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XIIX "境界線"で軽やかに羽ばたいたライブツアー"Boder=Boder"

2024年5月13日に行われたXIIX LIVE TOUR「Border=Border ~2&5~」Zepp Haneda公演に参加しました。東名阪3箇所のツアー初日。その感想です。3月の自主企画2DAYS以来だから、2か月ぶりのXIIX。スケジュールを合わせるのが難しいXIIXにしては、嬉しいペースです。

昨年「2&5」というツアーがありました。バンド編成(5人)でやるパートと、2人だけでやるパートがある構成。今回も同じ構成なので「Border=Border ~2&5~」というタイトル。バンドメンバーも昨年と同様、Gt.粂絢哉さん、Dr.岡本啓佑さん、Key.山本健太さん。

「2&5」で初めてギター2人体制になりましたが、宏介が自分以外にギターを入れたことに驚くと同時に、あまりの楽しさに衝撃を受けました。これまでのDJが加わる編成より、ギター2人の方が好きです。ギター好きにはたまりません。
すっかりこの体制が定着しましたが、今日はさらにパワーアップしていると感じてめちゃくちゃ楽しかったです。バンドは進化する。一緒にやればやるほど、アレンジのアイディアや、どん欲に楽しむ気持ちが前に出て来るのだろうな。

とりわけ宏介が自由に軽やかに弾けていたのが印象的でした。野放しにされ、どこまでも高く大空に羽ばたいていく鳥のようだった(笑)
ギターのパートを粂さんに任せられるからこそ。ユニゾンでは背負うものが多いから、こうはいかない。


🔸ライブの感想

出囃は新作かな。春っぽい陽のイメージ。

🔹<5人>

・5人がスタンバイして「月と蝶」から。真っ赤な照明が曲の世界観を広げる。妖艶な曲をエモーショナルに奏でている様子を見ていると、ロックバンドのライブを見ているというより、ジャズクラブで極上のショーを見ているような気分になります。結成して決して長くはないのに、醸し出すベテラン感がすごい。実際みんなベテランなんだけど。「Halloween knight」を聞いていても同じような気持ちになります。

「ilaksa」のイントロベースはうるおいたっぷり。何かが溢れ出してきそうな音色だ、といつも思う。すってぃならではの音作りです。間奏の、秩序のない掛け合いが楽しい。楽器はカオスなのに、ボーカルは何一つ変わらず冷静に突き進んでいる、その対比がたまりません。
宏介が、ジャケットの袖を何度もまくり直していました。XIIXのライブが久しぶりで、なかなかしっくりこなかったそうだよ(後のMCで言及)。

・早くもハンドマイクになる宏介。ええっ?「シトラス」ってハンドマイクで歌う曲でしたっけ?(記憶喪失)
歌いながら上手、下手へとステージを悠々と歩き、身体全部で歌唱するありさまが、さながらミュージカル俳優っぽい。宏介は憑依型だから、俳優や声優をやったら上手いかもしれない(やって欲しいわけではないが)、お笑い芸人さんの真似も上手いし(なりきるのが得意)、と前々から思っていました。それよりもミュージカル俳優がマッチしているかもしれない、と勝手気ままな妄想をしてしまうほど。解き放たれ清々しさに溢れ、すこぶる楽しそうに見えました。フェイクを入れるシーンもあったぐらいにご機嫌。

中央のお立ち台に上り、軽やかに歌う様子も決まっていました。羽が生えて飛んでいきそうだな。「シトラス」のハンドマイク、すごく好きだなと思う。同じハンドマイクでも、ラップ調の「スプレー」、朗らかな「うらら」と異なる曲調なので、新しい斎藤宏介が見えた気がしました。

・今日イチで私が大喜びした曲、それは「XXXXX」です。アレンジが最高。宏介が歪んだ低音をブォォォーーーーンとそれはそれは長々と鳴らし、その音域から「XXXXX」であることが容易に想像できたのですが、「なんだこの引っ張るおもろいアレンジは!」と、わくわくが止まらず。本能のままにやらかしてやる、という遊び心が見え隠れしてにやけるのです。歌い上げるボーカルも不穏であり妖艶であり魅了いっぱい。ラストも同様に、ふざけまくるかのようにブォォォーーーーンとぶちかましたのが最高に快感でした。

