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【番外編】kindleでphoto book, photo essay を制作販売、その20日後

 今回は番外編として、突然にkindleでphoto book, photo essay を制作販売し、ほぼ20日経った今の状況、そこから得た学び、気づきをまとめておきたい。(前回の記事は↓下記)


■突然制作をはじめた理由

 きっかけは、チャットだった。相手はコンサルで、わたしは彼を勝手にメンターと仰いでいる。究極の左脳の持ち主は右脳的になるのか、彼の言葉はときに啓示的で、大げさではなく、後々「人生の道しるべになっていた」経験を多くしてきた。

 わたしは、書いた記事のリンクを送り、noteにおける出会いとコミュニケーションのすばらしさについて語っていた・・・はずなのだけど、彼は突然書いてきた。「本を出すべきだ」。はい?

 「本を出す」、つまり単行本の著者になれるのは、販売実績のある著者、優れた企画、数が動員できるインフルエンサー、といった、限られた人々だ。そもそも、どれほどの販売が見込めるかを含め、企画会議を突破しないと仕事そのものがはじまらず・・・いやいや、違うな。

 相手は戦略コンサルなのだった。業界の話を披露するのは釈迦に説法。たぶん、彼特有の、何段階か飛び越した何かか、究極の左脳が言わせている言葉なのだろう。これには注意を払わなければ。

 とっさにこう入力した。「kindleのフォトエッセイ的なものでいいのなら、24時間以内に作れると思う」

 返信は「それでいい。出したことがしるしになり、次につながる」といったような内容だった。「了解、では作ります」。(いつものように)謎な気分を残したまま、チャット終了。

■パワポで作成しKindle Comic Creatorで変換

 夜とはいえ時間も早いし、なんとなく「作る」モードとなり、まず、ネット検索して「kindle本の作り方」的な記事をいくつか読んだ。写真集、フォトエッセイを作るのには多くの方法があるが、使い慣れたパワーポイントを使うことにした。こんなパワポの使い方、なんだか新鮮。

 流れはこんな感じらしい。パワポで作成したデータをPDF保存したら(表紙は別に作成して、jpegで保存)、Kindle Comic Creatorという専用ソフトで、kindleに対応した形式に変換する。そしてKindle ダイレクト・パブリッシングにアップロードして、流通に乗せる手続きをする・・・それだけで流通に?

 自分の労賃、データ等々は除いて出版コストゼロ。あまりのことに対する驚愕と、制作から流通までシームレスで進んでいくことのすばらしさ、同時に空恐ろしさを実感した。

 通常の出版ならどうなるか。どう考えても、(印刷というプロセスもあるので)最低3カ月はかかる工程だ。そしてそこに何人がかかわり、どのくらいの経費がかかってくるのか想像もできない。

■結論からいうと、1319DL

 先に結論を。9/4に最初のフォトエッセイを出した(9/13に大幅改訂しているので、それまでにご覧になっていた方は、今一度見ていただけると)。「24時間以内に」制作どころか、チャットした夜の翌朝には、流通に乗っていた。本日9/25まで、累計のダウンロード数は1319だった。

※9/25 22時加筆:前にも書いた通り、本はすべて、Amazonの「読み放題」サービス、Kindle Unlimited対象作品だ。値付けは難しいので、各種サイトを参考にした。基本は「読み放題会員に見てもらえれば」、というつもりで作成している。

 これは、かつての悪習、出版社の「公称部数15万部」的な数字でなく、ダウンロードを完了させた人の、真水の人数だ。作り手としては、とても嬉しくありがたいことだ。

 内訳を見ると、文章が多い作品のほうが、ダウンロード数が多い。詳しくは下記で述べていくけれど、まず「たぶんフォトエッセイ」という、予測が当たったのが「やっぱりか」という感想。それから、この活動は仕事とは完全に分けているので、匿名でささやかな活動することの面白さに目覚めた、という感じだろうか。

■なぜフォトエッセイか

 さて。では、なぜ、反射的にフォトエッセイと答えたのか。

 それは手元に、2014年に一眼レフを買って以来の作品が整理された形でストックされていること、スピードを考えると長い文章の制作は難しいので、写真を観ながらのエッセイ的なものが早く仕上がると思ったから。

 写真集のほうが手間暇は早いが、わたしの写真には、写真単体の力が弱い。仕事でカメラマン、写真家の方々の作品を拝見し、また撮影現場で長い時間を過ごすことで、労力を知り、さまざまな技術も見せていただいた。特に、フィルム時代を経験している方々は、ワンカットへの重みも違う。

