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2021/5/20 「鳥かご」

鳥かごの中の人間ってたくさんいる。数的じゃない。種類的。数的にもなのかな。みんな、どこにいるの。私は、どこにいるのだろう。

あの人は、檻を自ら創って、自らその中に閉じこもっているように見える。それは私も同じなの。

出ていきたくない。もしこの鳥かごが開いて解放されたとしても、私はまた鳥かごを作り、その中に閉じこもる。そのようにしか生きられないの。誰かが助け出そうとしてくれても、きっと無理。幸せなんてどうでもいい、自由になりたい。

あの人が鳥かごを創っているのは、人のことを傷つけると思っているからだと思う。私なんかと全然違う。私はただ自分のことだけを考えて、そうしか生きられないだけなのに、あの人は、人のことを考えて、傷つけないように、自分で自分を閉じ込めている、のだと思う。

作って閉じ込めると一言で言ったって、こんなにも違うのだ。

でも、最初の鳥かごは、誰が創ったのだろう。私は創り方を知らなかったし、あの人も知らなかったはずでしょう?学んで創り方を知ったはずで、見て知ったはずなんだ。誰かが鳥かごの中に入っているのを見たのか、それとも、自分が入れられた鳥かごを見て構造を知ったのか。もうとっくの昔に忘れてしまった。

此処へ戻ってこれてホッとした。ホッとしたんだ。って思ってたんだけど、此処っていうのはきっと、本来の、一番最初の私がいた場所じゃない。一番最初ってどこだろう。お腹の中?そうだとしたら、もう最初から閉じ込められていたことになる。

此処っていうのは、また鳥かごのこと。

でも、じゃあ今までの私はどこにいたの。鳥かごの外にいたの?別の鳥かごにいて、そこを行ったり来たりしていたの?それとも、一旦解放されて飛び回って、ずっと此処を探していたってことなのかな。

そんな気がしてきた。

最近、音が好き。音を閉じ込める。録音されていない時の音は、どこに閉じ込められているのだろう。それも好きだから、教えてほしい。

集中の、意識の。その中に音を閉じ込める。ここでは、文章の中に閉じ込めているけれど、向こうでは音の中に閉じ込めることができるの。

そんな気がしてきた。

政治の話なのに、悪魔とか天使とか、ヴェールとかでてきて面白い。お堅い話なのに、美しい。だから、音にして読んでしまう。我ながらびっくりしちゃう。歌でも、物語でも、詩でもない、それこそ苦手な論理の世界。図書館で借りたけど、買ってしまおうかと思ってる。そばに置いておきたいの。おかしな話。

ホッとできる場所もこんなに違う。あの人にとってのホッとする、と、私のホッとするは、同じホッとするなのだろうか。

ホッとするの温度すら違う、捉えたいのに、触れたいのに、一生無理。だからせめて、他者として一生懸命見つめようと思う。ヴェールを透かして、心を見るの。精一杯。そうすることでしか生きられない。

そうとしか、人間は生きられないんだって。


またね👋










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