粂さんが加わって一緒にやるのが初めての曲だと思いますが、粂さんギターも最高でした、めっちゃエモーショナルに歌ってた。最近は、粂さんと一緒にやる初めての曲を聞くのを楽しみにしています。アレンジのアイデア豊富さ。

「Answer 5」は登場頻度の多い曲ですが、アウトロのリズムがちょっと変わっていた。ドラムのリズムがちゃきちゃきとしたアレンジになっていて新鮮味。岡本さんのアイディアかな?

ここからは2人編成ということで、3人が退場。

宏介「(メンバーに)お帰り下さい~」
宏介「やっと2人になれたねwww」
須藤「きも(真顔)」

というミニコントあり(笑)

🔹<2人>

・1曲目は2人編成でよくやっている「Endless Summer」。宏介がアコギ、すってぃがエレキで。すってぃの上ハモが心地よくて聞き入る。ゆずのような爽やかフォークデュオみたい。間奏の掛け合いがちょっと長めで、じゃれ合う様子が微笑ましかった。
「おもちゃの街」もハモりが綺麗に聞こえました。すってぃはコーラス(特に上ハモ)はあまり好きそうではないけれど、2人編成はバンドよりも2人のハーモニーが美しく聞こえるから、声に聞き入ります。

「タイニーダンサー」は、昨年六本木ヒルズアリーナでも2人でやっていました。軽やかなメロディーに合わせて、今日も脳裏でダンサーがくるくる舞う。
歌い出し、低い音程からオクターブ高い音程への持っていき方に、いつもはっとします。鮮やか。一方で、低いところでもっと聞いていたい気もします。低い歌声も好きだから。
すってぃは、縦へ軽やかにジャンプして、膝をクッションにしてしなやかにリズムを刻む。身体全体で音を自由自在に繰り出しているプレイスタイルが好きだなぁと改めて思う。

「LIFE IS MUSIC!!!!!」は、過去に何度かやっている客席参加型で。ルーパーでお客さんのクラップを録音し、リズム代わりに。宏介が最初にギターのボディを叩く音を録音するのですが、ギターを抱きしめるようにクロスして叩くポーズが、なんかいいなといつも思う。すってぃはフロアにマイク向ける係。
Zepp Hanedaはキャパが3,000人弱なので、ほんのちょっとだけクラップ音がずれる。TOKYO DOME CITY HALL(3,000人)の時も同じだった。個人的には1,000人規模(名古屋ダイアモンドホール)のクラップが好みです(うるさいオタク)。

間奏で向かい合って楽しそうにじゃれ合うのが定番ですが、すってぃが上手に遠征したところ、コーラスに間に合わなくなったため、間奏を多めにリピートしていた(笑)

・激しくかき鳴らす2人バージョンのイントロに、自分の心もヒートアップします。「アカシ」は、どんな編成でも熱量の伝わり方は変わらないなと思う、それだけこの曲の持つ威力は私にとって大きいと感じます。いつまでたってもダイ達の勇姿が頭をよぎってしまう。フェンダーのアコースティックの赤いギターの音色が美しくて聞き入る。

🔹<5人>

・2人の自由な掛け合いから、すってぃのカウントでスタートするのが定番の「ハンドレッド・グラビティ」ですが、途中からメンバーが静々と入場して定位置につき、1番の終わりからバンド・サウンドが鳴らされるカッコいいスタイルでした。サビ前のリズミカルな上昇にいつも弾む。間奏で粂さんのギターがワウワウ鳴いていて快感。
2人だけでアグレッシブにやることの多い曲だから、バンドサウンドの温かみや音の広がりが加わって、新しい聞こえ方がしました。曲は進化するし、生まれ変わるんだなぁ。

