自殺防止担当の保健所の前で、明らかに落胆したわたしを見て、付き添ってくれた区議会議員Aさんは、「まだまだこれから変わっていくはずです」と気遣ってくれました。

「区の後援をもらったほうがチラシを置いてもらえる場所が増えやすいので、保健所に相談に行きましょう」

自殺防止週間に関連したイベントに出演をすることになり、福祉関係者だけでは

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なぜ、わたしと死ななかったんだろう。病み垢はわたしのセーフティーネットだった。

なぜ、わたしと死ななかったんだろう。病み垢はわたしのセーフティーネットだった。

なぜ、わたしと死ななかったんだろう本来は恋人同士が「付き合ってから何日?」を数えたりするカウントアップアプリを、もう数年もスマホのホーム画面に貼り付けています。毎日、増えていく日数。わたしがこのアプリで数え続けているのは、恋人と付き合った日数ではありません。

「アイコはわたしの片割れだから」

そう言った彼女は、わたしにとっても自分の片割れのような存在でした。鬱に悩まされていたわたしたちは、人に

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