 気の利いたアングル、光との付き合い方、といったことは、現場でそれなりに学ばせてもらったが、撮影の細かななことはEOSに任せよう、と割り切れたのは、わたしが編集者だったからだと思う。偶然きれいな写真は撮れるかもしれないが、その1枚は、なかなか語るところまではいってくれない。だから、文章に語らせる必要が出てくる。

 (と言いつつ、その後、写真技術というよりは、その場を記録するという趣旨での、フォトブック的なものは出した)

 加えて、デザイナーのように凝ったレイアウトやデザインはできないので、比較的粗が目立たなさそうな分野を選んだというのもある。

■編集者目線

 本のテーマを決め、パワポで、天地の寸法を合わせて、写真を張り込んで、文章をのせていく。ちなみに、写真のデータ量はこちらで合わせなければならないので、サイズダウンしてくれる無料ソフトを使った。

 材料が揃うと、あとは文章を載せ、編集していくという、形としてはほぼ普段の仕事、という作業になる。ここでは、光の輪が変に入ってNGとなってしまうカットの、なぜ別アングルを撮らなかったのか、といった、いわゆる編集者目線になってくる。自分会議極まれりという感じだ。

■仕事への反省、アンラーン

 こちらにも書いたことだが、作業をしながら思い出されてくるのは、駆け出しのころから現在に至るまでの、仕事での些細なエピソード。

 あの作業はこうサイズダウンすればよかったのか、といった気づき、自分が下した判断や指示が「まずかったな」という反省、プロフェッショナルから学んださまざまな技術。

 特に、noteのエディタを使っても思うことだが、IT技術の発展とともに短時間、省力化してきた編集作業一般を振り返ると、膨大な作業を強いられた時代においても、ポイントをおさえてあたるべきだったことがわかる。それをすべてやろうとしていたから、長時間労働を招いていたのだ、などなど。

 苦労をよきものとして語ったり、あの時代はよかったなどと独り言ちるところに堕ちないように、ひたすらアンラーンを。

■写真に籠った「想い」を放つ

 膨大な写真を再び整理しながら、写真には、撮影したときの「想い」がこもっていることは、改めて実感した。

 それらは、解き放たれるのを待っている。だから写真を整理しながら眺めていると、おのずと言葉が湧き上がってくるので、それがエッセイになる。もしかしたらそもそも、死蔵されていた写真たちが、想いを放ってほしい、という声なき声をずっと上げていたのかもしれない。

 試行錯誤を経て、また、数少ない、この活動を知っている人から「写真と文章は分けた方がいい」という指摘をもらい、昨夜はこれを作ってみた。

 ただ、まだ削れる要素が多いし、自分のなかには、まだ放出すべきことがあるのだなと気づいてもいる。

■noteという媒体への感謝

 わたしは今年の3月からnoteを始めており、その理由は下記に尽きる。

 仕事以外で「書く」ことにまったく興味を感じることがなく来た自分が、瀬戸内海の島々で撮影した風景の美しさのほうに引っ張られて、今年になってなんとなくnoteをはじめました。

 noteの素晴らしさの一つは、洗練された書き手が集まっていることだ。書いたものに対するリアクションをいただき、その方の記事を読ませてもらって素晴らしい書き手がいることに気づく。フォローをして、記事に「スキ」のリアクションをするという、ささやかな交流がはじまる(と、勝手に思っている)。わたしは本質的にはコミュ障なので、そのくらい奥ゆかしい「交流」が心地いい。

 一眼レフ購入、島旅からnote、そしてkindle出版、と、振り返ればきれいにつながっている。「メンター」のように、呼び水的な存在となって、そのつながりを指南してくれる存在もいる。それらの流れの、今、ベースになっているのはnoteという媒体だ。

■いわゆる成功、から自由になった先には?

 わたしは、仕事を徐々に減らし、早すぎるリタイアをして「旅するように暮らす、暮らすように旅する」を実践しようとしている者だけど、結局のところ、自分が唯一できること=仕事としてしてきたことを携えて、これからもやっていくのだろう、ということがよくわかる。その覚悟ができた、と言ったほうが適切だろうか。

 その基準は商業的成功といったところを離れ、「自分の基準」を満たし、それが、作品として一定以上の水準に足しいていればよい、という、完全な自分目線となる。

 数であったり、それによる収入からも自由になる。あとはただ、世界の美しさに感動し、作りたいものを作っていく、それでいいのかもしれない。

↑ キャッチ入りロゴ。右下にはcotori.さんのサインも入れていただいた

※ロゴを描いていただいているイラストレーターのcotori.さんの作品の一部を、本記事のトップ画面に使わせていただきました(描いていただいたのは全身図)。いつもありがとう。

 


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