・Aメロのベースのリズムにつられて、いつも揺らされてしまう「あれ」。今日も気持ち良いリズムが身体に刻まれる。
間奏で粂さんが、ずずい!と前に出てギターを弾き倒すのが見どころですが、いつもよりも早い段階で前に待機していた、お立ち台にスムーズに上がるためだったようです。宏介とすってぃも加わり、3人が吠える図は本当に盛り上がります。

3月の自主企画で秋山黄色氏がゲストだった際、「赤青黄色」→「秋山黄色」に替え歌したのがインパクトがあり、今日もふと「秋山黄色」が脳内に。曲に合わせてカラフルに点灯する照明が印象的。

ハンドマイクの宏介が、指揮者さながらにアウトロを何度も引っ張るシーンに会場が沸く。ふざけ倒したい子供にしか見えなくて笑う(笑) もしかして昨夜の「EIGHT-JAM(指揮者特集)」を見て影響された?などと思ってしまう。

・コンダクター斎藤が満足気に指揮を振り下ろし、間髪入れず「うらら」へ突入したのが気持ち良かったです。コンダクターのご機嫌は最高潮。間奏でツクツク…とボイスパーカッションを入れているのを初めて聞いたと思います。おっ、いいね!と思う。
いつもは中盤あたりで、ドラム遊び(マレットなどで勝手に叩く)をしていたかと思いますが、ラストスパートでドラムに絡んでいた。どうしても叩きたいのだろう、子供だから(笑)

・ケンタさんの美しいピアノの旋律で、瞬時に会場がビルボードのような大人っぽく都会的な雰囲気に早変わり。「スプレー」です。美しく力強い。いつかビルボードでXIIXを見てみたいと願います。でもチケット取れなかったら耐えられないからやらなくていいかもしれない、複雑なオタク心。

・ハンドマイクの曲が続きましたが、宏介がギターを携え、本編ラストは「Vivid Noise」。メンバー紹介と共に披露されるソロ回し、すってぃはいつもお得意のビビビ!⚡(通常ギタリストが使用するアグレッシブなエフェクター)をかましてくるのでにやけてしまう、すってぃの代名詞みたいな音。

「Answer 5」でメンバー紹介する時は、すってぃが「宏介!」とコールすることが多いですが、自ら「ギター!斎藤宏介!」と叫び、ギターソロをかました斎藤宏介。肩と顎の自己主張がすごい。前に出る出る。絶好調以外の何ものでもない。なんと生き生きした姿なのだろう、と感動する。

🔹en.<5人>

しめやかにギターの音色が奏でられた途端、「うわあっ!」という喜びの種が胸ではじけ、声が出ました。ずっとライブで封印されていた「Saturdays」が!ついに!2020年の初ライブ「White White」以来なのでは?ライブの度に「なぜ頑なに選曲しないのか?」と思っていた大好きな曲で、本編中も「今日もSaturdaysやんねぇのかな…」とやさぐれた思いがチラリと頭をよぎっていたので、喜びもひとしおです。同じように思っていたファンも多いはず。

終盤に似合う優しく包みこまれる曲。ライブアレンジが原曲より大人びて壮大になった気がして、「やあ!大きくなったね!元気そうで良かった!」と声をかけたくなるような、懐かしく嬉しい再会でした。アウトロで粂さんのギターがエモーショナルに歌っていて、とても素敵でした。

長らく選曲されなかった真意は謎ですが(特に意味はないのかもしれないが)、こういう喜びを味わえるのもまた一興です。

🔹Boder=Boder(新曲)

「もっとライブやりたいね」「朝6時に公園でやる?(笑)」「声出ないと思うw」などのやり取りがありました。バンドメンバー含め、皆忙しいからスケジュール合わせるの大変そうだといつも思いますが、特に宏介からは「本当はもっとやりたいのに!」という、ピュアな衝動が常に溢れているように思います。

ツアータイトルの説明がありました。「Boder=Boder」とは、自分は自分、人は人。人それぞれの心の形のまま、境界線同士がくっついた場所が、今日みたいな音楽を楽しむ場で、そこが最高だったらいい、XIIXはそういう風に活動して行きたい(ざっくり)
先日のインスタライブでも同じことを説明していました。人は人、自分は自分で生きていた方がひとつになるより平和、と。

