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2021/4/3 「赤になった他人様」

四月が始まり、初めての土曜日。今日も地元の小さな北欧カフェに立っておりました。六時間の拘束時間、まだまだ若いお歳ではありますが、最近家に帰ると腰が痛いのです。それでも店内にいるときは、あくまでカフェ店員。テキパキ俊敏な動きを見せています。それに拘束されてはいるけれど、やっぱりどこか非日常な空気が流れているので、心地がよいのです。カフェの居場所は、地元の道沿いで、近くに川が流れています。その後ろは田舎感のある家々が立ち並び、さらにその後ろには森という、王道な日常の中にあるというのも、なかなか気に入っています。多分こっちが本物で、心地のよさの要因だと思います。

下り坂のお天気の前の、最後の日だからか、今日は沢山の方にご来店して頂きました。作ることが楽しい、ワッフルもたくさんご注文頂きました。

生地を枠の中に流し入れ、左にくるっとねじり込み、タイマーをセット。その間に果物を切ったり、カチコチに固まっているアイスを丸めたり。時には、大慌てで自家製ミントを摘みに行ったりと。セットしてから焼き上がりまでの4分間は、なんだかんだ忙しいのです。

それでもやっぱり楽しくて。隅っこまできっちり生地を流し入れようと頑張る時間も、ちょっと勢いづけて回すタイマーも。季節にぴったりな乙女心をくすぐってくれる果物を切る時も、「かったい」と文句を吐きつつ、耳を少し赤らめながらアイスを丸めることも。一か月に数回だけある、爽やかなにおいに包まれる時間も。なんだかんだ楽しいのです。

ワッフルの出来上がりを楽しみに待っていて下さるお客様と同じように、私も楽しませて頂きながら、一個ずつ作っています。

ピンってタイマーが鳴った後。焼き上がりから完成までのトッピングのお時間は、いうまでもなく。キュンキュンしながら、おめかしさせて頂いています。特に好きなのは、果物の中でも、苺を飾っていくとき。同じ方向に一周苺を乗せていき、一生懸命丸めたアイスに寄り添わせるように、少しずつ角度をつけてずらしながら、とっておいた残りの苺を乗せていくあの工程が、特別好きです。

そして最後に真っ白な粉糖と、摘んできたミントを添えて。お客様のもとにお届けします。

実は、このときも、キュンキュンしているんです私。

かわいい~って声をかけてくれる、目を輝かせて見てくれる、一緒にいらしたお友達と目を見合わせてくれる。その反応がとても面白くて。毎回毎回ここでも楽しませて頂いております。思わず「ふふっ」と笑ってしまうこともあって。そんなときは大体、「ありがとうございます。」と付け加えるのですが。それに対して、「ふふっ」と返して下さるお客様が何人もいらっしゃって。そこでもまた、キュンキュンさせてもらえるのです。

だからたとえ混みだしたとしても、手が回らず訳が分からなくなってしまっても、どんとこい。なのです。

挨拶でも、お会計でも、お届けでも、何か会話を交わすと、さっきまで他人だった方を少し近くに感じるようになります。多分血が通うのです。さっきまで全く知らなかった人なのに、会話を通して、血が少し流れ込む。相手にも、私にも。

それがとってもいい。

縁もゆかりもない人のことを赤の他人というけれど、ちょっと血が通いあった、赤の他人が私は結構好きです。


またね👋









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