ダイバーシティが叫ばれる昨今、本当にそうだと思います。アジカンのゴッチも、色んな人が集まる中、短時間でも同じもの(ライブ・音楽)を共有できることは素晴らしい(ざっくり)と、よく言っているな。

そして最後に、ツアータイトルにもなった新曲「Boder=Boder」がお披露目されました。おお、新曲が聞けるとは期待していなかったのでびっくり。SEが始まってこれまたびっくり、激しくリズミカルなビート音、今までのXIIXにはないタイプの曲なのでは?

ハンドマイクで駆け回る前のめりな宏介に驚きつつ、リズムの勢いに飲み込まれます。マイナー調で、少しだけユニゾンの「BUSTER DICE MISERY」を思い出す、似ているわけではないが。

サビの「ボーター!ボーダー!」の連呼がわかりやすく、初聞きでもすぐに馴染みました。中盤はテンポが落ちるものの、ギターがやたらとうねっていたり、緩急や振り切った展開が愉快です。キュウソネコカミのようなスピード感を思い出したりも。
ラストにすごいものぶっこんで来たなぁ、おもろ!と思って、にこにこで会場を後にしました。

このままいくと、ハンドマイク曲がライブの半数を占める日が来るかもしれない、という妄想を胸に抱きつつ(笑)



ジャズクラブが似合うような熟練のバンドサウンド、フォークデュオみたいな爽やかさ、轟音渦巻くオルタナサウンド、やんちゃしたいロックキッズ魂、XIIXの持つ様々な側面がシームレスにつながって、1つのエンタメショーとして素晴らしいと感動を覚えるライブ運びでした。流れがすごく良かった、あっという間。だけど充足感。きっと初めて見る人も自然に引き込まれて楽しいし、ずっと追ってきたファンにとっても新たな発見のあるライブだったのではと思います。

何より「音楽は楽しくて自由で最高!」と、先頭に立って体現していた宏介の姿がインパクトに残りました。「あの人がこの会場で最も開放感に溢れて楽しそうだった」と確信。そんなライブは最高に決まっています。

ここのところ山斎(山内総一郎×斎藤宏介)ユニゾン(フェス)、今日のXIIXと短いスパンで宏介のステージを目にする機会がありましたが、多忙なのに全てにおいて全力で臨み、全力で輝いている。音楽がやりたくてしょうがなくて、楽しくてしょうがないのだろう、天職とはこういうことなのかもしれない、と凡人の自分はジェラシーすら感じます。

次にまたXIIXに会える日が楽しみだな。多忙な彼らがスケジュールを合わせてライブをしてくれるだけで嬉しいけれど、絶対に想像を飛び越えて来るに決まっているので。いろんなバンドのライブを見ることが好きですが、XIIXのライブを見た後はひときわ爽快な気分で満たされます。

🔸セットリスト

<5人>
月と蝶
ilaksa
No More
シトラス
XXXXX
Answer 5

<2人>
Endless Summer
タイニーダンサー
おもちゃの街
LIFE IS MUSIC!!!!!(w/クラップ)
アカシ

<5人>
ハンドレッド・グラビティ 
  ※1番だけ2人、途中からメンバー加わる
Halloween knight
あれ
うらら
スプレー
Vivid Noise

en.<5人>

Saturdays
Boder=Boder(新曲)

Tシャツたくさん持ってるから買わない…って思ってたのに、この上なく高揚していたので帰りに思わず買ってしまう。感謝の気持ちは課金で表現するオタク。ゼブ太郎かわいいよゼブ太郎(ゼブ太郎ではありません)。
♪ホーミータイッ ダーリンッ 駆けぬけるゼブラーのストライプッ とつい口ずさんでしまう世代です。

餃子の屋台

Zepp Hanedaから穴守稲荷まで歩き、町中華で乾杯(1人)。餃子美味しかったわ、また来る♡

10月のツアーも楽しみだ!


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